2012-12-15

【2012衆議院総選挙直前企画!】8~TPPの嘘を知り、農村共同体の再生可能性を探る その2

いよいよ明日は衆院選ですが、意外にもTPPをめぐる議論は、各党本部の方針とは無関係に、都市部で「賛成」、地方で「反対」という大きな傾向が浮かびあがってきています(参照)。それくらい政治家にとっても、大衆にとっても実態が見えにくくなっている問題なのかもしれませんね。
さて、前回の記事では、TPP推進の嘘を切開し、農業分野における問題とその突破可能性をご紹介しましたが、今回はTPP参加が農業以外の分野に与える影響を整理すると共に、今後の社会再生を考える上での萌芽が今の政界にないのか?を探っていきます。
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TPP参加は、農業だけの問題でなく、全産業に関わる問題
日本のマスコミはこの間(意図的に)「農業vs輸出産業」という対立構造を作り出し、TPP問題といえば、農業分野ばかりがクローズアップされてきましたが、TPP問題の本質は「一切の貿易障壁が無くなること」そして「完全な日米自由貿易圏が実現すること」にあります。つまり、農業だけの問題ではなく、全産業に関わる問題です。
ここで少し立ち止まって、TPP推進派の筆頭であるアメリカ、そして今や中国の台頭で瀕死の状態にある同国の立場に立って考えてみましょう。
産業規模や影響力で考えると、アメリカがこの「完全な日米自由貿易圏」で輸出したいものは、農産物や工業製品がメインではありません。むしろ、アメリカの強みである金融サービス、法律サービス、医療サービスが中心となる、と考える方が自然です。
そして、これらのサービスを日本へ輸出するにあたって、貿易障壁となる法律や制度は、撤廃されることになります。
TPP参加で、農業以外の主要産業はどうなるのか?
では、各産業分野で一切の貿易障壁が無くなると一体どうなるのか?農業以外の主要産業における影響をシミュレーションしてみましょう。
公共事業・サービス(医療) 
 国内の大病院の多くが赤字に陥っている中、外資による病院の買収が進みます。その結果、収益性の高い保険外診療が増大し、利益率の低い保険診療が蔑にされます。収入によって受けられる医療サービスの差が生まれます。
 また、外資に買収された病院が利益を捻出できなければ、「日本の国内法が悪い」と追及され、法律を改悪されます。病院の営利企業化が進めば、不採算部門の整理廃止が進み、結果として僻地などの赤字医療機関は閉鎖が続出します。
公共事業・サービス(入札)
 公共事業の入札制度を改悪させられ、入札内容をすべて英文で公開することを義務付けられます。
公共事業・サービス(水道)
 欧米企業の参入が進みます。一見すると民間参入は公共料金の引き下げに繋がるように見えますが、過去フィリピンで実施された世界最大の民間水道事業参入で、料金が跳ね上がった事例もあるように、そのリスクは大きいです。
公共事業・サービス(土木)
 現在の外資参入資格23億円枠が撤廃されます。落札した外資が手配した海外の労働者が、国内の土木事業労働者として大挙流入し、国内の日雇い労働者はホームレス化します。地方の小規模土木会社は壊滅するでしょう。
金融(郵政完全民営化)
 長年にわたり日本人がコツコツと貯めてきた郵貯・簡保の国民資産が、デリバティブ商品に運用させられ、収奪されていきます。また、郵貯・簡保が国債の買い手から撤退すれば、日本破綻の引き金になりかねません。
教育(学校法人への外資参入)
 外資による学校法人の買収や設立が進みます。頭の柔らかい幼少期から英語化が推進され、国家国民教育が破壊されていきます。
食品(遺伝子組み換え作物、食品)
 現在の遺伝子組み換え作物(GMO)に対する国内の規制が撤回されます。巨大アグリ企業モンサントやシンジェンタが特許権を持つGMO種子を無制限に入手できるようになると、結果として巨大資本の影響下で、日本固有の農産品種が根絶やしになる可能性があります。
 さらに、TPPのルールにより、日本政府はGMO食品だと表示するよう求めることもできず、消費者が食品を選択する際に遺伝子組み換えされたものなのかどうか推測すらできなくなります。
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畜産(BSE)
 日本では現在、米国産牛肉で月齢20ケ月未満の肉は輸入禁止ですが、これが解除されます。将来日本人の中でBSE患者が激増する可能性があります。
このように、さまざまな分野に及ぶ影響を見ると、戦後、とりわけ1993年以降は「年次改革要望書」という形で大っぴらに行われてきたアメリカによる『日本属国化計画』が、TPP参加によって、いよいよ総仕上げの段階に突入しようとしていることがわかります。
TPP参加を切望しているのは、日本ではなくアメリカの方
アメリカは、2008年のリーマンショック(金融危機)の傷が癒えない中で、更なる金融危機のリスクを内包し続けて今日まで来ており、この間中国をはじめとする世界各国は、ドル(=アメリカ)離れを加速させてきました。
このような劣勢状況に焦ったアメリカは、日本を完全な属国にして生き延びようとしているとみて間違いないでしょう。TPPを使って日本を自陣に巻き込むのは、崩壊寸前のアメリカにとって最後の拠り所なのです。
実際、2010年に菅首相の唐突な発議に始まり、それ以来2年近くにわたって続いてきた日本におけるTPP参加を巡る議論は、一時期「急ぐ必要ない」という退潮の流れにありましたが、3.11の東日本大地震によって大きく変調しました。東北地方ひいては日本の食糧自給や製造業が甚大かつ直接的な被害をこうむったことで、TPP推進論議が再び登場することになったのです。
しかし、いまだに決着を見ない原発問題は別として、日常生活レベルの震災復興は基本的に実現した現在において、「TPPを切望しているのは、日本ではなくアメリカの方」という状況は変わっていません。瀕死のアメリカにとっては、金融サービスや法律サービスに関する貿易障壁が、日本との間でなくなることの意味は依然大きく、むしろ震災復興、農業復興などを理由にした日本の食糧確保や輸出促進などは、単なる口実に過ぎないのです。
TPP参加ではなく、「脱市場」「信頼できる地域共同体の再構築」へ
以上のような状況認識に立ったとき、既存政党の言説の中で唯一わずかな可能性を感じるのは、日本未来の党の嘉田代表の以下のようなコミュニティについても考え方です。
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以下、「暮らしの中から自立型社会を考える~水・食を志に紡いで~」からの引用です。

