2010-01-20

『次代を担う、エネルギー・資源』 林業編1 林業の現在~循環型社会の実現に向けて~

 今後の人類の生産・消費のための『エネルギー・資源』の方向は、自然の摂理に則り、太陽エネルギーの循環サイクルのなかで行うことが前提になる。
そのためには、地域毎の気象特性を生かし、低密度エネルギーを効率よく取り出し、より自給自足・地産地消的に生産・消費を行う必要がある。

『次代を担う、エネルギー・資源』プロローグより 

新資源のうち、まずは最も身近で、量的に他を凌駕する木材資源(林産系)に着目してみます。
日本の国土の66%は森林、この森林率は先進国の中ではフィンランドについで世界第2位です。(後進国を含めた統計でも18位!)

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にもかかわらず供給されている木材の8割を外国からの輸入に頼っている といういびつな現状になっています。私たちは、日本が持っているこの豊富な木材資源をほとんど利用できていません。そのこと自体とっても不思議なことです。
そして・・・
資源としては目新しいものではないですが、眠っている木材資源は木材として利用した後にエネルギー資源として再利用できるというメリットを内臓しています。
使い捨て+非循環型の化石燃料にかわるエネルギー源として、木材にどれだけの可能性があるのか考えてみたいと思います。
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まず、日本の林業の現状はどうなっているのでしょうか。
日本の森林政策の歩み
日本は戦後「拡大造林政策」をとり、残っていた天然林を針葉樹の人工林に置き換えていきました。しかし燃料が木炭や薪から電気・ガス・石油に切り替わるなか、建築用材としての需要増加による価格上昇を見込んで針葉樹林を急拡大しましたが、実際には木材の輸入自由化により価格競争力を失ってしまいました。そして、森だけが残されたのです。

「森林・林業学習館」 さんより引用
昭和20年~30年代には、日本では戦後の復興等のため、木材需要が急増しました。しかし、戦争中の乱伐や自然災害等の理由で供給が十分に追いつかず、木材が不足し、高騰を続けていました。
このため、政府は造林を急速に行なうため「拡大造林政策」を行いました。「拡大造林」とは「おもに広葉樹からなる天然林を伐採した跡地や原野などを針葉樹中心の人工林(育成林)に置き換えること」です。伐採跡地への造林をはじめ、里山の雑木林、さらには、奥山の天然林などを伐採し、代わりにスギやヒノキ、カラマツ、アカマツなど成長が比較的早く、経済的に価値の高い針葉樹の人工林に置き換えました。
里山の雑木林等の天然林の価値が薄れたため広葉樹は伐採され、建築用材等になる経済的価値の高いスギやヒノキの針葉樹に置き換える拡大造林は急速に進みました。このスギやヒノキの木材価格は需要増加に伴い急騰しており、木を植えることは銀行に貯金することより価値のあることのように言われ、いわゆる造林ブームが起こりました。この造林ブームは国有林・私有林ともに全国的に広がり、わずか15~20年の間に現在の人工林の総面積約1000万haのうちの約400万haが造林されました。
政府は「木材は今後も必要な資源で、日本の経済成長にも貢献する」と判断しました。そして、木材の生産力を飛躍的に伸ばし木材を大量確保するため、拡大造林政策は強力に推し進められました。
この拡大造林の時期は「燃料革命」と重なります。当時の家庭燃料は木炭や薪が中心でしたが、この時期には電気・ガス・石油に大きく切り替わっていきました。もともと農家周辺の里山の雑木林は、家庭燃料や農業に必要な肥料・飼料などの採取場所として生活に欠かせないものでした。また、都市に薪や炭を供給する役割も持っていました。木炭や薪などのエネルギー源として利用されていた木材は、この燃料革命とともに、もはやエネルギー源としては時代に適さないと考えられるようになりました。
この燃料革命と同時期の昭和30年代、木材の需要を賄うべく、木材輸入の自由化が段階的にスタートし、昭和39年に木材輸入は全面自由化となりました。国産材の価格が高騰する一方で外材(外国産の木材)の輸入が本格的に始まったのです。外材は国産材と比べて安く、かつ大量のロットで安定的に供給(一度にまとまった量を)供給できるというメリットがあるため、需要が高まり、輸入量が年々増大していきました。しかも、昭和50年代には、変動相場制になり、1ドル=360円の時代は終わりました。その後、円高が進み、海外の製品がますます入手しやすくなったのです。

