2010-08-09

『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性7~「バイオマス循環サイクル」の意味~

前回、前々回の投稿で、rinoさんから次のようなコメントをいただきました。

~5へ
「石油を越える高効率なエネルギー源、もしくは資源は無い」ということが事実なんだと思ってます。
なぜなら、石油が何千年何万年という時間のエネルギーの積層態だという認識があるからです。
一部、石油が無機物起源説があるようですが、なかなか考えにくいと思われますので。
現在の石油依存(もしくは原子力依存)の市場原理の中ではどうしても効率(=経済効率)ばかりが先行してしまうので、どんなに優れた新エネでも飲み込まれてしまうのは当然でしょう。だからこそ、
>リグノフェノール実用化、その実現基盤は市場を越えたところにあり、市場原理から脱却して次の社会を考える認識転換が不可欠です。
こういった技術面だけではなく、社会構造論、意識論としての切り口は不可欠です。
リグノフェノールにはかなり期待している部分がありますので期待しています。
~6へ
いきなりこのモデルへと転換するのは現実的には無理だと思うので、現在の「超短期的消費生活」(=石油依存生活)からどのように緩やかに「生産期間=消費期間」というスタイルへと移行していくのかがミソですよね。
国の援助という経済的支援は不可欠なのですが、国主導だけだと大衆はおっついてこないと思うんです。
だとすると、「消費生活→社会閉塞(=活力問題)」という構造の社会的な認知があって、初めて実現に向かうのかなと。
技術面のモデルの中に、こういった活力問題をどう包括できるのか?が鍵になるのではないでしょうか

今回は、ロードマップの前にこの内容を扱おうと思います。
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>石油が何千年何万年という時間のエネルギーの積層態だという認識
脱石油というのは、「CO2を削減しましょう」と言われても胡散臭いだけですが、上記のように認識すると、そんな大変なものを一瞬で消費すること自体が間違っているという気がしませんか?
植物は地球上で唯一、太陽光エネルギーを物質に固定する事が出来る=エントロピーの流れに逆らって活動することが出来る存在です。(ちょっと乱暴ですけど、そうします)
石油は植物がそうして固定した炭素化合物を何万何億年の月日で濃縮された物質です。
だから、利用価値が高い物質なのであり、エネルギーに変換し易く、多様なプラスチックも作り出せるわけです。
下手をすると、数千年の歳月をかけて生成された植物体が一瞬で熱となって大気に放散されている訳で、何か摂理に反している気がしますよね。実際、地球の収支バランスは崩れ、それが今の温暖化と言われている、このクソ暑さ原因ではないでしょうか。
脱石油は、将来枯渇してゆく資源、日本では産出しない資源、をどうするという意味が大きいですが、上記のような意味も大きいと思います。
そこで、リグフェノールです。
世界中の民族は、それぞれその地域にある植物や土で作った美しい生活用品を持ちます。
使い易く、丈夫な形状を実現するために色んな素材で工夫してきました。
特に日本は生活民芸品の王国です。そのシンプルで美しいデザインと高い機能は、はっきり言って世界一です。
それを、石油という高いポテンシャルの物質を化学反応させることで、プラスチックという安価な材料を得て、駆逐してしまいました。周りを見直せば、今ほどプラスチックに頼らなくても、十分便利な生活を営めるのではないでしょうか。実際、バブル前まで時代を遡る程度でプラスチック消費量は半分になるのです。
バイオマスサイクルで示しましたように、石油を燃やしたり、精製しなくても、その時代の生産する範囲の植物(バイオマス)量でもなんとかプラスチックを生産できるのではないかというのがリグフェノールの可能性です。
それも、毎年、木材なりを即プラスチック化するというのではなく、木材なら始めはそのまま木材として利用し、その寿命が来てからリグフェノール化するというのがミソです。
リグフェノール化は、高いエネルギーをかけて物質変換するのではなく、木材をそのままの分子の形で分解してリグニンを取り出すという、エントロピーの流れに沿った製造法なのです。(自然の流れに逆らわないからエネルギーがかからないとも言えます。高いエネルギーをかけて取り出すのは、結局他のエネルギー資源を使い、石油を削減する意味がなくなります。)
言わば、木材が腐ってゆく、その途中でプラスチックを取り出すようなものです。
この「脱石油=自然の摂理の範囲内で消費する」、への認識転換のためにも、バイオマスサイクルのような事業を実現することが重要と考えます。
このサイクルを実現してゆく事によって、社会に必要な事業が起こり、雇用が創出され、つまり活力が生み出されます。その事が、また認識転換へと繋がるでしょう。
認識転換と実際の事業は、新しい社会への両輪として働くものと思われます。
さて、次回がこのシリーズ最後となります。

List    投稿者 hihi | 2010-08-09 | Posted in E05.バイオプラスチックの可能性No Comments » 

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