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【人口問題】2~本能態の単一種が増殖し続ける事はない~

プロローグ [1]を受けて、今回は、第一回目として「生物史において、「本能態」の単一種が、人類のように増加し続けるようなことはありえたのか!?」を明らかにしていきたいと思います
皆さんはクラゲやねずみやバッタ等の生物が大量発生しているニュースを見た事はありませんか?
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(↑大量発生したミズクラゲ@新潟・佐渡2008年7月 [2]
これは人間で言われる人口爆発と同じようなものなのでしょうか。
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□生物の増え方はネズミ算!?
ここである例を見てみたいと思います。
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(↑一匹だとかわいい…ねずみ [3]
オーストラリアを初めアメリカ南部やアジア諸国に生息するイエネズミは、何年かに
一度、異常繁殖します。するとその捕食者である鷹、ふくろう、猫等の数も増殖しますが、
もの凄い勢いで増殖するイエネズミには到底追いつくことはできません。
とすれば、イエネズミは際限なく増殖を続けるのかというとそんな事にはなっていません。
イエネズミの集団密度が増すと、ある種の細菌がネズミの群れに大感染を起こし、ネズミは次々に敗血症を起こして死亡してしまいます。こうして数は急減し異常繁殖は終わりを告げるのです。
また、
大陸の砂漠地帯に分布するワタリバッタやサバクバッタ等はときに大量発生して大集
団を作り、集団が通りかかった地域の田畑は壊滅的な被害を受けます。これは、古来より恐れられているもので、蝗害(「こうがい」と読む。バッタは漢字で「飛蝗」と書きます。)という名前までついているほどです。バッタは普段、個々の個体は離れて暮らしているのですが、個体数が増加して密度が高くなってくると、それを感知する能力を持っていて、羽を普通より大きく成長させたり、筋力を増強させたりして(相変異と呼ばれる)、他の生息場所を求めて飛んでいきます。とはいえ、何千kmも移動する渡り鳥のようなスタミナは持っていない上、昆虫であるバッタが生息できる環境条件は限られています。そのため、その範囲で食べる物が無くなれば、共食いまで起こり、大量発生した後には、やはり大量の死骸が発見されているのです。
DesertLocust.jpg
(↑相変異前(上)と相変異後(下)のバッタ [4]
どうもネズミもバッタも一時期は大量に増殖するものの、ねずみ算のようにはいかな
いみたいですね。
なぜネズミやバッタのような結末になってしまうのでしょうか。
実は、このような生物の個体数の増え方に関する研究があるので見てみましょう。
□生物の個体数の増え方に関する研究
アメリカのパールは1920年代に、ショウジョウバエの個体数増加について研究しまし
た。瓶に餌として一片のバナナをいれ、これにショウジョウバエをいれて個体数増加
を見たところ、個体数は当初は素早く増加しますが、次第にその増加率は下がること
を発見しました。この原因は、密度効果と呼ばれ、えさの不足、住みかの減少、必要
資源を求めての競争激化、排泄物の増加等による生息環境の悪化などが挙げられま
す。また相互干渉と言って個体数が多くなると、互いに接触する局面が増え、その結
果、それぞれの活動を邪魔したり、傷つけ合ったりと言った直接的な影響が生まれま
す。例えば、産卵時に他個体と接触することで産卵行動が邪魔されると産卵数が減少
する、というような例です。
このハエの個体数と時間の関係をグラフにすると下図のようなS字曲線を描きます。彼はこの曲線を個体数増加の一つの型と見なし、ロジスティック曲線と呼びました。(グラフ中のKは環境外圧に適応できる個体数を表しています。)
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(↑ロジスティック曲線)
□本能動物は増殖し続ける事はない
先ほどのネズミやバッタの爆発の例も、ロジスティック曲線に当てはまります。
生物は全て環境外圧に対する適応態として存在しています(リンク [5])。
本能態の生物が適応できる環境を越えて適応するためには、DNA変異をするしかありません。
これはこの地球上に無数の種の生物がそれぞれの環境内で生きている事からもわかります。
本能態の単一種が人間のように環境を越えて増殖し続けることは出来ないのが自然の摂理のようです。
次回は共認動物である猿を見ていきたいと思います。
<参考文献>
http://www2.plala.or.jp/dontak/lemming.htm
http://www.takenoma.com/hibiki-42.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%A4%89%E7%95%B0_(%E5%8B%95%E7%89%A9
http://www.geo.titech.ac.jp/lab/ida/numexe/manual/3/logistic.html

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