2010-05-25

『次代を担う、エネルギー・資源』状況編9  現在の新エネルギー政策と法制度①

こんにちは。
さて、このシリーズもいよいよ終盤となってきました。
<過去の記事>
 状況編1~世界と日本のエネルギー消費の現状~
 状況編2~運輸部門のエネルギー消費はどうなるのか?~
 状況編3~民生部門(業務、家庭分野)のエネルギー消費の実態は?~
 状況編4~産業部門(製造部門)のエネルギー消費の実態は?~
 状況編5~石油・石炭の使用量・利用先~
 状況編6~資源(レアメタル・コモンメタル)の使用状況、利用先、使用量~
 状況偏7~資源(レアメタル・コモンメタル)の自給の可能性①~都市鉱山~
 状況編8~資源(コモンメタル・レアメタル)の自給の可能性?  資源開発~

そして、今回は現在の世界や日本における制度や税制について見てみたいと思います。
日本は、昨年9月、民主党政権に交代してから鳩山首相が「‘90年比でCO2 25%削減」を発信し、世界的にも注目を集めています。これは、日本がこれから化石エネルギーから脱却していくことを宣言していることと同じです。
「世界の動き、日本の課題」衆議院第2議員会館 浅岡美恵さまよりお借りしました。
では、はたして再生可能エネルギーの分野での世界や日本の現状はどうなのでしょうか?
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◇世界の再生エネルギー
 まず、世界全体における、一次エネルギーおよび発電における「再生可能エネルギー」の割合を見てみましょう。

 1次エネルギー全体における再生可能エネルギーは 『13.3%→CRW10.6%+水力2.2%+【地熱、太陽熱、風力、潮力、波力、海洋エネルギー】0.5%』となっています。新技術によるエネルギーの割合は、まだまだ、わずかな割合でしかないのですね。
 なお、CRW10.6%の中には「(可燃性の)木材、木質廃棄物、その他の固形廃棄物」「薪炭」などの旧来のものの割合が多く、新技術による新たなバイオマスエネルギーの割合はさらに少なくなってしまいます。
 ちなみに、ここで使用されている再生エネルギーの定義は以下になります。
 

<再生可能エネルギーの定義>
再生可能エネルギーは以下の区分を含むものとする。
①CRW=可燃性の再生可能エネルギーおよび廃棄物:(固形バイオマス/木材、木質廃棄物、その他の固形廃棄物/木炭/バイオガス/液体バイオ燃料/都市廃棄物)
②水力エネルギー:水力発電設備で水の位置エネルギーと運動エネルギーを電力に変換する。設備の大きさに関わらず大水力および小水力発電を含む。
③地熱エネルギー:地殻内部から放出される熱エネルギーを主に熱水または蒸気の状態で利用する。一旦変換してから発電に利用されるか、或いは適切な場所で地域暖房、農業などに直接熱利用される。
④太陽エネルギー:太陽輻射を利用して熱水と電力を生産する。太陽エネルギーを住居などの暖房、冷房、照明に直接利用するパッシブ・ソーラーは含まない。
⑤風力エネルギー:風の運動エネルギーを利用して風車を回し発電を行う。
⑥潮力/波力/海洋エネルギー:潮位の変化、波の動き、海流から得られる機械エネルギーを利用して発電を行う。

「世界エネルギー供給における再生可能エネルギーの役割」NEDO海外レポートよりお借りしました。
◇世界各国の再生エネルギーの現状は?
 次に、世界各国の内訳を見てみましょう。エネルギー構成は各国の事情によって、かなりの差があることがわかります。
 
各国のエネルギー構成(2009.07.07)

資源エネルギー庁エネルギー白書 2008年版(2008)よりお借りしました。
 各国と比較すると、日本の化石エネルギー=石油、石炭、天然ガスへの依存度の高さがはっきりします。非化石エネルギーでは、原子力の比率が高いのは、フランス、韓国、日本ですが、全世界的には思ったほどはまだ主流とはなっていないことに気づきます。
「日本におけるエネルギー 政策の現状と課題」2010年1月4日 参議院議員 加納時男(☆)さまよりお借りしました。

