2010-03-30

『次代を担う、エネルギー・資源』 トリウム原子力発電5-2/2 トリウム資源は日本にあるのか?』

前回の記事『次代を担う、エネルギー・資源』 トリウム原子力発電5-1/2 トリウム資源はどこにどれくらいあるのか?』では、トリウム埋蔵量をウランと比較し、日本に存在するのか?の提起までを書きました。
トリウム埋蔵量はウランに比べて3~4倍あり、ウランに比べて遍在性も高いと言われていますが、

確認埋蔵量は、ウランもトリウムも総量はほぼ同じです。産出量はウランではオーストラリア、トリウムではアメリカが突出しています。表を見る限りは、ウランに比べれば広範な範囲に存在していますが、構成比には偏りがあり、「遍在性が高い」と言えるかどうかは微妙なところです。

モナザイトは花こう岩に含まれる鉱石です。そして火山国である日本には花こう岩は至るところに存在しています。本当に日本にはモナザイトはないのでしょうか?それで調べてみると実は日本にも「ないわけではない」ことがわかりました。日本にもあるとすれば、新たな可能性が見えてきます

今回は前回記事における「ウランとトリウムの資源量」の整理と、トリウムが日本に存在するのかどうかを調べてみました。
それではトリウム探索の航海へ!
いつもありがとうございます。

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★★★ウランとトリウムの資源量の再整理
埋蔵量には大きく推定埋蔵量と確認埋蔵量がありますが、改めてこのシリーズでの捉え方を整理しておきます。
★推定埋蔵量のデータの信憑性
確認埋蔵量は今すぐにでも採掘できる量なのに対し、推定埋蔵量とは様々な調査、分析などからこれくらいは分布しているだろうという、文字通り推定される埋蔵量です。トリウムの資源量は、確認埋蔵量に推定埋蔵量を合わせた場合、ウランに比べて3~4倍あると言われます。しかし、その推定の仕方そのものが不明であり、調査元によって手法は異なります。
★確認埋蔵量のデータの信憑性
一方で、ウランに限らず資源全体の埋蔵量の考え方について某研究所1に再度ヒアリングしました。
資源というものは国家戦略上のものであり、その戦略によって実態値は公表しないという可能性も充分にあります。その発表が国家運営に直接影響するので公開していない国も実際多いようです。また、鉱山の運営をするのは多くは株式会社であり、その公表内容は株価に直結します。調査元によりデータが違うのもそうした要因があると思われます。これは石油やレアメタルなど多くの資源に共通です。
そういう意味で、確認埋蔵量は推定埋蔵量よりは信憑性が高い数字だとは言えますが、データの中身はあまり確実ではないと言えます。

とは言え、なんらかの数字がなければ分析のしようがないので、このシリーズでは資源量のベースとしては確認埋蔵量だとして考えます。
★確認埋蔵量は鉱石の量ではなく、含有率も加味した量であると仮定
前回の記事では、確認埋蔵量とは例えばウランならば、ウラン鉱石の量をさすのか、不純物を取り除いたウランそのものをさすのかを調査しました。いったん某研究所1のヒアリング内容を受けて、「確認埋蔵量は鉱石の量である」と仮定し、ウランとトリウムのエネルギー効率について分析しました。
今回、改めて確認埋蔵量について某電力会社と某研究所2にヒアリングしてみたところ、ウランに関してはどちらの見解も「確認埋蔵量はウラン鉱石の量ではなく、純粋なウランそのものの量です」との解答でした。残念ながら、計算方法や根拠までは聞けませんでしたが、あくまでも調査会社の発表に従い、いったんこのシリーズでは、ウラン確認埋蔵量は含有率を加味したウランそのものの量であるという条件で考えることにします。そこで前回の記事を一部修正します。

確認埋蔵量はいったん同じだとして、トリウムの含有量はウランの約10倍です。さらに有効反応成分量を比べれば、トリウムはウランの約1260倍になります。つまり、ウランの1260倍のエネルギーが取り出し可能なトリウムが世界には埋蔵されていることになります。『次代を担う、エネルギー・資源』 トリウム原子力発電5-1/2 トリウム資源はどこにどれくらいあるのか?』より引用

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修正した表では含有量の差(約10倍)は削除しています。大雑把に考えれば、ウランとトリウムのエネルギー資源効率の差は約130倍となります。もし、今後も原発が必要だとされるならば、ウランに比べてトリウムは資源として確実に優位だと言えます。
★★★トリウム資源が日本に存在する可能性
本当に日本にはトリウム資源がないのかどうかを調べてみると、実は日本にも「少ないけれども存在する」ことがわかりました。
★ 鉱石とはどのようにできるのか
石には火山から出たマグマが冷えてできる火成岩と長い年月をかけて堆積し圧力によってできる化石などの堆積岩などがあります。火山の多い日本は火成岩の宝庫です。
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リンクさんよりお借りしました。
そしてモナザイト、トリウムの存在が日本で確認されているのは、岐阜県や福島県です。

