2009-08-15

江戸社会を探る ~現代(次代)に活かす可能性とは(インデックスNo2)~

江戸社会を探る ~現代(次代)に活かす可能性とは~に引き続き
・江戸時代の社会システムとはどんなものだったのか?
・その江戸社会システムを実現することができた基盤とは何か=江戸時代の人々を貫いていた収束軸は何だったのか?
を分析する視点として重要な視点の投稿が、おなじみるいネットで投稿されているので紹介したいと思います。
★江戸時代をどうみるか?

~(中略)~
江戸も含めた日本の社会構造の何が、充足をもたらしたのかを調べていくうちに、この外人記者と同じ思考法で分析された日本史が極めて多いことに気がついた。その思考法とは、西洋の歴史観をそのまま日本に当てはめたものである。これは、進歩的知識人といわれる戦後の研究者に共通のものなのだろう。
彼らは、古い封建的な支配に、自由と平等を手に入れる闘争を自ら起こして勝利したから、輝かしい西洋近代社会が出来上がった。それに比べて日本は遅れており、明治になってやっと近代国家への道を歩み始めたのだ、と。だから、江戸も含めた過去は悪であり、そこに帰るという発想は文明の後退でしかない、という観念である。
これは、単に万人が私権闘争に収束する市場社会の正当化でしかない。この様な視点を日本史に無理やり当てはめると、江戸時代は西洋私権社会と同様に幕府の理不尽な支配で、農民は徹底的に搾取されるだけの奴隷のような生活をしていた、ということになる。
このような例として、土地所有の分析がある。江戸時代の土地は現在的な意味での私有はなく、共有に近かった。ただ、年貢を納める代表としての名義は登録されていた。これをもって、西洋と同じ土地私有とみなし、社会体制を分析している文献が極めて多い。
これを前提にするから、社会関係はどのレベルにおいても支配者と被支配者だけとなり、昭和初期まで現存した村落共同体という体制は説明できなくなる。また、現実のこの共同体のおかげで、役割などの充足は十分過ぎるほどあったことも説明出来なくなる。
このように、多くの日本の社会体制分析がかたよったままだ。ここで、分析軸として忘れてはならないのが、大陸から来た支配層も、土着の共同体をうまく組み込まなければ安定支配は不可能だったことだ。

非常に重要な視点での分析軸ですよね。
近代思想の枠組みの中での思考で歴史を読み解いていくと、事実に反することが堂々と「歴史」として固定化されてしまいます。
前作のインデックス投稿以降、次々と分析に入った記事や投稿が入ってきているので、今回も仕切り直しでインデックスを投稿していきたいと思います。
より分析の視点が深くなってきているので注目してくださいね。
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●江戸社会の統合を実現していたものは何か?
|―■江戸社会を統合していた社会システムとは?
| |―①社会統合システム
| | ・公務を半専任化できた事例が日本の江戸時代である
| | ・階級闘争とは無縁だった江戸社会(1)
| | ・階級闘争とは無縁だった江戸社会(2)
| | ・江戸幕藩も諸藩も参勤交代は統合課題を直に共認するためのものだった
| | ・江戸時代の参勤交代制と市場拡大
| |―②市場システム
| | ・江戸社会をさぐる~江戸経済を支えた市場の割合は?
| | ・江戸の環境規制「山川掟」と人口停滞による地方経済の活性化2
| | ・万人に共認された「お金=$、\、£・・」は幻想に根ざしていた。であればその幻想を抜くべき
| | ・共同性を備えている日本がとった律令制度から地方自治への変化の必然

|―■江戸時代の集団様式とは?
| |・日本の自治組織
| |・都市部にも共同体が形成された江戸時代
| |・江戸時代には村落共同体そのものが統合機能を担っていた②
| |・共同体を組み込んだ支配体制が江戸の社会構造①
| |・共同体を組み込んだ支配体制が江戸の社会構造②
| |・江戸時代の父系制と母系制
| |・江戸時代の商家は女系相続が中心だった

|―■集団様式を支える共同体意識とは?
| |・日本人の可能性~半農半士という存在
| |・江戸時代をさぐる~村落の所有意識は?
| |・『凡才の集団は孤高の天才に勝る』~素人の創造力
| |・「アワセ・キソイ・ソロエ」という日本の方法
| |・日本の精神 1~惣掟~
| |・日本の精神 2~“連”って何?

|―■統合を支える教育(規範)とは?
   |・江戸時代の識字率が高かったのは何で?
   |・江戸の教育~男は男の道を学び、女は女の道を学ぶ場
   |・日本の精神 3~江戸の「講」
   |・日本の精神 4~村落共同体の充足規範 「結」 ~
   |・大人しぐさ~江戸に学ぶ自然の摂理の修得法~
   |・女しぐさ 男しぐさ

