2009-09-11

【人口問題】10~人類500万年の99.9%以上を占める洞窟の極限生活のなかで、人口増大につながる観念内容が形成された?①『観念原回路の形成過程』


これは、人類の進化系統図です。
人類の最大の武器はサル時代から継承してきた共認機能と共認機能を進化させて生み出した観念機能です。
そして、その観念機能は人類500万年の歴史の99.9%以上を占める洞窟での極限生活で獲得したものです。
今回は、人類がどのように観念機能を獲得してきたかを見ていきます。

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2.25億年前~6500万年前の比較的温暖で恐竜・大型爬虫類の全盛期(中生代)に哺乳類が登場したが、約6500万年前に隕石衝突によって気候が大変動、恐竜など全盛を誇ってきた生物の70%が絶滅したと言われている。
そして、突然訪れた苛酷な環境が回復して元の状態に戻ると、陸・海ともに、これまでの外敵がいない環境となり、生き延びた少数の哺乳類、鳥類、被子植物らはその後、個体数を増やし繁栄を極めた。
ところが、生物は環境限界を超えて個体数を拡大することはできない。
外敵闘争において弱者だったモグラの一種が木に登り、原猿(霊長類)となって環境適応して共認機能を獲得した真猿に進化し、500~700万年前には、肢の指が先祖返りして木に登れなくなった猿が木から落ち、猿人が登場したのである。
この頃の状況から見ていきたい。
 
 ●生きているのが奇跡的なくらいの極限状況だった

足の指が先祖返りして、それ以前の獣たちと同様、足で枝を掴むことが出来なくなったカタワのサル=人類は、樹上に棲めるという本能上の武器を失った結果、想像を絶する様な過酷な自然圧力・外敵圧力に直面した。(実現論より)

【外敵状況】
当時、歩行速度も遅く、身体的な武器もない動物以下の存在である人類にとっての脅威は、肉食哺乳類や爬虫類ばかりではない。草食哺乳類でも相手は体長4mもあり、突進されればひとたまりもない状況だったろう。
(「古世界の住人」を参考にさせていただきました。)
 
【自然外圧の状況】
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南極ボストーク地区の堆積物コアから得られたδ18Oデータによる過去500万年の気候変化想定。横軸は左が現在で単位は百万年前、縦軸は気温変化(℃)を示す。(Wikipediaより
長期的には5500万年前から現在まで地球は寒冷化の一途を辿っており、約4000万年前には南極に氷床が形成され、300万年前には北半球にも氷床が拡大した。また、短期的には、上のグラフに見られるように、大きな振幅をもって変動しており、それにより植生が大きく変動して、食物連鎖のバランスが崩れ、あらゆる生物が変動する環境限界の中で生存競争を繰り広げていたと考えられる。
そのような過酷な環境下で、身体機能が他動物に比べると遥かに劣り、樹上という「安全で」「食料もある」環境を失った木から落ちた人類は、外敵と気候変動から身を守るために洞窟に隠れ棲むしかなく、外敵がひしめき合う地上で確保できる食料は、死肉、コケ、虫、木の根など、決して他の動物が口にしないものばかりだったのである。
ちなみに、この時代、人類は夜行性であり、初期段階で犬歯が退化し、臼歯が発達したのは、木の根っこや骨髄など硬いものを食べていた証拠であり、過酷な外圧状況であったことを証明している。
このような極限状況で、人類はどのように生き延びてきたのだろうか?
 
 ●絶望的な状況下で、共認機能に全面収束し、生きてきた

本能上の武器を失った人類は、残された共認機能を唯一の武器として、自然圧力・外敵圧力に対応し、そうすることによって、共認機能(≒知能)を更に著しく発達させた。(実現論より

本能では到底生きていけない絶望的な状況下で、根源的な適応欠乏に導かれて、人類はサル時代に獲得した、唯一の武器である共認機能に全面収束していくことになる。
恒常的な飢えの苦痛と怯えを解消するために、お互いに身を寄せ合い充足を得る(親和共認)、そして、その充足と充足を与えてくれる仲間に対する全面肯定視を基盤に、みんなの表情や身振り手振りを羅針盤に行動を模索しただろう(課題共認・評価共認)。
さらに、絶望的な不全を和らげるために始めた仲間同士での単純なリズムの足踏み=「踊り」が、トランス状態に導いて不全を解消(解脱共認)するとともに、恐ろしい外敵に立ち向かっていくための意欲も奮い立たせたと考えられる。(闘争共認
概ね500万年前~200万年前の猿人は、このように共認充足を唯一の活力源として生きてきたのである。
そして、「トランス状態とは、共認機能がフル稼働し、自分の存在を文字通り「超えて」、廻りの全てと完全に同化した状態」(「トランス状態=同化状態」西谷さんであり、この時、脳内にはβ-エンドルフィンなどの脳内麻薬物質が分泌される。
 
この繰り返しによって、猿人の一部は、脳内物質を分泌する方法を獲得して同化回路=共認回路を強化し、仲間同士の脳波の波動が同化・同調するチャネリング回路を獲得していったと考えられる。
(参考:「チャネリングは日常的な意識だった」阿部さん
 
