2009-08-12

【人口問題】9~人口はどのように増加してきたか


東京大学 | 大学院医学系研究科 | 国際保健学専攻 | 人類生態学教室 生態学第25回「世界人口予測と地球の環境容量」(2001年12月13日)から借用させていただきました。
今回から、いよいよ人類の人口増加について追求していきます。
上は、100万年前以降の人口推移グラフで、左上は均等目盛り、左下と右上は片対数の目盛り、右下は両対数の目盛りになっています。
均等目盛りで見ると近年の急増が大きすぎるため微細な動きは見えませんが、片対数及び両対数でグラフ化すると、 ①30~20万年前頃 ②1万年前頃 ③8000年前頃 ④5000年前頃 ⑤200年前頃 ⑥10年前頃に変曲点が見えてきます。
今回は、まず、これを手掛かりに人類の人口がどのように増加していったのかを俯瞰した上で、人口が増加してきた要因について、仮説を整理していきます。

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●500万年以降、起伏を繰り返して人口は増加してきた!
・サルと人類を分かつのは、500万年前の木から落ちたサル=猿人の登場であった。木から落ちたサルは、樹上に棲めるという本能上の武器を失った結果、想像を絶する様な過酷な自然圧力・外敵圧力に直面し、生き延びることに精一杯で、人口は横ばいの時代が続いた。
200万年前に登場した原人は、言語機能も獲得するまでに観念機能を発達させることで、環境適応力を高め、人口は僅かながら増加するようになった。
20万年前頃、ホモサピエンスが登場。十数年前には生息していたアフリカ大地溝帯で気候変化が起こって環境限界が狭まったため、決死の思いで拡散適応し、総数としては人口微増したと考えられる。
ちなみに、7万年前、スマトラ島のトバ火山大爆発で地球の気温が平均3~3.5度低下し、それまで10万人程度いたホモサピエンスの人口が1万人程度に激減したと言われている。(その後、再び拡散適応し人口微増)
・そして、1万年前、ホモサピエンスが弓矢を発明し、外敵に対抗できる戦闘力を獲得することで洞窟から脱出できるようになり、温暖化も相まって人口が急増
・その後、定住してからも人口増加、食糧不足に適応するために、8000年前頃に農業、遊牧を始めることで、さらに人口増加していった。
・ところが5000年前頃、武力により国家統合されると、新たに私権によって環境限界が形成され、生かさず殺さずの厳しい私権制限を強制され、人口は微増の期間が続いた。
・そして、約200年前の産業革命以降、私権獲得の可能性が開かれると人口爆発し、10年程前から、先進諸国では人口減少した・・・・・・
というのが、人口増加の大きな流れと見ることができる。
そこで、これらの人口増加の要因を考えてみたい。
●これまでの人類以前の生物の個体数増加の追求から、次の点が分った。
・種の保存のため、集団内で常に個体数を増やそうとするが、それは環境限界の枠の中に留まる。
・環境限界という逆境を迎えたとき、生物は「生き残るための死」(アポトーシス)あるいは、「新機能の獲得により自らの環境適応力を強化すること」で、種を保存してきた。
・同類闘争圧力という新たな外圧により、共認機能を獲得して生き延びたサルは、同類圧力で統合された集団という新機能を形成し、集団として環境適応力を強化してきた。
それでは、
●人類の人口増加の要因は?
>万物は進化積層体である。
人類も、本能態、共認態が獲得してきた適応機能を継承した上で、人類にとっての新機能=観念機能を塗り重ねてきた。その観点から人類が連続的に人口を増加させてきた要因は4つあると考えられる。
【人類も淘汰圧力がかかると個体数を増やそうとする生物原理に沿ってきた】
・大きくは、人類も「淘汰圧力の下、種の保存のため常に個体数を増やそうとしており」、「外圧⇒新機能獲得→環境限界の拡大(適応)→環境限界の枠の中で個体数増加」という生物原理に沿ってきた
・しかし、過酷な外圧状況では、生き残ることが第一課題になる一方、現代の先進国のように外圧がなくなると生物原理が働かなくなり、人口が減少する。
【サル以来の集団という適応機能で環境適応してきた】
・サルと同様、人類も共認動物故、同類圧力で統合された集団という適応機能をもつ。過酷な外圧状況下では、これを更に強化することで、環境限界を拡大=環境適応力を強化してきた。
【人類にとっての新機能=観念機能で環境適応してきた】
・人類にとって、逆境に適応するための新機能とは、本能機能―共認機能に塗り重ねる形で獲得した「観念機能」である。
・観念機能によって自然外圧、外敵圧力、同類(闘争)圧力という外圧を克服して、環境限界を拡大=環境適応力を強化してきた。
【観念機能が人口増加を後押しする観念内容を生み出し、先端収束した】
・そうして環境に適応する中で観念機能が人口増加を後押しする観念内容を生み出し、その観念内容に先端収束することでさらに人口増加を促した。
★外圧に適応するために、これらの機能を塗り重ねることで、人類は生き延び、人口を増加させてきたと考えられる。
この仮説を元に、時代を遡って人口増加の過程さらに詳しく追っていきます。
次稿から、人類の500万年の歴史の99.9%以上を占める洞窟での極限生活で人口増加の原因となる「観念機能」「集団としての環境適応力」「観念内容」がどのように進化・形成されてきたのかを見ていきます。

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コメント2件

 nae | 2010.03.11 21:09

>原子核が分裂するときのわずかな質量の減少が、すごい大きなエネルギーに変換されている
>核反応でエネルギーを放出しても、エネルギーに変わる質量はほんの少しの量なので、物質そのものはほぼそのまま残る
という点、ナルホド!でした。
質量とエネルギーの関係が分かると、原子力発電の際に投入した原料の多くが放射性元素となって残ってしまうことにも納得できますね!
>核反応とは、何千万年~何十億年という宇宙の時間スケールで起こる反応
>核変化を起こす物質(放射性元素)は、安定状態=低エネルギー状態になるまで、人間の歴史をはるかに超えた期間に渡って放射線を出し続けることになる
という点も、ナルホドです。
たとえば石油などを利用するのは、長大な時間をかけて高密度になったエネルギーを一気に消費してしまっていることになりますが、
原子力発電の場合も、どうも自然の摂理からは逸脱したスピードでエネルギーを獲得しようとしているように感じます。
こうして原理を押さえていくと、原子力エネルギーに対する「コワイ」「アブナイ」などの根拠のないイメージから、事実はどうなのか、が分かってきて、一緒に考えていけるのが、とても嬉しく、活力が湧きます。

 とりうむみならい | 2010.03.11 22:37

第2弾も大変楽しく読ませてもらいました。
>核反応からエネルギーを取り出すのは一瞬だが、放射線は人間にとって永久に残り続けると言ってもいい。この事実から、むやみに核反応をエネルギーに使うことは、自然の摂理に反していると言えるのではないだろうか?
核を使うことで、目先のエネルギーは得られても、危険な放射線が出まくるというのは環境破壊となにが違うのかなとも感じました。
一方、太陽がそうした活動をしていることはどういう摂理があるのか、ないのか。。。が気になってきました。
また、現実的にエネルギーが必要なことも事実で、トリウムによって過渡期を埋められるならばと考えてしまうのも人情でしょうか。
なんなんでしょう、このモヤモヤは、、、。
「自然の摂理から環境を考える」っていうタイトルの重要性みたいなものを感じてきました。

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