2006-12-29

ウンコに学ぼう♪~衛生・清潔とは何か?~

最近、仲間が増えつつあることが嬉しいかっし~です
前回の『日本人はウンチをするために、石油を輸入している?!』に、コメント頂きました皆さん、ありがとうございます
※雑草Zさんのブログ雑草の言葉でも、『食糧自給と糞尿処理』『動物として最低限果たすべきこと』の2回にわたって、ご紹介頂きました 私が書いた以上に、生態系や食糧問題などの観点から深く書かれていますので、ぜひ
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前回の投稿のあと、会社の先輩より、衝撃のタイトルの本をご紹介頂きました その名も、『ウンコに学べ!』(有田正光・石田多門共著、ちくま新書)
そしてさらに今回、るいネットでもお仲間発見
狒狒さん『人糞は危険なのか?』
狒狒さんのお話では「人糞=汚染・危険」の観念操作があるとのこと。
確かに、世間一般では、「 は汚いから触っちゃダメ 」って教わってきましたよね
そもそも日本では、戦後、生野菜をサラダでGHQの寄生虫撲滅作戦により、下肥を使わない農法がとられ、徐々に下肥文化は衰退していきました。戦後の一時期、そのようにして作られた野菜を清潔野菜 と読んだそうです。(「ウンコに学べ!」より)
彼らが清潔と呼んだものは一体なんだったのか
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日本の下肥文化を不潔であるとした欧米人は、一体どれだけ清潔な生活を送っていたのか
『ウンコに学べ!』からご紹介したいと思います
ヨーロッパのトイレ事情~糞尿溢れかえる街中→ペストの発生~
実は・・・18世紀末まで、トイレがなかったのです
この時期、日本は江戸時代中期。『江戸のリサイクルから何を学ぶか』ででてくるように、既に都市⇔農村の下肥流通システムが確立されていたころです。
トイレがなかったら、みんな糞尿はどうしていたのか もちろん、欧米人だって同じ人間ですから、しないというわけはありません。各家庭、平民貴族王族関わらず、おまるを使用していました
では、おまるの中身がたまったら
問題はここ なんと窓から外にほうり投げてたんです 😈 窓の外は当然、人が行きかう道路
14世紀のパリでは、「水(=糞尿)にご注意」と3度叫びさえすれば、窓から何を投げてもよかったそうです
イギリスでは18世紀でもこのような状態で、道行く紳士は、召使を先に立て頭上に注意させながら、窓から便を捨てようとする者がいれば「hold your hand」と先触れさせなければなりませんでした
石畳舗装だったヨーロッパの都市では、誰かが清掃しない限り糞尿は自然に消えてはくれません 公費で清掃業者を雇ったり、市民に清掃を義務付けたり、道端に豚小屋をつくり豚に食べさせたりしましたが、それでも臭いは相当なもので、
ルイ14世がベルサイユに宮殿を移したのもパリの悪臭から逃れるため、
ヨーロッパで香水が売り出されたのも、街中の臭気を消すため
だったとのこと
衛生状態も非常に悪く、ネズミやノミが群生していました こんな状態では、ヨーロッパで1347年~1750年までの間にペストが何度も発生したのも必然であったと言えます
ヨーロッパのトイレ事情~糞尿川→コレラの発生~
このような状態のヨーロッパで、18世紀末に水洗便所が発売されると、彼らはこぞって買求めました 😈
しかし、この頃当然、専用の下水道もなければ、下水処理施設もありません。彼らの糞尿は、雨水排水用の下水道を通って、生活廃水や工業排水と一緒に河川へとそのまま流し、今度は川が悪臭に見舞われました
しかも、フランスでは上水道専用のウルク運河が1811年にできるまで、糞尿流れるセーヌ川から飲み水の1/3を汲み上げていたといいます(イギリスのテムズ川も同様の状態)。つまり、薄めた下水を飲んでいたんです
そのため、今度は1831年以降4度に渡り、ヨーロッパ中がコレラに悩まされることとなりました。
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コレラの原因~伝染質説と細菌説~
コレラの原因については、当時、伝染質説と細菌説が唱えられました。
伝染質説

1840年代の主流。下水から立ち上がる得体のしれない毒気を原因とするもの。そのため、イギリスのテムズ川では、下水からの毒気をロンドン市中に立ちこませないようにするため、生下水を市内から速やかに排除することを目的として下水道を建設、市内から18キロはなれた郊外でテムズ川にに放流する手法をとる。
それでも下流では毒気が発生してしまうため、伝染質説派医学者達は、糞尿を下水道に流さないよう、強く衛生指導を行なったが、処理に長い間困っていた市民達は耳を貸さず、生下水が下流に流され続けることとなった

細菌説

一定の病気は一定の細菌によって引き起こされるとするもの。1884年のコレラ菌発見によって主張が認められる。ただし、上水道に混入した細菌こそがコレラの原因であるとし、浄水処理の徹底のみを強調。下水道に関しては糞尿を放流した場合もほとんど影響はないとして、糞尿・生活廃水・雨水全て一緒に下水道に流す合流方式でいいとした

皮肉にも病気の発生源としては細菌説が正しかったため、糞尿の処理方法も、細菌説方式がとられ続けることとなりました
この方法はイギリスやアメリカでは、第2次世界大戦後までとられており、川へそのまま流され、
海にそのまま流されていく
河口で汚泥をため、埋め立て、海洋投棄等の処理を行なう
下水処理にて浮いているゴミをとるだけの1次処理を行なう
いずれかの方法がとられました。
アメリカでは、川の流量が豊富で海に投棄された場合と同様に攪拌・希釈されるため、大きな問題となることにはなりませんでしたが、それでも、アメリカ人も薄めた下水を飲んでいることに変わりはありませんでした 😡
自分達の目の前から、ただ汚いものを排除すること
それが彼らのいう、清潔・衛生な状態だったというわけです
だからこそ、彼らにとって、汚いものを排除しない日本人=不衛生・不潔、矯正すべき対象となったのでしょう
清潔・衛生は、自然の摂理に立脚しない、頭の中だけで作られた観念でしかないんですね

List    投稿者 kasi1106 | 2006-12-29 | Posted in I02.循環型社会ってなに?1 Comment » 

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コメント1件

 kumakei | 2007.01.11 23:16

なるほどー!
コレラの原因がよくわかりました。
何とな~く、排泄物の利用=病気の原因 って思ってました。原因をしっかりと把握すれば、それが問題か否かがはっきりしますね。
これに対して、原因追及をしなければ、新たな問題が次々と発生してしまう。排泄物は汚いという概念だけで、気がついたらまた自らの所に病気を携えて戻ってきてしまうコレラの話は典型的な事例ですね。
ひょっとして、弊害のない排泄物の有効利用についてまで、昔の日本人は把握していたのでしょうか。

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