『次代を担う、エネルギー・資源』水生圏の可能性 1.藻類の中に油脂成分を大量に生成する種類を発見 ~何故、油脂成分を貯めこむのか~
みなさん、こんにちは :o
新シリーズ、「水生圏の可能性」第一回目。
今回は、藻類の中に油脂成分を大量に生成する種類の発見の歴史、そして、何故藻類が油脂成分を貯めこむようになったかに迫りたいとおもいます
↑Macro Algae(大型の藻)の開放池方式(GGASS社)
写真はココからお借りしました♪
まず初めに、みなさん『藻から油』なんてつくれるの 🙄
最新の研究なの
とおもわれるかもしれませんが、実はこの研究、なんと1970年代から行われているのです。
では、この続きに進む前にいつものポチット応援よろしくお願いします
1.原油枯渇の危機感から藻類の可能性を発見
米国において、国内の原油生産がピークアウト(下降)しだした1970年代、一部の研究者が原油に代わるエネルギー源として、生物界の可能性探索に入りました。
中東産原油への依存は、米国にとって他国依存の危機であるとの考えから、カーター政権下において、全てのエネルギー関連省庁が統合され、エネルギー省がつくられました。
そして78年、カーター大統領による研究計画が本格的にスタートし、エネルギー省から多額の開発予算が投じられるようになりました。
この探索で発見されたのが、単細胞光合成生物の『藻類』なのです。
この計画は「Aquatic Species Program」と呼ばれ、バイオディーゼルを藻類からどのようにしたら作り出せるかとスタ-トしたものです。
写真はココからお借りしました♪
ステップ①:脂質含有量の多い藻類種の発見
原油は、大昔の微生物(藻類)の生成物(及び死骸)だと確認されています。その生残りが居るはずだと藻類の探索が行われました。
科学者達は、3,000種以上の北アメリカ産のサンプル種を収集しました。そこからさらに油脂の含有量の多い51種を選別しました。
※ちなみに2004年に全米科学財団補助金が打ち切りとなり、今では23種しか現存していないのです。
ステップ②:脂質含有量を増やす方法の研究
もともとこの研究は、今まで利用してこなかった池水系の環境資源の有効利用にも、一役買えないかと注目されてきた分野でした。ニューメキシコ州ロズウェルに1,000㎡の人工池をつくり繁殖の研究が行われていました。
最終的には、同池から50[g/日]の収穫が達成されるようになりました。
研究開発は1996年に中止となり、研究グループは再生エネルギー研究所となり、1998年にはレポートに結論をまとめて、終結されたのです。
彼らの基礎研究により、油脂含有量の多い藻の優良株(有望な種類)が見出され、現在の開発研究につながっていきます。
2.藻類は3万種もいる光合成生物
では、『藻類』とは何かについてみておきましょう。
図はココからお借りしました♪
まず、藻類とは、単細胞の藻類、多細胞の海藻類まで合わせると3万種もいる生物の一つの群なのです 。
3万種の藻類は(大きく図のように分類されています)、ユーグレナ植物門、クロララクニオン植物門、緑色植物門、原核緑色植物門、藍色植物門、紅色植物門、灰色植物門、クリプト植物門、黄色植物門、ハプト植物門、渦鞭毛植物門となっています。
共通しているのは、水中に生息し、光合成を行うところです。ポイントは太陽エネルギーで炭酸ガスと水からブドウ糖を生成し生きています。
光合成で生成したブドウ類は、細胞内に貯蔵されます。この貯蔵はブドウ糖を数百、数千とつないだ「デンプン」や「ラミナラン」という物質で貯蔵されます。デンプンやラミナランは、ブドウ糖が構成ユニットなので糖類と呼ばれます。
上の図にもあるように、全ての「門」で貯蔵物質は糖類です。
しかし、3万種もいる中で極々わずかな種の中に油脂成分を貯蔵する藻類がいたのです。
藻類はアオコの大量発生や赤潮発生というように条件が整えば爆発的に増殖する生物であり、この大増殖力を持った藻類が鉱物油に代わる油(油脂成分)を大量に生成してくれないだろうかというところに、注目が集まっているのです。
参考データ:筑波大学生物科学系植物系統分類学研究室 藻類画像データ
