2011-08-15

次代のエネルギー潮汐・海流の可能性 4.世界の潮汐発電はどうなっているか?

みなさんこんにちは!
お盆のお休みはどう過ごされたでしょうか?
今回の記事では、前回に引き続き「潮汐・海流の可能性」の中でも、『潮汐発電とは具体的にどんなものなのか?各国の潮汐発電への取組みはどうなっているか?』を中心に紹介します 😮
 
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☆写真はアトランティス・リソース社によるインドで計画されている潮力発電プロペラです。なんと仕様は、世界最大の直径18m水平2連プロペラ・最大出力1MWの発電機なのです
写真はこちらよりお借りしました
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1.潮汐発電とはどんなもの?
みなさん、潮汐発電といわれどんなものを想像されるでしょうか?
(まだ日本ではなじみの少ない発電システムなので、中々ピンとこないかもしれません。)
前回の記事の復習にもなりますが、『潮汐』とは地球・月・太陽という天体間に働く引力によって生じる潮の周期的な干満現象のことです。
この現象を利用した潮汐発電は、潮の干満の差が大きい湾の入口にダムと水門を設置し、満潮時に水門を閉じ、湾内に蓄えた海水を干潮時に生じる海面との潮位差(水門前後の水面の高低差)により放水し、水車を回転させる発電システムです。
 
※原理的には超低落差・大流量のダム発電のイメージしてみて下さい。
潮位の変化に合わせ、生じる海水の流れに応じてタービンを回し、発電が行われます。満潮時に海水を取り込み(堰を閉鎖)、干潮時に堰を開放して海水を落としてタービンを回すことで、発電するタイミングを調節することで、電力需要のピークに対応するように稼動させます
 
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☆写真はこちらよりお借りしました
 
 
ただ潮汐の大きさ(潮位差)はどこでも一定というわけではありません。それは、地球の自転や海底地形の影響を受けるためです。日本では潮位差の大きな場所がなく、研究開発も各国に比べ遅れているのが現状です。
では、世界の潮汐発電はどのように進められているかを見てみましょう。
2.世界の潮汐発電はどれだけあるのか?
  
現在稼動中の潮汐発電所を以下に紹介します。
   【発電所】                 【国】  【竣工】   【容量(MW=千キロワット)】
1   Sihwa Lake Tidal Power Station   :韓   2011   254.0
2   Rance Tidal Power Station      :仏   1966   240.0
3   Annapolis Royal Generating Station :加   1984     20.0
4   Jiangxia Tidal Power Station     :中   1980      3.9
5   Kislaya Guba Tidal Power Station  :露   1968     1.7
6   Strangford Lough SeaGen       :英   2008     1.2
7   Uldolmok Tidal Power Station     :韓   2009     1.0
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☆写真は6位のイギリスの事例です。発電機の形態も、地形毎に様々な種類があるのです
写真はこちらよりお借りしました
上記を見れば分かるように、上位1位、2位が突出した規模を誇ります。それ以外は非常に小さなもので、これからの開発に向けての試作段階規模だとも考えられます。
  
フランスのランス発電所は建設されてから45年になる歴史をもち、世界最大クラスの能力を持っています。年間の発電量は約6億kWh、平均出力は約68MW、25%以上の稼働率を誇っており、その詳細を次章で紹介します。
そして積極的に開発を進める韓国の先端事例をその次に紹介します。
 
☆記事はこちらこちらを参考にしました
3.世界初の潮汐発電所「フランス・ランス発電所」とは?
潮汐発電の歴史を考えていく上でも、まず世界初の潮汐発電所「フランス・ランス発電所」を紹介します。

○歴史
 1925年にフィニステール県の Aber-Wrac’h で潮汐発電所の建設が行なわれようとしていたが、財政難により1930年に中止された。それに続く事業案として、この発電所が計画された。潮汐エネルギーの利用は、まったく新しい概念というわけではなく、特にランス川沿いの潮の満ち干が大きい地域では昔から潮力水車が使われていた。
 
