2010-03-04

『次代を担う、エネルギー・資源』状況編4~産業部門(製造部門)のエネルギー消費の実態は?~

 『次代を担う、エネルギー・資源』状況編3~民生部門(業務、家庭分野)のエネルギー消費の実態は?~に引き続き、いよいよ、エネルギー使用の約半分(45%)を占める産業部門のエネルギー使用量の実態と今後の予測について調べてみたいと思います。
 では、産業部門全体のエネルギー消費を確認してみます。
1.産業部門全体のエネルギー消費

「産業部門とは、製造業、農林水産業、鉱業、建設業の合計であり 、エネルギー消費全体の約45%を占める最大の部門です。また、そのうちの約9割を製造業が占めています。1973年度と2007年度を比較すると、経済規模は約2.3倍になり、製造業全体の生産も約1.9倍に増加していますが、製造業のエネルギー消費は微増にとどまっています。このように石油ショック以降、製造業におけるエネルギー消費が抑制された主な要因としては、省エネルギーの進展と産業構造の変化(素材産業から加工組立型産業へのシフト)が考えられます。」

2009年エネルギー白書よりお借りしました。
 グラフで見るとほとんどを製造業が占めています。ただ、’73年のオイルショック以降は、ほぼ横ばいで推移しています。次に、この9割を占める製造業の内訳を見てみたいと思います。
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2.製造業のエネルギー消費
 では、製造業のなかでは、主には何がエネルギーを消費しているのでしょうか?

エネルギー白書2007年版より引用

http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2007energyhtml/html/1-1-1-3.html

「製造業は素材系産業と非素材(加工組立型)系産業に大別できます。前者の素材系産業とは、鉄鋼、化学、窯業土石(セメント)及び紙パルプの素材物資を生産する産業を指し、エネルギーを比較的に多く消費する産業です。一方、後者の非素材系産業とは、それ以外の食品、煙草、繊維、金属、機械、その他の製造業(プラスチック製造業等)を指しています。エネルギー消費の構成を見ると、素材系産業である前述の4つの業種が製造業全体のエネルギー消費の7割以上を占めています」

エネルギー白書2009年版より引用

http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2009energyhtml/p2-1-2-1.htm

 これを見ると、大きくは素材系産業から非素財形産業(加工組立型)へと移行しており、それによってエネルギー消費はより減少方向へと推移しています。ただ、依然として、現時点でのエネルギー消費の7割をこの素材系産業が占めています。
特に、この十数年で最も増えているのは化学工業だといえます。そして、化学工業で特徴的なのはエネルギー使用比率で輸入に頼る石油製品の割合がもっとも高いことです。
では、化学工業とは具体的にはどのような製品を扱っているのでしょうか?

■化学工業・石油・石炭製品製造業
化学肥料・無機化学工業製品・有機化学工業製品・化学繊維・油脂加工品・石けん・合成洗剤・界面活性剤・塗料・医薬品・化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品・プラスチック製品・ゴム製品製造業、石油精製業
企業例:旭化成(株)、花王(株)、(株)資生堂、新日本石油(株)、武田薬品工業(株)、富士フイルム(株)、(株)ブリヂストン

 どうでしょうか。企業名を見ても、製品種別を見ても、確かにこの十数年で身の回りでも急増しているモノのように感じます。生活全般にわたって、「大量生産・大量消費型」の工業生産時代のライフスタイルを成り立たせている代表のように思われます。
 そして、これらの化学工業製品は、現在、ゴミ問題や、食品添加物、医薬品への過度の依存、シックハウス症候群などの人工物質による環境問題となっています。今後、徐々にこれらの製品群は減少傾向になるのではないでしょうか?
 および、これらの素材系産業(鉄鋼、化学、セメント及び紙パルプ)は、ほぼ市場拡大と連動している項目だといえます。
 今後の市場縮小局面(GDP▼)においてどのように推移していくのでしょうか?最後に、GDP予測との関連性について確認してみます。
3.今後はどうなるのか?
 では、今後はどうなっていくのか

エネルギー白書2009年版を元に作成
 このグラフは、’90年値(=100)をもとに指数値で比較していますが(見やすくするためにGDP、製造業、非製造合計とそれ以外はスケールを変更しています)、これを見ると非製造業は’92年からすでに減少傾向が顕著になっています。
 製造業は、高度経済成長期はGDPに先行する形で上昇していますが、’90年以降はほぼ増減のサイクルもGDP推移と連動しています。
 そして、その大本であるGDPは’08年 ▲3.7%、’09年 ▲5.0%と減少に転じています。それに伴って、製造業におけるエネルギー消費も減少しています。今後、GDPが平均▲3%で推移するとすれば、

■’30年(20年後)の予測
 製造エネルギー消費予測=’79年ピーク比 48%
 非製造エネルギー消費予測=’05年ピーク比 30%
 ↓   
 合計エネルギー消費予測=’97年ピーク比 48%

と予測されます。このままのペースで市場縮小が続けば、今後20年間では、’97年ピーク時の48%(’09年比較でも50%と半減)まで減少していくと考えられます。
 結論としては、3部門(運輸、民生、製造)ともに、今後20年間では約6~7割へとエネルギー消費は縮小していくと考えられます。これは、ほぼバブル期前の’80年代前半の水準に近く、バブル以降の無理やりに市場拡大してきた増加分が再度、元の水準へと戻っていく過程ともいえます。
 ただ、今後、必要なエネルギー消費量が縮小したとしても、依然として日本のエネルギー自給のカギを握るのは、石油、石炭、および天然ガスの化石燃料です。次回は、その中でも石油と石炭に絞って現在の使用量や使用先などについて調べてみたいと思います。 

List    投稿者 systema | 2010-03-04 | Posted in E01.状況編4 Comments » 

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コメント4件

 ヘンプヒルズ | 2011.02.08 14:32

次代の水力発電の実現に対し、具体的でわかり易いロードマップですね。
気になった点として、各ステップでコストはどのくらいかかるのでしょう?
また、第3ステップで小水力発電を7年で14,000箇所だとすると、2,000箇所/年平均は少し多いような?

 fwz2 | 2011.02.12 22:43

ヘンプヒルズさん、コメントありがとうございます。
現状、キロワットあたり200万円建設コストがかかり、1500万キロワット分建設するので、
200万円×1500万=30兆円となります。(総計)
第1ステップ3兆円、第2ステップ6兆円、第3ステップ21兆と言うことになります。
かなりの金額ともいえますが、建設したらその後の燃料費は必要ありませんし、
1950年代に建設した小水力発電所が今でも活躍していることから、これから建設するものも、長期間使うことが可能と考えば、それほど高くはないと言えると思います!!

 せきや | 2011.02.12 23:13

小水力発電は、もともとローテク分野ということもあり、取り組みやすさは高いので、普及の可能性は大きいと思いました。
一方で、民間主動の側面が多いなら、経済的負担はさることながら、日頃のメンテ・管理などの負担も発生することから、導入に向けた小水力発電の動機付けがとても大切かなと思いました。
本文中にもありますが、町おこしといった地域活性化的な動きが必要だと思いました。

 fwz2 | 2011.02.14 15:57

せきやさんコメント有難うございます。
>小水力発電は、もともとローテク分野ということもあり、取り組みやすさは高いので、普及の可能性は大きいと思いました。<
現在、環境へ配慮する意識は高まっていますから、日本に豊富な水力を有効に使わない手はないと誰もが思うはずです。仰るように、ローテクということもあり「誰でも簡単に電力自給」って感じで普及していくかもしれないですね。

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