2009-03-26

【人口問題】2~本能態の単一種が増殖し続ける事はない~

プロローグを受けて、今回は、第一回目として「生物史において、「本能態」の単一種が、人類のように増加し続けるようなことはありえたのか!?」を明らかにしていきたいと思います
皆さんはクラゲやねずみやバッタ等の生物が大量発生しているニュースを見た事はありませんか?
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(↑大量発生したミズクラゲ@新潟・佐渡2008年7月
これは人間で言われる人口爆発と同じようなものなのでしょうか。
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□生物の増え方はネズミ算!?
ここである例を見てみたいと思います。
Apodemus_sylvaticus_bosmuis.jpg
(↑一匹だとかわいい…ねずみ
オーストラリアを初めアメリカ南部やアジア諸国に生息するイエネズミは、何年かに
一度、異常繁殖します。するとその捕食者である鷹、ふくろう、猫等の数も増殖しますが、
もの凄い勢いで増殖するイエネズミには到底追いつくことはできません。
とすれば、イエネズミは際限なく増殖を続けるのかというとそんな事にはなっていません。
イエネズミの集団密度が増すと、ある種の細菌がネズミの群れに大感染を起こし、ネズミは次々に敗血症を起こして死亡してしまいます。こうして数は急減し異常繁殖は終わりを告げるのです。
また、
大陸の砂漠地帯に分布するワタリバッタやサバクバッタ等はときに大量発生して大集
団を作り、集団が通りかかった地域の田畑は壊滅的な被害を受けます。これは、古来より恐れられているもので、蝗害(「こうがい」と読む。バッタは漢字で「飛蝗」と書きます。)という名前までついているほどです。バッタは普段、個々の個体は離れて暮らしているのですが、個体数が増加して密度が高くなってくると、それを感知する能力を持っていて、羽を普通より大きく成長させたり、筋力を増強させたりして(相変異と呼ばれる)、他の生息場所を求めて飛んでいきます。とはいえ、何千kmも移動する渡り鳥のようなスタミナは持っていない上、昆虫であるバッタが生息できる環境条件は限られています。そのため、その範囲で食べる物が無くなれば、共食いまで起こり、大量発生した後には、やはり大量の死骸が発見されているのです。
DesertLocust.jpg
(↑相変異前(上)と相変異後(下)のバッタ
どうもネズミもバッタも一時期は大量に増殖するものの、ねずみ算のようにはいかな
いみたいですね。
なぜネズミやバッタのような結末になってしまうのでしょうか。
実は、このような生物の個体数の増え方に関する研究があるので見てみましょう。
□生物の個体数の増え方に関する研究
アメリカのパールは1920年代に、ショウジョウバエの個体数増加について研究しまし
た。瓶に餌として一片のバナナをいれ、これにショウジョウバエをいれて個体数増加
を見たところ、個体数は当初は素早く増加しますが、次第にその増加率は下がること
を発見しました。この原因は、密度効果と呼ばれ、えさの不足、住みかの減少、必要
資源を求めての競争激化、排泄物の増加等による生息環境の悪化などが挙げられま
す。また相互干渉と言って個体数が多くなると、互いに接触する局面が増え、その結
果、それぞれの活動を邪魔したり、傷つけ合ったりと言った直接的な影響が生まれま
す。例えば、産卵時に他個体と接触することで産卵行動が邪魔されると産卵数が減少
する、というような例です。
このハエの個体数と時間の関係をグラフにすると下図のようなS字曲線を描きます。彼はこの曲線を個体数増加の一つの型と見なし、ロジスティック曲線と呼びました。(グラフ中のKは環境外圧に適応できる個体数を表しています。)
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(↑ロジスティック曲線)
□本能動物は増殖し続ける事はない
先ほどのネズミやバッタの爆発の例も、ロジスティック曲線に当てはまります。
生物は全て環境外圧に対する適応態として存在しています(リンク)。
本能態の生物が適応できる環境を越えて適応するためには、DNA変異をするしかありません。
これはこの地球上に無数の種の生物がそれぞれの環境内で生きている事からもわかります。
本能態の単一種が人間のように環境を越えて増殖し続けることは出来ないのが自然の摂理のようです。
次回は共認動物である猿を見ていきたいと思います。
<参考文献>
http://www2.plala.or.jp/dontak/lemming.htm
http://www.takenoma.com/hibiki-42.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%A4%89%E7%95%B0_(%E5%8B%95%E7%89%A9
http://www.geo.titech.ac.jp/lab/ida/numexe/manual/3/logistic.html