オーストラリア,インド,ブラジル,マレーシア,タイ等には,資源として価値のある鉱床があるが,日本では岐阜県南東部の苗木地方や福島県石川地方の小規模な漂砂鉱床の試掘例が有るだけで,資源的価値のある鉱床は存在しない.リンクより引用。

ちなみに、岐阜県のモナザイトは陶器の釉薬として使用されるため、早くから美濃焼の産地では使用されていました。また岩盤浴の岩盤やラドン温泉にもモナザイトは使用されているようです。
★漂砂鉱床におけるトリウム資源の可能性
漂砂鉱床(ひょうさこうしょう)とは、花こう岩などが風化すると,モナザイトが分離し,川や海の水の作用で他の比重の大きい鉱物と共に濃集することをさします。外国のモナザイトが海岸などに多いのはこのためです。
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日本列島における花崗岩類の分布. 画像は中津川市鉱物博物館の『オンライン展示室-さんよりお借りしました。
花こう岩とは、火成岩の一種で、ウィキペディアによると

日本の地表では、阿武隈高地、関東北部、飛騨山脈、木曽山脈、美濃高原、近畿地方中部、瀬戸内海から中国山地、北九州などに広く分布している。

このように花崗岩は地球上ではごくありふれた存在です。日本は火山の島ですから、花こう岩は豊富です。花こう岩は風化しやすく川に流されて川岸でもたまっていきます。例えば、木曽三川により花こう岩が流され河岸で形成されたのが濃尾平野です。
また、河岸でたまる容積が無い場合はそのまま海まで一気に流されるようです。参考リンク
★熱水鉱床におけるトリウム資源の可能性
マグマの近くにある熱水が断層などの亀裂に入り、冷やされて含まれる成分が個体になり形成される鉱脈を熱水鉱脈と言います。マグマ付近の熱水ですから金・銀・銅・水晶や各種の希少金属など、貴重な鉱物を含んでいます。つまり、これは温泉です。この熱水鉱脈が採掘ができるくらい大規模になると熱水鉱床と呼ばれます。ですから鉱山の近くには温泉が多いのです。もちろん、これらが冷えれば花こう岩となります。参考リンク
これらの状況を加味すれば、日本に存在しないと考えるのは難しいです。単に探索していないだけでどこかに眠っている可能性のほうが高いと思います。
★ トリウム資源を探索するにはここを調査。
実際に岐阜県や福島県にはモナザイトの漂砂鉱床が存在しているように、火山の多い日本には花こう岩が至るところに存在します。しかし小規模な漂砂鉱床しか発見されていないのは、日本の川と世界の川の違いが大きいと思います。
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コラムさんよりお借りしました。
日本以外の大陸の川は、ゆるやかに長い道のりをへて海へ流れます。だから河岸や海岸に漂砂鉱床ができてモナザイトが豊富。一方日本は短い距離を急流で一気に海まで流れてしまいます。日本の漂砂鉱床が小規模なのはここに原因があるのだと思います。
しかし、一方では濃尾平野のように一定の条件で花こう岩によってできている地形も存在します。三角州や扇状地など河岸に形成される地形も多いのです。
トリウム資源を本格的に使用していくのならば、濃尾平野のような地形の調査は不可欠です。また一気に海まで流れるとすれば日本近海の大陸棚に堆積している可能性は充分あります。また、熱水鉱床は山だけではなく海底にもあります。日本近海の海底の本格的な調査も必要です。

最後に前回の記事も含めてまとめです。
① ウランが特定の国に偏って存在しているのに対して、トリウムは比較的各国に広範に分布しているとされるが、現状トリウム埋蔵量はアメリカがダントツで遍在性が高いといえるかどうかは微妙です。
ウランの採掘に比べてトリウムの採掘は技術面においても安全面においても非常に容易です。
③ トリウム資源量は今まで注目されていなかったので、本格的に探せばまだまだ発見の余地はありそうで豊富。しかもエネルギー効率も高い。ただし、そもそも発表されているデータはアバウトであり政治判断が入っている可能性が高いです。
日本でトリウム探索を本格的にやるとするならば、1.濃尾平野や温泉近辺、2.日本近海の大陸棚の調査が不可欠です。
日本にトリウム資源が眠っている可能性は充分にあるのです。

List    投稿者 hirakawa | 2010-03-30 | Posted in E03.トリウム原子力発電3 Comments » 

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コメント3件

 雑草Z | 2011.03.17 19:48

 記事の半ばから後半にかけて、私も知らなかったり不確かだったりした内容が色々あり、とても参考になりました。
 原発はメリットなど殆どなく、大方利権だけで動いていると思われますが、一般庶民を人とも思わないような財閥の利権構造は、人類を危機に立たせていますね。

 nannoki | 2011.03.20 0:25

>雑草Zさん
いつもコメントありがとうございます。
原発の問題は、災害時の危険性に留まりません。既にメディアからは、原発の安全性の強化という路線が見え隠れしますが、廃絶⇒代替エネルギーで充分可能ということを、皆で考えていきたいと思います。

 atsushi | 2011.03.25 1:23

るいネットが将来のウィキリークスとして閉鎖されても良いように、自前でバックアップとりたいくらいです。

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