◎遠い水から近い水へ
・昭和30年代までは人の暮らしから出るし尿を農作物の肥料にするという循環があった。沖島の桟橋は食器の洗い場としても利用され、また湖岸の水を飲むことも出来た。そこにはオムツ洗いを禁止するといった湖をよごさない不文律、利用の約束ごとがあった。
・昭和30年代の「近い水」のしくみでは直接水を飲むという「信頼」があったが、今、水を管理している行政への信頼がない。蛇口の水を飲まなくなり、遠くの水を運び飲むようになった。行政が水を管理するようになり、結果として、水が人の暮らしから遠くなってしまった。
◎遠い食から近い食へ、近いエネルギーへ
・食べ物を遠いところから運ぶと、エネルギーがかかる。フードマイレージを少なくすることが大切。
・滋賀県では「おいしが うれしが」キャンペーンとして、地産地消を推進している。
・今後は地域分散型エネルギーの推進が大切。これにより地域活性化につなげることが狙い。
◎ライフスタイルの転換へ
・「近い水」「近い食」「近いエネルギー」そして「近い人」へとライフスタイルの転換が大切。
・水を飲む時には、水の来た源のことを考える「飲水思源」を考えていただきたい。

経済としての地産地消を謳う政党はたくさんありますが、嘉田氏の考え方の根本にあるのはあくまでも「地域の人のつながり」です。行政つまりは官僚組織が肥大した結果、むしろコミュニティの課題が行政任せとなり、コミュニティ崩壊を招いたことを指摘している政治家を私は他に知りません。
まさに近代官僚組織とそれを支える近代思想がコミュニティを破壊し、国家と市場の肥大化を招いたのが事実であり、その結果が、一方ではTPPというむき出しの市場原理主義政策であり、一方では補助金付けで弱体化した産業群なのです(これに原発による放射能汚染が加わることはいうまでもありません)。
嘉田氏のいうように、市場と国家から「信頼できる地域共同体」に食や水やエネルギーを取り戻す。そのような思想性と政策提案こそがこれから求められているのだと思います。
※参考
安心基盤を作っていくには?医療制度はどうなる!?-2~TPP参加で「医療」はこうなる!
TPP参加で懸念される食の安全
『なぜ今、TTPなのか?』【14】最終回:日本はどうする?
国破れてTPP在り
農(漁)村共同体の建設

List    投稿者 seiichi | 2012-12-15 | Posted in V.2012衆議院選挙直前企画No Comments » 

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