市場に乗らなくなった資源=負の遺産
これらの影響で、昭和55年頃をピークに国産材の価格、産出額ともに落ち続け、日本の林業経営は苦しくなっていきました。昭和30年には木材の自給率が9割以上であったものが、今では2割まで落ち込んでいます。日本は国土面積の67%を森林が占める世界有数の森林大国です。現在の木材の国内需要は昭和40年ごろとほぼ同じ水準です。バブル期の平成元年には約1.5倍に増えましたが、その頃既に供給の主役は輸入材にとって代わっています。現在も消費量の8割は外国からの輸入です。

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間伐を中心とした保育作業や伐採・搬出等に掛かる費用も回収できず、林業はすっかり衰退してしまいました。間伐をはじめとする森林の整備(手入れ)を行ったり、主伐(収穫のための伐採)を行っても採算がとれず、赤字になってしまうのです。
林業経営者の意欲は低下し、若者は都市部へ雇用を求めるようになりました。また、林業以外に目立った産業のない山村地域では、林業の衰退とともに、地域の活力も低下し、林業離れによる後継者不足、林業就業者の高齢化、山村問題、限界集落と呼ばれる問題まで起こっています。
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一方で国内の拡大造林政策は見直されることなく続けられていました。
平成8年にようやく終止符が打たれましたが、木材輸入の自由化、そして外材需要の増大の影響で、膨大な人工林と借金が残りました。
国内生産量のポテンシャル
さて、木材資源は現在でも国内消費量をまかなえるのでしょうか。

国内需給量の変遷
S35年度 国内消費量  71,462千m3  国内生産量 63,762千m3
S40年度 国内消費量  76,798千m3  国内生産量 56,616千m3
H01年度 国内消費量 115,988千m3  国内生産量 32,577千m3
H20年度 国内消費量  78,706千m3  国内生産量 19,424千m3

H20年度の用途別需要
製材用材  27,152千m3
パルプ・チップ 37,856千m3
合板用材  10,269千m3
その他用材  2,688千m3
しいたけ原木   548千m3
薪炭材    1,005千m3

(林野庁H20年度 木材需給表より抜粋)

林業が活気付いていたS35年頃の生産量があれば、H20年度国内消費量の80%はまかなえるわけです。
さらに眠っている間伐材を積極的に利用すると、年間で6,000千m3の供給上乗せが期待出来、国内消費量の90%を国産材で供給できることになります。
(参考:H18年度 間伐材利用量 28万ha・・・3,240 千m3)
政府はH19年に「美しい森林づくり推進国民運動」を打出して、55万ha/年(6年で330ha)の間伐を実施するという目標を掲げました。
(参考:平成18年以前の民有林における間伐の実施状況等

 このままエネルギーを外国に依存したままだと、世界を取り巻く市場主義者の思惑が、脱市場の新しい社会の創造の障害になる。また、経済破局のような事態になれば、貿易停止で日本社会は大打撃を受けてしまう。
 
『次代を担う、エネルギー・資源』プロローグより

国産材の需給バランスに向けてのハードルは外材との価格差と労働者確保、そして諸外国の圧力です。
それらは難課題ですが、国産材利用を推進する政策と林業を「必要な産業」とする大衆共認が形成されさえすれば、ほぼ同時にクリアする問題です。
経済破局下で日本が生き残るには、主要産業で輸入を抑制して出来る限り国内で収支バランスをとることが不可避の課題です。
さらに・・・
環境負荷の低い、化石燃料にかわる循環型エネルギー源(バイオオイル等)として、木材には大きな期待がかけられます。
なにしろ木材の資源量は十分にある日本です。新しいエネルギー源として木材を活用できるとなれば林業再生は現実味を帯びてきます。

 市場原理を脱却した、自然の摂理に則った新エネルギー・新資源の構築は、物的需要を越えたところに、新たな生産を創出し、活力のある集団と社会の再生に繋がり、共認充足を得る場を開く可能性を持っている。 
『次代を担う、エネルギー・資源』プロローグより

続いて、木材需要の実態と間伐材を利用した産業の展望、エネルギー源としての木材の可能性を追求していきます。
次回にご期待ください。
(画像は「森林・林業学習館」 さんから拝借しました)

List    投稿者 finalcut | 2010-01-20 | Posted in E02.林業編No Comments » 

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