3.藻類の中で油脂成分を生成・蓄積する二つのタイプ
次に、藻類がなぜ体内に油脂成分を生成するかを考えてみたいとおもいます。
日本の藻類研究でも先端を走る研究機関からの二つの報告です。
(一つは、細胞外分泌タイプです。もう一つは細胞内貯蔵タイプです。)
①ボトリオコッカス ~体外に油を分泌する事例 筑波大学渡邊真氏の研究~
「ボトリオコッカス」は、生産した油脂を自身の細胞のまわりに付着させる習性があります。
写真はココからお借りしました♪
ボトリオコッカスは、生産した油を自分の細胞のまわりに付着させる習性がある。筑波大の彼谷(か・や)邦光・特任教授は、この油には「浮輪」のような役目があるとみている。
「油をため込むと、浮力が高まる。光合成をしやすい水面近くにとどまるための、戦略の一つだと考えられる」
浮遊のための物質説です。
微生物的な単細胞の藻ですが、淡水中で、集合してコロニーをつくって生育し、そのコロニーの細胞間に大量の油分(炭化水素)を保持しています。この油は、もともとオイルシェールとか、スマトラの原油とか、化石燃料の成因のひとつになったものだそうです。
参考データ:APEX代表理事のブログ
群体(コロニー)を形成するために油脂を身の回りに形成することで、周囲の仲間とつながるために油脂形成を分泌していると解釈できます。
コロニー接着説です。
参考データ:藻類の力でCO2を排出削減を実現する
参考データ:「石油」を生む藻類 人類を救うか
②シュードコリシスチス エリプソイディア ~体内に油を貯える事例 慶応大学伊東卓朗氏の研究~
「シュードコリシスチス エリプソイディア」は、生産した油脂を自身の体内に蓄積させる習性があります。
↑黄色く光る部分 が油脂を貯めこんでる箇所です。
写真はココからお借りしました♪
藻類が栄養欠乏状態で脂質を蓄積する理由を明らかにする事は難しいですが、一つの推測としては、環境が回復したときに再増殖するためのエネルギーとして脂質を貯めるのではないかと考えています。無機栄養を取り込めなくなった時点で増殖できないことを感知し、増殖をやめ、代謝活性を落とし始める。しかし光が当たっている限りは光合成をやめることはできない。増殖をやめたことで光合成から得たエネルギーが余ってくるので、生き返るためのエネルギーとして脂質に振り替えているのではないでしょうか。植物によってはデンプンとしてエネルギーを蓄える種もありますが、脂質として蓄えるメリットは、脂質のほうがエネルギーを取り出しやすいからだと思われます。とはいえ、この推測は人間が意味を与えただけで、藻にとっての脂質を蓄える理由は「それが種を絶やさずに生存し続けるのに都合が良かった」ということに尽きるのではないでしょうか。
参考データ:【研究者インタビュー】先端生命科学研究所伊東卓朗研究員
飢餓に備えた貯蔵説ですね。
ごく稀にいる、油脂成分を多量に持つ藻類にも二つのタイプがあるのです。
現在、この二つのタイプ、それぞれについて意欲的に研究が行われています。
次回は、藻類の中で油脂を貯蔵する藻類は、なぜ極々僅かなのか、地上性植物も視野に入れてみてみます
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コメント7件
雑草Z | 2011.02.05 23:02
クリーン開発メカニズム は先進国の企業が自国の補助で行うのがメインかと思っていましたが、途上国の国としての負担も住民の負担も結構大きい事がわかりました。情報有難う御座います。
>「持続可能な開発」の意味は先進国の市場拡大が持続可能であることを指している
そうですね。結局途上国は先進国の企業に都合のいいように利用されているだけですね。
先進国の市場拡大が行き詰ってきたから、クリーン開発メカニズムなんていういかさまを考えついたのでしょうね。
・・こんな事をしていると、先進国の企業もさらに過剰に肥大化して結局仕舞いには大きなお荷物になるでしょう。その悪例がゼネコンや原発関連企業でしょう。そんな事をしても先進国の市場拡大も持続可能な筈はなく、その後の市場崩壊の衝撃が大きくなるばかりでしょう。
おっしゃるように途上国に必要な事は自立する事でしょうね。
