2011-06-25

次代を照らす太陽エネルギー4 ~太陽エネルギーはどのように地球に到達しているか~

みなさんこんにちは
しばらくお休みしていた「太陽エネルギーシリーズ」ですが、再始動することになりました。

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(写真はリンクさんよりお借りしました)

シリーズ4回目の今回は、

 (4)次代を照らす太陽エネルギー4 ~太陽エネルギーはどのように地球に到達しているか
について探っていきます。

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過去のバックナンバー
(1)次代を照らす太陽エネルギー1 ~プロローグ~
(2)次代を照らす太陽エネルギー2 ~太陽の誕生と、宇宙の秩序のはなし~
(3)次代を照らす太陽エネルギー3 ~太陽の中心から生まれるエネルギー~
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1.宇宙空間を伝わる太陽エネルギー

まずは、前回のおさらいからはじめましょう。
太陽表面からは、核融合により生み出された短波長の「電磁波」が、最終的に様々な波長に変化し放出されています。太陽と地球は約1億5千万kmも離れていますが、宇宙空間を「電磁波」という形で伝わり、そのエネルギーを運んでくるのです。
ではその「電磁波」とは、どのようなものかを見ていきましょう。

(1)電磁波の伝わり方  (図はリンクさんよりお借りしました)

 イメージしやすくするために、その発生の仕組みから見ていきましょう。
図のように、導線の中を電流を行ったり来たりさせて振動させると、導線の周り磁場が発生し、その方向は電流の進行方向に対応して右回りと左回りに変化します。磁場がこのように変化すると、電磁誘導により磁場の変化を打ち消すような電場磁場と直交する方向に発生します。さらに電流が逆に流れると、磁場の向きも逆になり、その変化を打ち消すよう電場の向きが逆になります。そして、その電場の変化を打ち消そうと電場と直交した磁場が発生します。このように、お互いに直交する磁場と電場が繰り返して発生し、その電場と磁場は空間に放出されることになります。

 振動する電流により発生した磁場が電場を生み、更にその電場が磁場を生み出す、このように連鎖的に電場と磁場が発生し、この電場と磁場は空間を波として伝搬していくので「電磁波」と名付けられました。この現象は、19世紀半ばにマックスウェルが仮説として唱え、その後ヘルツにより実験によりこの現象が確認されました。

(ちょっと一息)
 何故テレビのアンテナはアルミパイプが水平に何本も並んでいるのか?
テレビの電波は、磁場が垂直、電場が水平な状態(=水平偏波)でやってくるので、アルミパイプを水平にしておくと磁場とアルミパイプが直角になり、アルミパイプに電流が流れるという仕組みを利用しているからです。

(2)電磁波は宇宙空間をどのように伝わるのか?

 空気を媒質に、水を媒質にして伝わります。では、同じ波である電磁波は、何を媒質にして宇宙空間を伝わるのでしょうか?
 これは、未だに答えが見つかっていないお題で、それは世界の物理学者が昔から答えを追い続けている超難題なのです。古代の物理学者たちは、「エーテル」という物質を仮定し、その物性についていろいろ議論していたようです。

 では、その様子を時代をおって見ていきましょう。

①古代ギリシア時代:
 「エーテル」の語源は古代ギリシア時代まで遡る。ギリシア語のアイテール (αιθήρ) が、ラテン語を経由して英語になりました。「アイテール」の原義は「燃やす」または「輝く」であり、古代ギリシア以来、天空を満たす物質を指して用いられていた。

②ニュートン(17世紀後半):
 光は粒子の流れであり、それら粒子は彼の運動法則に従うとして、光の反射、屈折など、いわゆる光学的な現象を説明しようと試みた。(光の粒子説
③ホイヘンス(17世紀後半):
 音が空気中の振動であるのと同じように、光はある媒質中の振動であると考え、光学的現象を説明しようと試みた。(光の波動説

この「ニュートンの光の粒子説」と「ホイヘンスの光の波動説」は、全く相容れない二つの理論ですが、いずれが妥当であるかは、実験により決められることとなります。

④アラゴとフーコーの実験(19世紀半ば):
 空気中の光速と水中の光速を比較し、空気中の光速は水中よりも大きくなることを証明。この実験により波動説が優位なものとなった。
⑤マクスウェル(19世紀半ば):
 電磁場の基本方程式を導き、光の振動は電磁気的な性質のものであると予測。(光の電磁説
⑥ヘルツ(19世紀後半):
 マクスウェルの光の電磁説の正しいことを実験によって示した。

 こうして、光に対する二つの理論、「ニュートンの粒子説」と「ホイヘンスの波動説」は、「ホイヘンスの波動説」の勝利に終わったわけですが、その光が波動、つまり振動するためには、何らかの媒質が必要となるはずでその媒質は何なのか?、との疑問が浮上しました。