 発電電力量における割合では、フランスにおける原子力は突出しています(ちなみに原子力は非化石エネルギーですが、再生可能エネルギーには当たりません)。それ以外に注目されるのは、デンマーク、オランダなど欧州諸国での風力発電の普及が予想以上に高いことです(立地要因も大きいですが、政策要因の影響力が大きい)。
 各国ごとに大きく違う、エネルギー構成の背後には、地理的要因もありますが、それ以上に置かれた外圧状況とエネルギー国家戦略によって規定されます。
■各国のエネルギー政策(2009.07.07)

世界的に石油需要が増大し、その供給への不安から各国ではエネルギー資源確保が重要な政策になっている。
(1)アメリカ
 2001年に発足したブッシュ政権は、「国家エネルギー政策(National Energy Policy)」を発表し、これまでの市場主導型のエネルギー政策を見直し、よりエネルギー安全保障に重きをおいた政策構想を打ち出しました。
 原子力発電の使用済燃料に関しては、再処理せずそのまま処分する方法(ワンス・スルー方式)を採用していますが、2006年にブッシュ大統領は、核燃料再処理を再開し、他国の使用済燃料の再処理をも支援する、という構想を発表しています。
 2009年に発足したオバマ政権は、「グリーン・ニューディール」政策という環境問題と再生可能エネルギーに重点をおいた政策を打ち出しています。
(2)欧州
 欧州における政策には、原油価格の高騰、域内の北海油ガス田の生産量の減退傾向、ロシアの石油ガスへの依存度が高まっているなどの背景があり、これらへの対応を重視してます。また、より省エネルギーに重点が置かれている点が特色です。
 今後は、従来重点を置いていた地球温暖化問題への対応や市場の自由化に加え、エネルギー安全保障が重点課題として位置づけられ、これらのバランスの上で展開されていくものと考えられます。
(3)中国
 エネルギー需要・輸入が急激に拡大しており、1993年に石油の輸出国から純輸入国になり、石油の輸入量が急増しており、今後も原油輸入の大幅増大が予想されているため、石油の輸入先の多様化が図られています。また、省エネルギーはエネルギー安全保障の観点からも政策課題の中心と位置づけらています。
 急増する国内のエネルギー需要を満たすため、石炭を中心とする国産エネルギー資源の活用や、再生可能エネルギー開発など、エネルギー供給源の多様化を図るエネルギー政策が、今後も展開されていくものと考えられます。 
(4)ロシア
 世界最大級のエネルギー産出国であることから、国内の豊富なエネルギー資源に対する国家のコントロールを確立することによってエネルギー資源を戦略物資として活用し、大国としての地位を復活させようとしていると見られています。
 そのため、一度民営化されたエネルギー産業に対して、再国有化の動きが進みつつあります。
 今後もエネルギーの国家管理の傾向を強めていくものと見られ、世界的にエネルギー需要が高まっていく中で、今後外交面においても大きな影響力を持つようになると考えられます。

資源エネルギー庁エネルギー白書 2007年版(2007)よりお借りしました。
 世界各国は、上記のような外圧状況にあるため、基本的には、「(化石エネルぎーに頼らない)エネルギーの自給」、そして近年は「地球温暖化対策=C02削減」の名目の元に、再生可能エネルギーへの研究開発、実用化を推進してきています。
最後に、再生可能エネルギーへの各国の研究開発や助成金などの投資状況です。

◇再生可能エネルギー発電容量が最も多いのは中国(7,600万kW)で、次に米国(4,000万kW)、ドイツ(3,400万kW)と続き、日本(800万kW)は6位だった。
◇中でも最も増えたのは風力発電容量で、2008年における既存の風力発電設備の容量は29%増で1億2,100万 kWに達し、特に米国(840万kWの増加)と中国(630万kW)で大幅に導入が進んだ。
◇太陽光発電容量(系統連系型)も年間70%増と飛躍的な伸びを見せ、1,300万kWとなった。新規容量の増加が著しい国はスペイン(260万kW)とドイツ(150万kW)で、日本(24万kW)は大きく引き離された。
◇2008年における世界の再生可能エネルギーへの投資額は推定1,200億ドルにのぼり、2006年の630億ドルと比べて2倍に増加した(表2)。分野ごとの投資額(2008年)の内訳は概算で、風力が 42%、太陽光が32%、バイオ燃料は13%、バイオマス・地熱(発電と熱利用)は6%、太陽熱給湯は6%、小水力5%となった。
◇2008年において再生可能エネルギーへの最大の投資国は米国(表1)で、その額は世界の総投資額の20%を占める240億ドルにのぼった。
日本は向こう5年間で1兆円の予算案
を発表した。