List    投稿者 tutinori | 2009-08-15 | Posted in I02.循環型社会ってなに?11 Comments » 

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コメント11件

 どんきち | 2010.03.19 21:23

システム比較の表、とても分かりやすくていいですね!☆★
炉の構造による機能、特性の相違という点では、
■熱中性子炉(遅い中性子でも核分裂可)
=U235、トリウム
     VS
■高速炉(高速中性子で核分裂)
=U238など、Pr239、トリウム
と、いう風に、照射する中性子のスピードとそれに対応する炉の構造(軽水炉などOR高速炉)も、大きな要素になりますね。
でもって、「トリウムが便利」といわれているのは、「熱中性子炉でも高速炉でも、核変換効率がの構造に左右されにくい」という、フットワークの軽い性質であるところなんだそうですね。

 tutinori | 2010.03.20 23:30

>どんきちさん
ありがとうございます☆
>炉の構造による機能、特性の相違という点では、
■熱中性子炉(遅い中性子でも核分裂可)
=U235、トリウム
     VS
■高速炉(高速中性子で核分裂)
=U238など、Pr239、トリウム
と、いう風に、照射する中性子のスピードとそれに対応する炉の構造(軽水炉などOR高速炉)も、大きな要素になりますね。<
確かにそうですね☆
今回はどちらかというと、「溶融塩炉」という炉のシステムに着目しました分析だったので、そこまで踏み込みませんでした。
新たな着目点の提供ありがとうございます。
今後とも一緒に追求していきましょう☆

 なえ | 2010.03.20 23:32

個体燃料炉と液体化燃料炉のシステムの違いが、とても分かりやすい図で気づきがいっぱいでした!
素人にもわかるように噛み砕かれた内容、スゴイです!ありがとうございます。☆
液体化燃料炉の場合、放射性廃棄物を減らすことが出来ることに加え、やはり、一度に大量の核燃料を投入しなくて済むところが、リスクが少しでも小さくなるから良いのかなと、素人としては思います。
ベース電力として、今後も原子力が必要なのか?の検証がまた必要になるのだと思いますが、今後も使い続けるのであれば、液体化燃料炉への移行も、可能性ありそう・・・って感じました。
政治的には、トリウム原子力ってどうなっているのでしょうか?今後の追究に期待大です。

 のん | 2010.03.22 16:03

個体燃料炉と液体化燃料炉のシステム比較、とってもわかりやすかったです。
これを見る限り、
「だったら、絶対液体化燃料炉の方がいいじゃん!!」
って思うんだけど、そもそも、原子力ってところがやっぱり不安~~。
あと、液体化燃料炉が次の新しいエネルギー開発の可能性としてみたとしても、エネルギー問題のもうひとつの要素として、その原料の調達先も重要なところですね!
その原料が外国に依存したままだと、世界を取り巻く市場に絡めとられる+本当に経済破局が起こり、貿易に支障が出てくるようなことになれば、せっかくの可能性も絶たれてしまう!!
エネルギーも、日本で「自給自足できる」という視点でも検討していかないといけないですね!

 どんきち | 2010.03.23 14:36

なえさんへ
>政治的には、トリウム原子力ってどうなっているのでしょうか?
 国の政策としての原子力に関する長期的な計画は、原子力委員会が10年に1度程度の頻度で定期的に改定、発行している「原子力政策大綱」というのが、代表的な資料になります。
 最も新しいものでは2005年が最新版になります。
2010年も改定が予定されていましたが、先送りになりそうだとの予想もされています。
■2005年原子力政策大綱はこちら
→http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/taikou/kettei/siryo1.pdf
 この、大綱の中では、トリウム炉の導入可能性、具体的な研究・開発計画や位置づけについては明確な言及されてはいませんが、「燃料サイクルとしては、まず、中長期的に高速増殖炉や、プルサーマル等を検討して、有効な核燃料の開発、長期的に見て開発・研究対象となりうる、技術の選択肢・可能性の一つとして他の技術同様、可能性は念頭におきながら模索していく。」というニュアンスの様に感じられます。
 
 トリウム炉は、机上の理論上の、エネルギー効率等の面では利点が強調されることが多いですが、よく、検証してみると、例えばよく言われる
■「ウラン濃縮工程が必要ないから有利」
⇒かわりに「核スポレーション処理」(実質は、トリウムをウラン233に核変換するための高速中性子による核加工技術)が必要
■「トリウムは核分裂性物質ではないから安全」
⇒分裂性のウラン233に変換して使うんだから、一緒
■放射性廃棄物量(コスト)が少なくてすむ
⇒ウラン燃料サイクル同様、放射性物質は発生する。
 その他、有害物質の発生もあり、それらの処理方法については技術が未確立
■核スポレーションを含む、変換技術についても未明課題は多く、技術導入、実用可能性についてはまだ議論の土俵に上る水準には達していない、との見方が一般的
 等など、結局、ウラン燃料サイクルと比べてみると「長期的将来的に、可能性を検討すべき選択肢のひとつ」として念頭においておく、ということになるのではないでしょうか。
 政策資料の中では、選択肢としても具体的には取り扱われていない、といったレベルではないでしょうか。