 「音は空気中の振動で空気のないところでは伝わらない。しかし、遠い星の光は、何も存在しないと考えられている広い宇宙の空間を通って私達の目に達する。光が波動であるというなら、何もないと考えられている宇宙空間にも、光の振動を許す媒質が存在しなければならない。」

 そこで、当時の物理学者は、この宇宙空間を満たす媒質仮想的「エーテル」と呼ぶことにしたのです。
 しかし、更に新たな疑問が生じてきます。

「地球はエーテルの中を公転・自転しているのだから、地球上の我々から見れば「エーテルの風」が吹いていおり、エーテルの風の向きや強さは、季節や時刻と共に変化するはずだ。」

 そして、「光はエーテルに乗って伝播するから、エーテル風が順風の時に速く、逆風の時に遅くなる。ということは、異なる方向や時刻について光の速さを調べることで、地球のエーテルに対する相対運動を知ることができる。」と考えられ、以下の実験が行われました。

⑦マイケルソン・モーレーの実験(19世紀後半):
 地球が自転・公転して位置を変えていることから、南北方向に進む光と東西方向に進む光の速さの差を測定し、時間のずれや干渉縞の位置がずれることがわかれば、「エーテル風」の存在が証明できると考えて行われた実験です。結果は、地球上の緯度や経度、季節や時間、光の進む向きなどをいろいろ変え、何度測ってみても、光の進む速さは変わりませんでした。
(図はリンクさんよりお借りしました)

残念ながら「エーテル」の存在は証明できませんでした。
そして、この「エーテル論」に終止符を打ったのは、アインシュタインでした。

⑧アインシュタイン(20世紀初め):
 アインシュタインは当初エーテルの存在を信じていたのですが、実験からも明らかなようにエーテルの風は存在せず、光速度はどのように測定したとしても同じであることに気付きます。このことからアインシュタインは、エーテルなどという考えは捨ててしまおう、光速度はどの様な慣性系から測定しても同じなんだ、という新しい観点に立ちます。(光速度不変の原理

アインシュタインは、なぜ光が波の性質を示すのかの考察を放棄し、エーテルは存在せず、エネルギーと質量は等価で、空間は実は歪んでいるなどとした相対性理論で、宇宙の全ての物理現象を説明できるとしました。こうして「エーテル」の存在は、以降の物理学の世界では否定的に捉えられるようになりました。

2.まとめ

「電磁波が宇宙空間をどのように伝わるのか?」
「宇宙空間には媒質が存在するのか、しないのか?」

その答えは出ていませんが、私の頭の中も混迷を極めてきたので一旦まとめる ことにします。

太陽エネルギーが「電磁波」という形で伝わっていることは、実際の現象(空が青いのは、電磁波である可視光線のうち波長の短い青が大気中の水蒸気などにより拡散されるため)や、その応用技術も確立(太陽光励起レーザーなど)していることからも、ほぼ確実と言える。
物理学の世界では、理論的予測から予言された(数式で証明された)ことが、その時代でもっとも確からしい実験により確認されれば、認められることとなっている。
「エーテル」は、当時の実験では、その存在を認めることが出来なかった。
「エーテル」に終止符を打ったのは、あの有名なアインシュタインです。彼は宇宙空間中にあると思われていた「エーテル」という媒質の存在を放棄し、「光速度不変の原理」を発表。
「光速度不変の原理」に従うと、マイケルソン-モーリ-の実験結果は説明がつく。また、その後の特殊相対性理論」でも矛盾が生じない。
以降「エーテル論」完全に廃れていき、物理学の中では過去の遺物トンデモ理論のような扱いになった。更に「宇宙空間には電磁波を伝える媒質は存在しない」という認識が一気に広がった。

というのが、過去の流れのようです。
こんなちっぽけな地球上で行われたマイケルソン・モーレーの実験で、宇宙空間をも覆うと考えられていたエーテルの存在があっさりと否定されたなんて 🙄 ですし、「空間が歪み、時間が進みが遅くなる」なんてのも です。

どうやら、宇宙空間には電磁波を伝える媒質が有るか、無いかまだわかっていないようですが、「光の速度」ありきのアインシュタインの理論に引きづられて、存在しないほうが都合がよいかのように扱われている気がします。

現代の素粒子論では、地球をも通り抜けていくほど微小なニュートリノを含め宇宙空間には多くの素粒子が存在しているといわれています。昔の「エーテル」ではないですが、やはり、宇宙には電磁波を伝える媒質が存在するのではないでしょうか?

今回はここまでです。次回も引き続き「太陽エネルギーの伝わり方」を扱うこととし、

・その素粒子論で確認されている素粒子とは?
・その素粒子論もアインシュタインの理論に影響を受けているのか?

を中心に調べていくことにします

List    投稿者 isgitmhr | 2011-06-25 | Posted in E09.太陽エネルギーNo Comments » 

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