2006-12-31

ダイオキシンは規制強化、内分泌撹乱化学物質の規制は骨抜きなのはなんで?

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『ダイオキシン問題の真実!』
ダイオキシンとは地球環境問題の一つの要素であり、それだけでは問題解決は有り得ない 社会環境全体 を総合的に判断する必要があるということです そして、そのためには問題の可能性がある要因に関する事実を明らかにすること が急務なのだと思います。
大衆の意識を、ウソの情報をばらまくことにより煽るような行為 、そしてそれらが市場の利害により規定されているという現実 を皆で共有し、本来必要な議論を進めていくべきですね

という kumakeiさんの記事から考えてみました。
ここ数十年、多くの人工物質が社会問題化してきました。
このうち『ダイオキシン』は問題が表面化して以来、規制は強化されています。
反対に、『内分泌撹乱化学物質』の方は、一時的には盛り上がりましたが、その後、規制は骨抜きになり、沈静化しています。
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まず、ダイオキシンの方から見ていきます。

『近代科学工業は、われわれ国民の生活を便利で豊かにしたいと願ってさまざまな製品を作り続けてきたが、その原料には石油とカセイソーダと塩酸が必要であった。いい換えると、われわれの生活を便利で豊かにする製品は、そのままダイオキシンの原料という皮肉なことになる。』
環境ホルモン&ダイオキシン 化学同人  脇本忠明氏の執筆分より引用

もう少し詳しく言うと、ダイオキシンとは、石油由来の二つのベンゼン環に、複数の塩素(数と位置の違いにより毒性は異なる)がくっついた物質なのです。その塩素は、生活用品の多くを占めているプラスチック製品に含まれています。例えば、ポリ『塩化』ビニルなどのように。これらが、普通に燃えるとき(400℃前後)、必然的にその一部が、ダイオキシンとなります。しかし700℃に上げれば発生量は減ります。そのために、焼却場では、燃やして出だ排ガスをさらに700℃まで加熱しています。当然エネルギーはたくさん浪費されているわけです。
この毒性は強く超微量でも危ないとされているため、測定の限界に近い規制になっています。というよりこれが測定できる機械が登場したから規制も可能になったという順番でしょう。なにしろ、1ピコグラム(10のマイナス12乗グラム)というのは、9コースある50mプール一杯の米を1グラムとしたときに、米一粒にあたります。しかも気体なので、どこにあるかわかないくらい小さな値なのです。その10倍の10ピコグラムが一日に体重1キログラムあたり摂取しても可能な量とされてますが、これもさほど根拠のある数値ではありません。
しかし、この規制が出来てから、既存の焼却工場は改修を余儀なくされました。また、ゴミの排出量はその間も増える一方で、新規の焼却場も建設されています。そのコストは、規制前に比べて、1.5倍から2倍というオーダーに膨らんでいます。一工場当たり100億に近い値段です。かつ30年持てばいいほうなので、また更新時には膨大なコストがかかります。その上、収集から焼却にかかわるランニングコストはその数倍におよびます。焼却場を運営する会社を作り、その費用を全て税金でまかなっているのと同じです
ここまでくると、、ダイオキシンが問題だからその発生源の焼却場の対策が最重要課題であり、そのためには税金を投入すべきだという一方的論調自体が、なにか歪んでいると感じませんか?、ダイオキシンの毒性の真偽や、焼却場が発生源のほとんどであるというような前提をそのまま受け入れたとしても、今の石油化学製品をそのままにしていては、問題の解決はあり得ないというのがより根源的な視点ですちなみに、、ダイオキシンの発生源のうち、90%が、焼却場以外であるという計算結果もでているくらいです。

結局、ダイオキシン規制を強化することで、行政は規制を求める市民団体に対策を講じたと評価され、その片方で、高度処理技術開発を支援し新産業を育成し、大きな利権を生み出しているのです。これらの制度が定着行くにつれ、処理の為の莫大なエネルギー浪費や、便利さの為の石油化学製品の大量生産大量消費という
          『問題の本質』が『置き去り』にされていくのです。