尚、この時期の女は、外圧がより過酷(=存在理由欠乏も強い)でありながら解脱充足は少ないため、その不全は男に比しても深刻であり、「女の極限的不全状況⇒依存⇒充足期待が相まって強力な快感機能=エンドルフィン・エクスタシー回路を発達させ、宇宙と一つに溶け合う感覚を獲得する」(「原始人類(後期)の全員婚」岡本さんとあるように、エクスタシー(オーガズム)が後々のチャネリング回路獲得の原動力になった可能性もある。
(参考:「性充足と脳回路(2)~オーガズムの獲得と観念機能~」西谷さん
 
 
 ●自然を対象にチャネリング回路を作動させることで万物の背後に精霊をみる観念原回路を獲得した

極限状況の中で、人類は直面する現実対象=自分たちを遥かに超えた超越存在たる自然を畏れ敬い、現実対象=自然に対して自分たちの生存(=危機からの脱出)への期待を込め、自然が応望してくれる事を切実に願った。つまり、人類は直面する過酷な現実対象=自然を凝視し続ける中で、元来は同類を対象とする共認機能を自然に対して作動させ、自然との期待・応望=共認を試みたのである。そして遂に、感覚に映る自然(ex. 一本一本の木)の奥に、応望すべき相手=期待に応えてくれる相手=精霊を措定する(=見る)。人類が万物の背後に見たこの精霊こそ、人類最初の観念であり、人類固有の観念機能の原点である。実現論

約300万年前、地殻変動が活発化して、ヒマラヤ山脈の出現や北米・南米が近接するなど大陸が大きく隆起・移動、北半球高緯度の陸地面積の拡大や海流循環の変化により、北半球に氷床を形成して寒冷化が強まり、人類はこれまで経験したことのない極限状況を断続的に迎えることになる。
人類は、さらなる極限状態の中で、元々は仲間を対象にしたチャネリング回路を、本能ではどうしようもない自然に対して作動させてみた。
仲間と違って自然は必ずしも応えてくれる訳ではなかったが、強烈な適応欠乏に導かれて、充足可能性だけを探索するベクトルも同時に働き、 これまで不全の対象でしかなかった自然を可能性探索の対象として直視、全面肯定視し、応合する相手として、その背後に精霊を措定した
これが観念原回路である。
つまり、
極限的外圧状況⇒不全を和らげるための解脱共認⇒踊り・性充足⇒トランス回路⇒チャネリング回路⇒(自然を相手に作動して)観念原回路
という流れで観念原回路を形成したのである。

かくして人類は、生存課題の全てを本能⇒共認⇒観念(精霊信仰)へと先端収束させる事によって、観念機能(→二〇〇万年前の言語機能を含む)を発達させ、その事実認識の蓄積によって生存様式(生産様式)を進化させていった。(実現論より

脳容量が、猿人400ml→原人600ml→初期新人1200mlと拡大しているのは、観念機能の発達を示しており、特に、200万年前以後の運動性言語中枢(言葉を発話する機能の中枢)であるブローカー野の痕跡、喉仏の形状変化は言語機能の獲得を示している。
観念機能=脳を発達させると、出産負担、育児負担、エネルギー負荷などの生命的負担が大きくなるため、全ての生物に脳の発達を抑制する遺伝子がセットされているが、約300万年前の猿人段階でその遺伝子が欠損していることが分かっている。
それは、人類は敢えてこの危険な脳の発達をさせる生き残り戦略にでた、ということであり、それほど過酷な逆境状況であったのである。
次の投稿では、人類がそれらの生命的負担をどのように克服してきたのか、そして、どのような人口増大につながる観念内容が形成されたのかを見ていきます。

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コメント3件

 ジャギ様 | 2010.04.19 16:39

 初めてこのブログを覗き書き込みいたします。
 オピニオン系のブログは思い込みの激しい方が運営されていて、正直辟易していましたが、
ここのブログは素晴らしいの一言につきます。
 バックナンバーを全て閲覧、印刷しても同じ時間の読書より情報量・コストとも問題にならないくらい私が知りたいことの目白押しです。
 仕事で面談する消費者団体の人にも教えたいと思います。

 管理人 | 2010.04.19 19:06

ジャギ様、コメントありがとうございます。
当ブログの管理人です。
今回の記事は私ではなく他の会員メンバーの記事ですが、当ブログを応援していただいたコメントなので横レスさせて頂きます。
当ブログ『自然の摂理から環境を考える』は、
人間の営為である過剰な工業生産により、人工物質が環境を破壊し、肉体をも破壊していくという事実から、その原因である市場拡大の問題性を明らかにし、自然の摂理に立脚した社会のあり方を、みんなで考えていこうと立ち上げたブログです。
既存の学説や常識や個人の価値観にとらわれずに、素人の手で(みんなの力で)現象事実を探索し、新たな仮説を立てて、真理を追究していきたいと思っています。
今後とも、応援のほどよろしくお願いします。

 egisi | 2010.04.21 14:02

ジャギ様、初めまして。
コメントありがとうございます。
このシリーズだけでなく、その他の記事も読んでくださったということで、大変嬉しく想います(笑)。
このブログは、管理人の方がコメントしているように、多くの素人(プロではない方)が、日々の可能性の探索の積重ねにより生まれたものです。
(僕も当初は、植物や藻について全くわかっていませんでした(笑)。)
今後も、みんなが抱える課題に、様々な角度から応えていきたいと想うので、是非、他の仲間の記事にもコメントを頂けるとすごく嬉しいです(笑)。
また、応援よろしくお願いします!

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