 どんきち | 2010.03.23 14:57

なえさん
政策大綱は内容が抽象的なわりには分量が多いので、資源エネルギー庁の発表資料がコンパクトに政策のポイントをまとめているので、こちらもよろしければご参考にしてみて下さい。
資源エネルギー庁HP
■施策情報
http://www.enecho.meti.go.jp/policy/index.htm
■「原子力発電の中長期的方向」
http://www.enecho.meti.go.jp/policy/nuclear/nuclear05.htm
以下、HP全文引用
5 原子力発電の中長期的方向
 
○既設の原子力発電施設を安全の確保を前提に最大限活用するとともに、立地地域をはじめとする国民の理解を大前提に新規の発電所の立地に着実に取り組む。
○原子力発電がエネルギー安定供給及び地球温暖化対策に引き続き有意に貢献していくことを期待するためには、2030年以後も総発電電力量の30~40%程度以上の供給割合を原子力発電が担うことを目指すことが適切。
○2030年前後から始まると見込まれる既設の原子力発電施設の代替に際しては、炉型としては現行の軽水炉を改良したものを採用する。原子炉の出力規模はスケールメリットを享受する観点から大型軽水炉を中心とする。
 ただし、各電気事業者の需要規模・需要動向や経済性等によっては標準化された中型軽水炉も選択肢となり得ることに留意する。
○高速増殖炉については、軽水炉核燃料サイクル事業の進捗や「もんじゅ」等の成果に基づいた実用化への取組を踏まえつつ、ウラン需給の動向等を勘案し、経済性等の諸条件が整うことを前提に、2050年頃から商業ベースでの導入を目指す。
 なお、導入条件が整う時期が前後することも予想されるが、これが整うのが遅れる場合には、これが整うまで改良型軽水炉の導入を継続する。

 どんきち | 2010.03.23 16:06

原子力政策を誰がどの様に決定しているかという事も気になりますね。
【原子力政策の決定機関】
日本の原子力政策の決定機関は概ね次の様になってます。
          【内閣総理大臣】
     ---------------
    ↓                    ↓
 【原子力委員会】        【原子力安全委員会】
■原子力政策大綱の作成   ■安全目標案作成
■方針決定              ■指針作成、チェック、監査
   ↓   
   ↓      
   ↓             諮問   
【総合エネルギー調査会】⇒⇒⇒⇒⇒【経済産業省】
  |                  資源エネルギー庁
  --部会---総合部会 
  |       | 
  |       --需給部会
  --小委員会    
■原子力開発利用長期計画作成
■総合エネルギー調査会答申類作成
§総合エネルギー調査会設置法   
 
                    

 ひろあき☆彡 | 2010.11.11 10:33

初めて投稿したします。どうぞよろしくお願いします。
昨晩のNHKクローズアップ現代で、中国のレアアース輸出制限
問題と関連してトリウム・プルトニウム混合燃料とトリウム・ウラン
混合燃料の技術を取り上げておりました。
これらの混合燃料は一体どういった技術なのだろうと興味をもって
検索するウチにこちらのブログに辿り着いた次第です。
でもThに関しては溶融塩炉というのが本来開発中のもの
なのですね。

 tutinori | 2010.11.17 13:47

>ひろあき☆彡さん
コメントありがとうございます。
>中国のレアアース輸出制限
問題と関連してトリウム・プルトニウム混合燃料とトリウム・ウラン
混合燃料の技術を取り上げておりました。
ウラン・プルトニウム混合燃料(MOX燃料)の他に、トリウムとのMOX燃料もあるんですね。確かに、ウランよりは量の確保はできますからね。
>でもThに関しては溶融塩炉というのが本来開発中のものなのですね。
ちなみに、今回記事にしている『溶融塩炉』というのはメジャーではなく、本来は一般的な軽水炉での使用ですよ。(インドなんかはこれが主流のはず)
今回の記事では『溶融塩炉』という形式と『軽水炉(=固体燃料炉)』の比較という意味で捉えてください。
トリウム原発での技術面での決定的な負の構造は、
シリーズ12   地球の物質循環から切り離された核廃棄物問題はトリウム発電でも同じ
シリーズ16   原子力発電のまとめ1~(技術開発編)
辺りを見てくれたら分かると思います。
今後も宜しくお願いします。

 匿名 | 2011.07.15 10:44

トリチウムはガンマ線でません。弱いベータ線です。体内取り込みでDNAにはとても危険ですが。

  | 2011.09.19 23:47

すごく初歩的なとこで指摘だけど、トリチウムってベータ線放出だよ。

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