【原発関連情報】3,000トンを貯蔵できる核燃料貯蔵施設、今年3月末で2,919トン分が埋まっている
6月24日のネットニュースに以下のような 記事 があった。
青森県六ケ所村。日本原燃の使用済み核燃料貯蔵施設内で、青く光る燃料プール(27×11×12メートル)に原発の燃料棒を束ねた「燃料集合体」が沈められている。
この施設では使用済み核燃料中のウラン3千トンを貯蔵できる。だが、平成10年に始めた全国の原発からの受け入れで、今年3月末で2919トン分が埋まった。
「再処理工場が動かなければ、使用済み燃料の出口がない」。日本原燃の担当者は焦りをみせる。今年度の受け入れを19トンに抑えたが、もはや余力はない。
建設中の再処理工場は、使用済み燃料からプルトニウムを取り出し「プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料」に加工する。稼働すれば、年800トンを処理できる。しかし、廃液処理施設でのトラブルが続き、さらに東日本大震災で工事は中断。今年4月に再開したが、操業開始は当初予定の平成9年から15年以上も遅れている。
東京電力福島第1原発事故を受けた国の核燃料サイクル見直しも、計画に影を落とす。国は使用済み燃料を全量再処理するという従来の方針に、「再処理を断念して地中に埋設」「再処理と埋設を併存」を選択肢に加えた。
再処理がなくなれば、日本原燃の再処理工場が稼働することはない。同社は地元と青森県を最終処分地にしないとする取り決めを交わしており、「政策変更で使用済み燃料が返送されれば、管理可能な量を上回った原発は運転を停止せざるをえない」と川井吉彦社長は厳しい表情をみせる。
再稼働準備中の大飯原発では本日(6月28日)操作ミスによるトラブルが発生するという事件が 報道 されているが、再稼動が軌道に乗ったとしても、廃棄物処理の見通しは立っておらず、受入れ施設の容量も限界をむかえつつある。
日本の原発政策では、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、それをウランに混ぜて「MOX燃料」を作り、それをもう一回発電に使うということになっています。それが「プルサーマル発電」で、その循環がいわゆる「核燃料サイクルの環」なのです。ところが…。青森の六ヶ所村に建設された再処理工場は操業が延期されっぱなし。また、「プルサーマル発電」の延長線上には、発電すると使ったプルトニウムの量以上の燃料を生み出す高速増殖炉(ご存じ、福井にある「もんじゅ」です)」も開発されたのですが、こちらも事故ばかりで、わずか数か月しか運転できないまま放置されています。つまり、この45年間に10兆円を投じても(その原資は税金と電気料金から出ているのですが)未だ「核燃料サイクルの環」を作ることが出来ていないのです。
そこで取り敢えず、使用済み燃料を六ヶ所村の再処理工場に運び込んでいるのですが、その限界は3千トン。そこにもう2千860トンも預かっています。それで「これ以上はご勘弁」と、原発に留め置いてもらっているわけですが、こちらも54基で保管できる量は2万630トンで、あと6千400トン分で満杯です。しかも原発が今までのようなペースで動いた場合、毎年1000トンの使用済み燃料が新たに生まれてくるのです。まさに「糞詰まり」状況。だから、原発は「トイレのないマンション」と言われるのです。
ところで、大飯原発の再稼働問題がいよいよ現実味を帯びてきているのですが、私から見ると、再稼働しようがしまいが危険性はそれほど変わらない、と考えています。というのも、それによって使用済み核燃料を冷やしている脆弱な作りのプールの危険性は増えもしないし、減りもしないからです。つまり、危険性を判断する基準を、運転停止か再稼働においているのではなく、核燃料がそこにあるかないかにおいているからです。再稼働をめぐって「脱原発」、「卒原発」と言葉は踊りますが、本当に安全性を高めるためには54カ所に分散している危険物を一刻も早く集め、堅牢な中間貯蔵施設で一括管理することでしょう。
一方、原発再稼働を叫んでいる人が意外に気付いていない盲点があります。それは、使用済み核燃料を原子炉から取り出せないと(新しい燃料と交換しないと)、発電自体が出来ないことです。つまり、このままでは放っておいても、あと数年で原発の保管プールも満杯、六ヶ所村の再処理工場も満杯となり、原発を動かしたくても動かせなくなってしまうことです。原発を今までのように動かすなら動かすで、六ヶ所村以外にも再処理施設を作り、それが出来ないとしても、せめて使用済み核燃料を集中保管する堅牢な中間貯蔵施設を早く作らないといけません。つまり、どっちの道を選ぶにせよ、中間貯蔵施設の建設を急ぎぐべきという結論になります。
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