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コメント9件

 リンゴヨーグルト | 2009.11.17 2:43

子供の頃には、生野菜をたくさん食べないと癌になってしまうとおどされ、逆に食べ過ぎると体調を壊してしまう今の野菜って、なんだかへんてこですね。
(僕はこのせいで、子供の頃は大の野菜嫌いでした(笑))
野菜も人間も動物も、生物という視点からスタートして、事実を見極めていかないといけませんね!。

 retasu | 2009.11.19 15:07

生野菜は健康にいいって言われてきましたが、それは戦後の話。なんとびっくりです。肉食とセットのサラダとしての西洋食文化だったんですね。
たしかに日本食文化では薬味以外は、煮物・漬物など、あまり野菜の生食はないように思います。日本人にとっては、生野菜も肉も体に合う食文化ではない=危険、という認識が必要ですね。

 fwz2 | 2009.11.21 15:32

>チンゲンサイ  16000㎎/㎏
これは、野菜に含まれる硝酸塩を1㎏当たりに換算したデータで、これまでの検査の中で最高の数値を示している。世界保健機構(WHO)は、硝酸塩の単独致死量を4gと定めているから、たったの3株食べただけで人間が死ぬ計算になる。<
長い間野菜は身体に良いといわれ続けてきたが、驚きです。人工的に育成された野菜は「スカスカ」(=本来の栄養素が蓄えられていない)だというのは聞いていたが、窒素過多だと野菜自体危険なものとなるとは!!
これを大量に摂取したヤギが死んだ例もあるようで、何を口にしているか分からない現代、何か同じものを大量に食するのは致命的になりかねないですね。

 leonrosa | 2009.11.24 19:04

皆さん、コメント返しが遅くなりました。
リンゴヨーグルトさんへ
ピーマンや人参が嫌いな子供に、「癌になる」といって、食べさせるのも凄いですね。
但し、肉類は酸性ですから、野菜類もちゃんと取る必要があったのです。
retasuさんへ
牛乳にしても、パン食にしても、今回の生野菜にしても、全てのスタートが進駐軍ですね。
fwz2さんへ
一昔前は、施設野菜・促成野菜は商品作物の花形でした。狭い農地でも稲作農家よりも現金収入が大きくなります。
都市近郊の農地面積の少ない農家や少ない水田しか持っていない農家が、施設野菜や畜産にシフトしました。
その行き着いた先が、スカスカの野菜、未消化の肥料(硝酸塩)を抱え込んだ危険な野菜ですね。

 かやねずみ | 2009.11.25 19:39

ここで「窒素肥料」と言われているのは、科学肥料のことでしょうか?我が家は、主人が家庭菜園でつくっている野菜に、農協から鶏糞その他の有機肥料を買ったり、コンポスターでつくった堆肥をやっています。買うときも自然食品を扱う店で、無農薬あるいは省農薬、有機栽培の野菜を買っています。以前に読んだ本で、そういう自然の肥料でもよくない、本来は草木灰を肥料につかうべき、という説もありました。確かに、鶏糞といえども、おかしな飼料をもらってる鶏の糞ですから、良くないのかもしれません。
しかし、こういうふうにチェックしていくと、安全な食べ物を入手するのは、一種、マニアみたいな気がしてきました。

 leonrosa | 2009.11.29 19:00

かやねずみさん、コメントありがとう。返しが遅れました。
窒素肥料は、化学肥料を指しています。但し、堆肥肥料も、窒素分を多く含んでいます。
どちらにしても、野菜に対して、栄養過多(窒素成分過多)にしない方が良いということです。
市場原理に合わせる施設野菜栽培では、促成の為に肥料過多にしがちですが、家庭菜園では、その必要性がないですね。野菜を少しいじめる位(栄養不足状態)にした方が、野菜も頑張り、味も栄養も豊富な野菜が育つのでしょう。

 匿名 | 2012.10.26 23:45

>チンゲンサイ  16000㎎/㎏
これは、野菜に含まれる硝酸塩を1㎏当たりに換算したデータで、これまでの検査の中で最高の数値を示している。世界保健機構(WHO)は、硝酸塩の単独致死量を4gと定めているから、たったの3株食べただけで人間が死ぬ計算になる。
これは変ですね。1kgあたり1.6gですから、致死量の4gには3株ではなく3kg弱必要です。チンゲン菜1株が1kgということになってしまっていませんか?

 いちかわ | 2013.03.17 8:21

かやねずみさんへの回答に、同感ですね。

 ぴのこ | 2013.04.14 0:14

みなさん、コメントありがとうございます!
mgをgに変換すると、「1000mgで、1g」。
チンゲン菜16g/㎏、入っている。
4gで致死量なので「0.25kg(250g)」分で致死量になる。
チンゲン菜は、だいたい1束100gなので、
3束=300g食べると致死量の250gを超えてしまう。
ということなのですが、いかがでしょうか?

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