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潮汐発電所をランス川に建設するというアイデアは、1921年の Gérard Boisnoer から始まる。ランス川は干満の差が平均で8m(大潮では最大13.5m)と大きいことが魅力であった。1943年から潮汐利用研究協会がランス川で潮汐発電を行なう研究を開始したが、1961年まで実行に移されることはなかった。
発電所の建設に先立ち、建設予定地の排水を行なうためのダムを2基、2年がかりで建設しなければならなかった。ランス川が2基のダムで完全に堰き止められ、1963年7月20日に発電所の建設が開始された。
建設には3年かかり、1966年に完成した。同年11月26日に、当時の大統領であったシャルル・ド・ゴールにより発電所の落成式が行なわれた。1967年7月1日には発電所のダム上の道路が開通し、1967年12月4日から送電が開始された。
建設費は全体で6億2000万フラン、約5億3400万ユーロかかった。
24基のタービンによる最大定格出力は24万kWで、フランス全土で消費される電力の0.012%を供給する。年間の発電量は約6億kWhで、平均出力は約6.8万kWである。
○概要
 ディナールとサン・マロの南の河口部にダムがあり、その長さは西のBrebisから東のBriantaisまでの750mである。
ダムのうち発電所の部分は長さが332.5mで、潮の満ち干が及ぶ面積は22.5km2である。
○タービン
 タービンは双方向に機能し、川の流れと潮汐を交互に利用する。
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○評価
 発電所の建設費は多額であったが、その費用はすでに回収済みで、発電コストは原子力発電よりも安い(1kWhあたりの比較で、原子力の25ユーロ・セントに対し18ユーロ・セント)。

 
風景と一体化した規模のこの発電所は、国内でも有名な観光地としても認識されており、潮汐発電の啓蒙に一役買っているのです。
 
☆記事の引用・写真はこちらから
☆さらに詳しいパノラマ写真はこちらから
 
   
4.意欲的な韓国の取組み
では最後に、世界最大規模で潮汐発電への可能性を追求している韓国の先端事例を紹介します。 

2010/02/05
『仁川湾に湖力発電所建設へ』

世界最大の潮力発電所が仁川(インチョン)湾に建設されることになった。韓国水力原子力とGS建設が2017年の完工をめざし、仁川国際空港のある永宗島(ヨンジョンド)と江華島(カンファド)南部の島々に囲まれた海域に総事業費3兆9000億ウォンで建設する。発電量は年間24億1000万KWで、世界最大のフランスのランス潮力発電所を上回る規模だ。
 潮力発電は、潮の干満で海水が移動するエネルギーを電力に変える発電方式だ。水力発電や風力発電、太陽光発電などと同様に自然エネルギーを資源活用する。火力発電のように二酸化炭素(CO2)を排出しないため、次世代の環境対応型・発電方式として注目されている。
 建設予定地は仁川、江華島南部地域、甕津郡長峯島(オンジングンチャンポンド)、龍遊島(ヨンユド)、三木島(サンモクド)、永宗島に囲まれた海域だ。発電所の施設容量は132万KWで、蔚山(ウルサン)市に建設中の新古里(シンゴリ)原子力発電所1基(100万Kワツト)を超える。仁川市の家庭用電力消費量の約60%に相当する24億1000万KWの電力生産が可能だ。 
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 現在、世界最大の発電容量を誇る潮力発電所は、フランスのランス川河口に建設されたランス潮力発電所だ。仁川湾・潮力発電所の発電能力はランスの3・4倍に達する。
 建設工事は年末に着工し、完工は2017年頃の予定だ。韓国水力原子力の金鍾信(キム・ジョンシン)社長は、「仁川湾潮力発電所が稼働すると、原油輸入量を年間354万バレル節減できる」と語った。今後、潮力発電が原子力発電と共に、韓国のグリーン成長戦略をけん引する2本柱になる可能性が高い。
 国土海洋部と韓国海洋研究院、韓国水力原子力、GS建設は2006年から国策事業として「海洋エネルギー実用化技術開発」研究を進めた。この研究結果をもとに年末に妥当性調査を行い、建設計画を正式発表する運びとなった。
 GS建設は第1段階として、仁川近海の各島をつなぐ防潮堤を3カ所設置する計画だ。 江華島南側と長峯島を結ぶ西側防潮堤の長さは7・3kmで、長峯島と永宗島を結ぶ南側防潮堤は4・2km、さらに京仁運河の近海に4・7kmの東側防潮堤を築く。
 防潮堤の高さは8m(平均海水面基準)で、満潮時に海水を湾に閉じ込める貯水機能を持つ。引き潮時に水門を開き、閉じ込められていた海水が湾の外に流れ出る力を利用して、発電用タービンを回す仕組み。
 発電用タービンは直径8・3mで、南側防潮堤の1・2km区間に建設される水門(20カ所)の間に合計44基設置される。東西の防潮堤には発電設備は設置されない。引き潮時のみ発電するので、実際にタービンが回転して発電する時間は1日10~12時間ほどだ。
 さらに、江華島と永宗島を結ぶ防潮堤には往復2車線の道路も建設される。GS建設の許明秀(ホ・ミョンス)社長は「今回のプロジェクトは、新・再生エネルギー分野における次世代成長動力を確保するということ以外に、2つの橋梁を建設することで経済効果も拡大する可能性が高い」と展望した。
 世界最大の仁川湾潮力発電所建設が本格化することで、西海(ソヘ)は世界的にも潮力発電の一大拠点に浮上する。現在、西海岸では、西部(ソブ)発電の加露林(カロリム)湾潮力発電所(施設容量52万KW)、水資源(スジャウォン)公社の始華(シファ)潮力発電所(25万4000KW)、中部(チュンブ)発電の江華(カンファ)潮力発電所(84万KW)など3基の建設が計画されている。
 このように西海岸で潮力発電所の建設が活発な理由は、海域の干満差が8mに達するほど大きいためだ。実際、世界で潮力発電所が建設できる国は、フランス、ロシア、カナダなど4~5カ国にすぎない。
 潮力発電所の設計に参加した韓国海洋研究院・朴振淳(パク・ジンスン)博士は「フランスの場合、干満差が最大13mで、韓国の西海より大きいが、西海は海岸線が複雑なうえ、大小の島が多いため、フランスよりも潮力発電所建設に適した地理的条件を兼ね備えている」と説明した。
 しかし今回の計画について、環境破壊を懸念する声も上がっている。仁川環境運動連合は「海の真ん中にダムのような防潮堤を築くことで干潟が破壊され、海水の自然な流れも遮断されるため、塩分濃度が上昇し水質が極度に悪化する恐れがある」と指摘している。一部では「政府は環境保護を言い訳に、むしろ環境破壊を招きかねない巨大な土木事業を推進しようとしている」との批判も起きている。
 特に仁川湾の北部地域では中部発電と大宇(デウ)建設などによる江華潮力発電所の建設事業も計画されている。仁川湾の潮力発電所建設を合わせた広大な建設予定地には、政府が湿地保護地域に指定した長峯島干潟と、世界の5大干潟に入る江華南端干潟が含まれる。このため、環境保護と漁場確保の観点から建設反対を叫ぶ声が日増しに大きくなっている。
 江華・永宗地域の漁業関係者も2つの潮力発電所建設計画の白紙化を求め、反対運動を展開している。このような動きの中で、仁川市も「仁川湾全体に防潮堤を建設することには問題がある」として、今回発表された潮力発電所建設計画に反対する立場を鮮明にしている。

