次代のエネルギー潮汐・海流の可能性 1.潮汐の基礎現象
2010年の10月から11年1月にかけて、<『次代を担う、エネルギー・水資源』水生圏の可能性、水力エネルギーの活用>をとり上げました。
『次代を担う、エネルギー・水資源』水生圏の可能性、水力エネルギーの活用 1.自然エネルギーの原理について
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『次代を担う、エネルギー・水資源』水生圏の可能性、水力エネルギーの活用13.水力比率37%に向かうロードマップ
今回は、海の水力エネルギーである潮汐と海流を扱います。
潮汐は潮の満ち引きです。明石海峡の急流・渦潮をつくり上げる力です。フランスでは潮汐発電所も存在します。
フランスのランス潮汐発電所
(ICOE/海洋エネルギー国際会議から)
そして、黒潮・親潮等の大海を流れる海流です。黒潮は幅100km、最大流速7.4km/時にも達し、巨大な水流れのエネルギーをもっています。
今回は、潮汐は何故起るのかを扱います。まずは、基礎現象からです。
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潮の干満を確認してみよう
田舎は遠州灘の浜辺から5km内陸に入った所でした。夏になると5kmを歩いて海へ行きました。海に近づくと川口の両岸は砂地が現れていて、引き潮の時です。太平洋を望む砂浜は、かなりの沖まで膝位の浅さになり、この砂浜で遊びました。
時間が経つとだんだん潮が満ちてきて、砂浜が深くなり遊びは終了です。帰り道では、川口は両岸共に水が満ちていました。潮の干満の差は、印象では1m程度だったと思います。
この潮の干満を象徴する幾つかの事象を紹介しましょう。
安芸の宮島厳島神社の大鳥居(二つの風景)
厳島神社の大鳥居は、海中に建っています。満ち潮の時は、大鳥居が海面に浮かんで見え、引き潮の時は、海底が現れ歩いて行けます。以下は、『転妻放浪記@広島』さんのブログからお借りしました。
世界最大、15mの干満を起すカナダのファンディ湾
カナダのファンディ湾は、干満周期が湾の形状と同期し、世界最大の15mの干満差が生じます。
5mの波となってアマゾンを遡流するポロロッカ
潮が満ちてくる時、川幅が狭くなると、その分だけ水が高く盛り上がります。この現象が大きくでるのがアマゾン川です。5mもの高波となって川を逆流していきます。
これは、動画で見てもらいましょう。The Pororoca Phenomenon
東洋では、この現象を海嘯(かいしょう)といいます。中国浙江省の銭塘江(せんとうこう)の海嘯(銭塘江潮)が有名です。
潮汐は1日2回って知ってますか
潮の満ち引き・潮汐は1日2回周期
潮汐は知っていても、都市の住民である現代人では、意外と1日2回、満潮と干潮があることは知られていません。釣りをする人はよく見ますが、潮汐表で確認してみましょう。
和歌山県海南の7月30日と22日の潮汐です。1日2回の満潮があることが分ります。
左は30日、新月の大潮、右は22日、下弦の小潮
個人で編集されている潮汐表・tide736.netさんの海南の潮汐カレンダーからお借りしました
潮汐は月及び太陽が作用して起る
潮汐には、潮位の高い大潮、低い小潮があり、大潮は満月と新月の前後に起り、小潮は上弦と下弦の前後で起ります。この観測から、古来から、潮汐は月が起すものと考えられてきました。
しかし、月が及ぼす潮汐のメカニズムについては、近代天文学の知見が必要でした。
地球が太陽の周りを回り(地球の公転)、月が地球の周りを回り(月の公転)、地球は自転しているという知見です。そして、天体間の重力(引力)です。
地球の公転、月の公転で、太陽・地球・月が直線に並ぶのが満月と新月です。満月は<太陽-地球-月>と並び、新月では<太陽-月-地球>と並びます。この時、満潮水位の高い大潮となります。月と太陽の引力が合体して地球に加わり、大潮が起ります。
一方、満潮水位の低いのは、上弦・下弦の時です。<太陽-地球>と<地球-月>は直角の配置関係をとります。月の引力と太陽の引力が違った方向に働くため小潮なのです。
月と太陽の引力(重力)が作用して、潮汐が起ると整理されます。地球上の一地点で、月が正面に来るとき、満月なら午前0時に月が正面に来て、月の引力が働き、海水が盛り上がるという理解になります。
しかし、月が正面に来るのは、地球の自転が有るからで、1日1回です。しかし、潮汐は1日2回周期です。まだ、隠れたメカニズムがあるはずですね。
長くなりましたので、次の記事(数日以内)とします。
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