2007-10-25

基礎からの原子力発電 ~第1回 原子力発電の仕組み~

今や我が国の総電力の3割をまかなっている「原子力発電」
巷ではクリーンエネルギーの代表格として扱われていますね。
e1111.jpg
(関西電力高浜原子力発電所 関西電力株式会提供)
しかし「原子力発電=悪」というイメージがつきまとっているのも事実です。
私たち人類は、今後、この「原子力発電」をどのように考えていくべきなのか
これから数回にわけて、この「原子力発電」について調べていくことにします。
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大きなことを言いましたが、恥ずかしながらその仕組みすらほとんど理解していません。
まずはその仕組みから勉強していくことにします。
1.原子力発電の仕組み
原子力発電はその名のとおり、原子が分裂(核分裂)する時に発生する熱エネルギーを発電に利用します。
1-(1).原子とは?
まず、分裂を起こすおおもと「原子」についての理解を深めることにします。
化学の授業を思い出しますね。
(原子)
atom.gif
・地球上のあらゆる物質は原子から成り立っており、天然には92種類の原子が存在する。
・原子は正の電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子からなりたつ原子核と、そのまわりにある負の電荷を持つ電子から成り立っている。
・普通、陽子と電子は同数で電気的に釣り合っている。
・陽子数に合わせて原子番号がつけられている。
まとめると、
・原子=原子核(陽子+中性子)+電子
・陽子数=電子数=原子番号
となります。
(原子と元素の違い)
・「原子」:内部の陽子数と中性子数の違いで区別される個々の粒子を指す。
例えば炭素原子は中性子数の異なる12C、13C、14Cの3種類が存在する。
・「元素」:中性子数に関わらず、ある特定の陽子数(原子番号)を持つ原子のグループを指す。周期表(元素周期表)はこの元素を原子番号の順に並べたもの。
(同位体(アイソトープ))
同じ原子でも原子核内の中性子数が異なる場合もあります。
これらを同位体(アイソトープ)と呼びます。同位体の中には、自然界に安定して存在するものと、加速器や原子炉で作られる安定でない放射性アイソトープとがあります。
no01.gif
例えば、ウランは原子核に92個の陽子をもっているので原子番号は92。しかし、中性子を142個もつものと143、146個もつものが天然に存在します。143個もつウランは、ウラン235、146個もつウランがウラン238となります。自然界に多いのは核分裂しにくいウラン238です。天然ウランには、核分裂するウラン235は0.7%しか含まれていません。なお、原子力発電では、ウラン235の含有量を3~5%に高めたものを燃料として使います。kousei.GIF
1-(2).核分裂とは?
なぜ原子力発電ではウラン235を燃料として利用するのでしょうか?
それは、ウラン235が自然界の物質の中で唯一、核分裂の連鎖反応が可能な物質だからです。
では、その連鎖反応について見ていきます。
cycle-15-uran.gif
①まず、このウラン235に中性子があたる。
②一回目の核分裂が引き起こされ核分裂生成物に変化。変化の際、熱エネルギーが発生。
③分裂時に原子から2個~3個の中性子が飛び出す
④この中性子が別のウラン235に当たり次の核分裂を引き起こす。
⑤この核分裂時にも熱エネルギーが発生。
⑦この連鎖が原子レベルで繰り返され膨大な熱エネルギーを発生する。
ややこしいと思われる方は、右のイメージ画像をご覧ください。
ネズミ算式に増えていく様がよくわかります。
1-(3).核分裂のコントロール
核分裂の連鎖反応は物凄いスピードですすみます。
広島に投下された原子爆弾(64キロのうち1キロ弱のウラン235が核分裂)は、10万分の1秒という時間で爆発しました。核分裂はスピードが速すぎるので、スピードを制御しないと使い物になりません。
最初に核分裂のコントロール。
実際の原子力発電では、核分裂をゆっくりと継続的に起こさせるため、中性子を吸収する「制御棒」とよばれるもので中性子数をコントロールし、単位時間当たりに起こる核分裂反応(連鎖反応)を一定の状態にすることで「臨界状態」を保っています。また、「制御棒」による中性子の吸収量を調整することで、発電出力をコントロールしています。
次に中性子の減速。
核分裂によって放出された中性子は光の速さの約10分の1という物凄いスピードで、速すぎて効率良く核分裂を起こすことができません。そこで中性子の移動速度を落とすための「減速材」を用います。減速材はそのまま原子炉の名称として用いられることが多く、日本で稼動している商用原子炉は水(軽水)が使われているために「軽水炉」と呼ばれます。重水が使われるものを「重水炉」、黒鉛が使われているものを「黒鉛炉」と呼びます。軽水炉の場合、原子炉内が大量の水で満たされており、これにより核分裂反応の速度を一定レベル以下に落とします。
この結果、原子力発電の場合は、ゆっくりと核分裂していきます。100万キロワット発電の原子力発電では、1キロのウラン235を8時間かけて核分裂させるというスピードとなります。
now-01.gif
1-(4).核分裂時の発生エネルギー量
生み出されるエネルギー量を、ウラン核分裂、石炭、石油で比較すると、
ウラン235の1g分=石炭3t分=石油2000L分
となります。ウラン燃料と化石燃料では、発生する熱エネルギーの量が格段に違います。
右のイメージ画像を御覧下さい。
具体的に100万kWの発電所を1年間運転しようとすると、天然ガスなら93万トン、石油なら143万トン、石炭なら221万トンが必要となりますが、ウランの場合は21トンで同じ量の発電が可能となります。
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どうやら原子力発電は、人類が持てる科学技術を集積させたような素晴らしい技術のようです。次代を担うエネルギーのように思えてきました。
しかし、明らかに自然の摂理に反しています。
だって、自然界に存在する物質を、原子レベルから人工的に改造していっているのですから・・・。
とてつもなく大きな問題が生じているはずです。
次回は、この自然の摂理に反する行為が引き起こす問題について調べていきたいと思います。
by磯貝朋広

List    投稿者 isgitmhr | 2007-10-25 | Posted in F03.原子力発電ってどうなの?4 Comments » 

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コメント4件

 aisu | 2007.12.30 10:22

海草は体にいいですよね~。それに調理も簡単だし、大好きです。長生きしても寝たきりではつまらないですから、元気に歳を重ねられたら良いですよね(^^♪

 fwz2 | 2008.01.03 18:55

各地方が持っている伝統的な食文化は、みんなの生活を支えるためのよく考えられたものだったということが分かります。市場社会では、「手軽さ」「美味しさ」だけを求め、夫々が好き嫌いにまかせ食べており肉体が破壊されていくのも当たり前の状況だと感じます。

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