『持続可能な開発』と言う言葉自体も金融資本家、投資家のような金貸し達の金儲けの為の都合のいい戦略的な言葉でしょう。
y.suzuki | 2011.02.05 23:54
雑草Zさん、ご無沙汰しております。核心をつくコメントありがとうございます。
結局”金貸し達の金儲けの為の都合のいい戦略”ですが、参画している人はその企みとその結果どうなるのかをわかっているのかもしれません。ただ、叛旗を翻すほど力がないと思わせられていると考えられます。
ps.twitterで、雑草Zさんのブログ記事「狂気の科学技術」がdatugennohiさんに紹介されていましたので、RTさせていただきました。どんどん広がっていくのが楽しみです。
雑草Z | 2011.02.06 13:49
非常に敏速なお返事有難う御座います。
>ただ、叛旗を翻すほど力がないと思わせられていると考えられます。
ここの部分が障害であり、鍵でもありますね。ここを突破すれば、この搾取構造を打破する突破口になるでしょう。その為にもネットは大きな力になるでしょうね。草の根的なネットの威力は非常に大きいものです。
おっしゃるように「思わされている」だけで突破出来ないほど強固な構造ではないでしょう。きっと突破出来ます。機は熟しつつあります。
チェ二ジアの革命も後から見れば実にあっけなく達成されました。
P.S. twitterでのRTの件有難う御座いました。twitterはやっていませんので、全然知りませんでした。“datugennohi” を検索してみましたら、非常に敏速なお返事有難う御座います。
>ただ、叛旗を翻すほど力がないと思わせられていると考えられます。
ここの部分が障害であり、鍵でもありますね。ここを突破すれば、この搾取構造を打破する突破口になるでしょう。その為にもネットは大きな力になるでしょうね。草の根的なネットの威力は非常に大きいものです。
おっしゃるように「思わされている」だけで突破出来ないほど強固な構造ではないでしょう。きっと突破出来ます。機は熟しつつあります。
チェ二ジアの革命も後から見れば実にあっけなく達成されました。
P.S. twitterでのRTの件有難う御座いました。twitterはやっていませんので、全然知りませんでした。“datugennohi” を検索してみましたら、<脱原発の日実行委員会>なのですね。社会に必要な存在です。そこに色々な情報がありましたので、活用させて戴きます。お知らせいただき有難う御座います。
雑草Z | 2011.02.06 14:35
(前のコメントが途中で切れてしまったので、改めてP.S.からの続きです。)
P.S. twitterでのRTの件有難う御座いました。twitterはやっていませんので、全然知りませんでした。
“datugennohi” を検索してみましたら、“脱原発の日実行委員会” のtwitterなのですね。今の日本に必要な「良心のつぶやき」ですね。私もたんぽぽ舎などを応援しています。今回の記事もたんぽぽ舎から購入した本を一部参考にさせて戴きました。
y.suzukiさんのtwitterにもアクセスしてみたいです。(検索したら他のy.suzukiさん達でした。)
y.suzuki | 2011.02.06 18:38
>おっしゃるように「思わされている」だけで突破出来ないほど強固な構造ではないでしょう。きっと突破出来ます。機は熟しつつあります。>
このような発想になれることからですよね。そのための具体的な可能性の提示をどんどん広げていきたいです。
ps.私のtwitterは、はじめてまもない初心者でシステム自体勉強中です。t_darumaでつぶやいてます。
雑草Z | 2011.02.06 21:56
>そのための具体的な可能性の提示をどんどん広げていきたい
お互いどんどんネットで配信して広めていきましょう。宜しくお願い致します。
free crack adobe | 2011.02.05 16:19
i like it 自然の摂理から環境を考える | 環境問題のパラダイム転換3 ~『二酸化炭素による地球温暖化仮説』に基づく政策をどう評価するのか? 国際編~ now im your rss reader