 
 これに対して、国土海洋部などは「仁川湾潮力発電所は干潟の破壊を極小化する方向で設計されているため、デメリットよりもメリットのほうがはるかに大きい」と説明するなど、地元自治体と住民に対する説得を続ける構えだ。

☆記事の引用・写真はこちらから
海域における干満の差が、潮汐発電に適しているか否かを決定する必要条件において、その時点で日本は各国より潮汐発電の可能性に遅れをとっています。
ただ、この技術自体、まだ・実例の少ないものなので、上記のような環境問題への取り組み面も重要な視点として、みなで考えていかなければなりません。
 
日本もかっては1952年(昭和27年)に『潮流発電計画促進に関する陳情書』が愛媛県町村会より国に提出されており、もしこれが通っていれば歴史は変わっていたかもしれません。

List    投稿者 egisi | 2011-08-15 | Posted in E10.潮汐・海流の可能性1 Comment » 

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コメント1件

 kirin | 2012.07.05 14:21

動画があり、それを端的にまとめてくれているので解りやすく、非常に興味を惹く記事でした。
そのなかで特に興味深かったのは2点。
ひとつは、人工的に作った宇宙線で雲の核ができること。これが事実なら、局部的な豪雨など人工気象操作が可能です。
ただ、宇宙線により分子(や原子)の分解から雲の形成は解ったのですが、加速機で人工的に作る宇宙船のメカニズムがもうひとつ理解できませんでした。
もうひとつは、今後の追求テーマになると思われますが、太陽活動が何によって規定されているのか、という点。
地球が太陽の活動によって規定されているとすえれば、太陽もその包摂した銀河の何らかの活動に規定されているのでしょうか?
人工気象、太陽活動など、今後の追求に期待しています。

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