日刊 温暖化新聞72/31 さまよりお借りしました。
 これを見ると、日本は太陽光発電以外の分野においては、あきらかにアメリカ、ヨーロッパ、中国、ブラジルなどに比べて遅れを取っているように思われます。その背景事情や原因は何でしょうか?その答えは以下が参考になります。


『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電7~原子力発電の推進体制を考える1・・・日本の原子力推進体制

☆次々に代わる原子力開発を推進する理由
原子力開発の推進理由は次から次へと変わっています。初期は、夢のエネルギーとして、石油に比べて効率的優位性が謡われていました。次に、効率的優位性は無いことが明らかになり、石油に代わり増加するエネルギー消費をまかなえるのは原子力だけという理由に変更されました。そして現在、温暖化を防ぐ救世主としての原子力という理由が主流になってきました。
このように、首尾一貫した理由は無いにも拘わらず、長年の間、計画的に原子力発電所が建設されてきました。
その理由は、
☆官僚機構・電力会社を中心とした、強固な意思決定集団の自己増殖
日本の原子力開発推進体制は、官僚機構・電力会社を中心とした、政府からおおむね独立して意思決定を行える集団が、その制度を自ら強化し推進できる、自己増殖体制を確立したからです。アメリカの軍産複合体と酷似した体制的特長をもち、サブガバメントモデルともいわれています。官僚の暴走という現代的問題に重なります。
具体的には、官僚機構・電力会社の自己増殖集団は、社会的に要請される理由を超えたところで、原子力開発そのものに価値があるという共認と、世論の圧力をうけず強力に事業推進できる体制を持ち合わせてる、ということです。
この結果、世論に対して強行に政策実現できる体制が、推進派と反対派の対立を作り出し、とその狭間で地域住民の存在基盤である共同体をことごとく破壊してきたというのが日本の原子力開発の大きな流れです。
このように、国家規模で政策決定していく必要のある事業の推進体制は、エネルギー開発に限らず、官僚を中心とする利益集団の権益実現に収束してしまうという大きな問題を孕みます。ここを組み替えない限り、まっとうなエネルギー開発は実現できないといっても過言ではありません。

 
 つまり、日本はエネルギー政策において、官僚や電力会社による「原子力偏重」ともいうべき問題があるのです。
 
 では、次回は日本における再生可能エネルギーに関する予算、政策について調べ、さらにその実態に迫ってみたいと思います。

List    投稿者 yhonda | 2010-05-25 | Posted in E01.状況編2 Comments » 

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コメント2件

 雑草Z | 2011.04.10 15:55

 ここにきて、今回の
<東北地方太平洋沖地震~原発は必要か否か>シリーズ
が、原発事故の根本問題、社会体制にまで触れていらっしゃいますね。壮大な計画でのシリーズに脱帽です。ここまで触れてこそ原発の虚構もしっかり見えてきますね。
>経済産業省や内閣府の原子力委員会など“原子力村の人々”が政策の方向性を事実上すべて決め、政治家だけではなく原発を抱える地方自治体には何の権限も与えられていないのです。
これが、原発行政を暴走させた原因であり、さらにその根本原因が
>この国を支配してきた官僚統制中央集権政治そのもの
ですね。ここまで奥深く言及されている事も流石ですが、さらにその根本原因を
>ひたすら試験勉強に励み、「特権」を手に入れた連中
と見破っているところが凄いです。
確かにただの受験オタクに国家が仕切られていると考えると恐ろしいものがありますね。
 特に日本の受験制度を考えるととんでもないですね。(中国や韓国はもっと酷いかも知れません。)
 官僚たちが第二次世界大戦に突入したのと同じ愚行を犯したという洞察にも頷けます。
 彼ら受験オタクに国家は任せられません。

 kirin | 2011.04.12 21:24

雑草Zさん、いつもコメントありがとうございます。
政府・官僚、学者、電力業界は、福島第一原発で起きた事故は「想定外」などといった言葉による責任逃れ・保身の発言を繰り返し、その無能ぶりをさらけ出しています。
ここまでの被害をださぬ前に何とかできなかったのは残念ですが、単に受験勝者に過ぎない保身を第一にする無能者が、社会統合の位置にいて権力を行使することがどれほど危険か、私たち庶民は身にしみました。
これからも一緒に、原発全廃に向けて事実の発信をしていきましょう。

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