2006-10-24

自然と同化することが人類に求められる時代・・・深刻なのはアラル海、黄河だけではない!

18世紀末の産業革命、19~20世紀の人口爆発→市場拡大によって水の需要は劇的に増大した。その結果、河川や地下水層帯などから汲み上げられた水の使用量は、1900年以降大幅に増え、世界の水使用量は現在までにおよそ9倍になっている。
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「水の話~化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!~」より
中央アジアのアラル海や中国の黄河などが干上がってしまい、深刻な事態となっているのは良く知られている。
そこで、地域別の『一人当たり水使用量』を見てみると北米がダントツの世界一だ。
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WWFジャパン「Living Planet Report 2004 取水量」より
1900/人・年という数字は日本の約1.9倍、世界平均の約3.5倍』になる。
また世界平均では水使用量の7割近くが農業用水であるのに対し、アメリカの農業用水に利用される比率は48%しかなく、他地域に比べると工業、生活用水の比率が格段に高い。
アメリカの市場が、人類の共有財産である資源をいかに浪費しているかを示す数字である。
そして、アメリカの水資源は中央アジア同様に深刻な問題を抱えている。
『コロラド川』の水は100%利用し尽くされてほとんど海まで到達しない。
南西部の大穀倉地帯は灌漑用水の7割から9割を『オガララ帯水層』に頼っているが、化石帯水層(氷河期に長い間かけられて蓄えられた地下水:IPSJ)であるこの地下水は水が補給されない。カンザス州南部やテキサス州北部では既に枯れた井戸も多く、過剰揚水により枯渇の危機に瀕している。この地下水が枯渇すれば、食糧生産に大打撃を与えるのは明白だ。
何千万年もかけて自然の力で蓄えられた水が、地域によってはわずか60年で使い尽くされようとしているのだ。
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さらに
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国連の資料(Assessment of Water Resources and Water Availability in the World:WMO発行,
1997)によれば,今後は,世界人口の増加(2025年(平成37年)時点で約83億人と予測),それに伴う生産活動の発展,生活様式の変化等により水の需要量は着実に増加し,2025年には約1.4倍にもなると予測している。
水資源は地域的偏在性が高い資源であるため,増加する水需要に対し供給力が追いつかない地域が増加することが予想される。
将来,水不足の状態におかれると予測される人口の割合は,1995年(平成 7 年)に約1/3であったのが,2025年には約2/3になるとしている。このうち,農業用水が約 7 割近くを占め,工業用水が約 2 割,生活用水が約 1 割である。地域別にみると,アジアでの使用量が最も多く,続いて北米,ヨーロッパの順となっている。
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国土交通省資料PDFファイル
このまま地球上の水資源を消費し続けていると、将来破綻するのは明白である。
しかし地下水の過剰汲み上げをやめれば、世界の穀物生産は少なくとも1億6千万トン減少することになり、60億の人類のうち4億8千万人の食料が不足する計算になるらしい。
(参考:循環型社会を考えるhttp://www.hpmix.com/home/kuchii/A9_1.htm)
過去一世紀の大消費時代に世界の水使用量は9倍に増加して、2025年には世界の60%の人々が深刻な水不足に悩まされる。
とにかく、ニッチもサッチも行かない状態に社会は追い込まれている。
これは単に食糧危機にどう備えるかという問題ではなく、「自然の供給力に見合った資源消費の実現」という課題を突きつけられているのではないだろうか。
もうとっくに自然外圧を克服する時代は終わり、自然と同化することが人類に求められる時代なのだ。
by ラ・マヒストラル

List    投稿者 tatikawa | 2006-10-24 | Posted in K02.水質汚染2 Comments » 

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コメント2件

 。。。 | 2006.10.30 11:12

よろしくです

 。。。 | 2006.10.30 11:13

よろしくです

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