それに対して、内分泌撹乱化学物質の場合はどうなのか?これも同じように各種の環境団体からの圧力はかかっています。しかし、その規制は骨抜きにされていきました。これは、『人工物質を考える視点』の通りです。
ところで、内分泌撹乱化学物質にはどんなものがあるのだろうか?大きくは農薬プラスチック可塑剤という石油化学製品を作るうえでの必須物質なのです。これらの生産には、世界規模の化学メーカーが軒を連ね、既に大きな市場を築き上げています。このうち、農薬は、不十分ながらも検査方法が確立されており、医薬品のように発売まで何年もかけて胎児も含めた毒性の検査が必須になります。その他の可塑剤については、もともと害が出るとなど思っても見なかった製品なので、検査の方法も確立されていない状況です。

そして、業界からの反論の理由は、害が無いのではなくて、検査方法も確立していないのに、何故危険だといえるのか?に近い内容です。その反論と、産業界の既得権益を死守しようとする行動は、行政を軟化させ規制を骨抜きにしました。このように、『ダイオキシンの規制強化』も『内分泌撹乱化学物質の規制骨抜き』も、
           『儲かるものが一番』という『市場原理』の、『表と裏』だったのです!
まさに、

『共認革命6 チンケな運動(要求運動の終焉)』
(新しい思想を構築しようとはしないで)「運動」を存続させようとすれば、身近で具体的な運動目標を結集軸にするしかなく、(もともとが体制と同じ思想に立脚しているので)身近な運動目標に埋没すればするほど体制に絡め取られて、体制の補完物になってゆく。

のとおりなのです!要求するだけの旧来の運動を超えて、このような事実構造の摘出がかに大切かということを改めて考えさせらた事例でもあるとおもいます。
日本とアメリカはほぼこのような原理に支配されていますが、これと少し異なる潮流がヨーロッパでは起きています。欧州連合(EU)が約三万種類の化学物質について安全性評価などを企業に義務付ける新規制「REACH(リーチ)」を来年六月に導入する見通しになっています。この規制は、化学、電気、自動車といった幅広い業種に及び、企業の負担を一層大きくします。
『EU 新化学物質政策 REACH の紹介 化学物質問題市民研究会
この問題は、なぜヨーロッパ(特にドイツ?)が、このような規制ににいたる強い共認形成が可能なのか?共認軸は本源性なのかゆがんだ倒錯観念なのか?それに乗った企業側の思惑は?(日本の脅威から自らをまもる戦略にした?)など、幅広く追求していく必要があります。しかし、そのジャンルは、政治・経済・思想領域に及ぶため、他のサイトにも応援していただきたいと考えています。
ぜひ、ご参加ください 😀
                                                By Honda
 

List    投稿者 sinsin | 2006-12-31 | Posted in K01.ダイオキシン1 Comment » 

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コメント1件

 雑草Z | 2007.01.28 20:19

うーん、また、随分基本に戻られましたね。
 でもここまで戻るのが環境問題の本質を見極める可能性があるのかも知れませんね。『熱学概論』の研究進んでいますね。
私はほとんど読んでませんが、何で熱素説に戻って説明しなおしているのか不思議でしたが、ここの記事を読んでその理由がわかりました。確かに
>適応できない現象や新説をそれに塗り重ね適応できるように統合した事実認識にすればいい
と言うのは、なるほどと思いました。
でもいくらなんでも熱素説は頂けません。私は
「温度とは、分子の乱雑な方向への(回転運動などを除いた)直進の運動エネルギーの分子一個あたりの平均エネルギー」との認識で全て(大抵?)のことが上手く自然に説明できると考えます。(「乱雑な方向への」と言うのは、固体の場合の全体的な組織運動を除くと言うことです。)例えば絶対0度の存在だとか、絶対0度の状態にすることが不可能な理由だとか・・・・槌田氏の『熱学概論』で、それらも含め全て熱素説で説明できるかどうか愉しみですね。新しい展開があるやも知れません。興味深いご紹介有難うございました。
 『熱学概論』の前にいくつかの環境問題の本を優先して読もうと考えていましたが、この記事を読んで、優先順位を上げて読もうかとも思います。
槌田敦は、
    世紀の真理眼を持った物理学者、救世主か?
    パラノイア、様々な訳の分からん学説の主か?

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