2012-12-11

『2012衆議院選挙直前企画』(4)~TPPの嘘を知り、農村共同体の再生可能性を探る~

2012衆議院選挙において脱原発と並んで重要な論点が消費税問題及びTPP推進問題です。これらはいずれも「アメリカ・官僚」のいわれるままの政策をよしとするのか、国民の生活を第一として脱属国・脱官僚へと舵を切るのか、が改めて問われているという問題であり、これまでどおり「マスコミがつくりだす空気に大衆が左右され続けるのか」「支配階級の嘘を見抜いて、大衆自身が頭を使って考え始めるのか」のリトマス試験紙のようなテーマです。
そこで、改めて「TPPの嘘」を明らかにしつつ、さらにはこうした支配階級の推し進める政策に対する対案を提示したいと思います。
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乗り遅れるとヤバイとやたらTPP交渉参加を急いだ民主党。これにはさすがに大衆も違和感を感じている。

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■TPP推進の嘘を知る
まずTPPに関する推進派の詭弁とその反論について。よくまとまっているこちらのブログからの転載(一部当ブログにて編集・加筆)です。http://ameblo.jp/aam4/entry-11349522212.html 
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Q 「GDPでたった1.5パーセントの第1次産業を守るために残りの98.5%の産業が損をしている」と前原議員が言っている。1次産業の保護のために残りの産業が犠牲になるのならTPPに参加したほうがいいのでは?
A 前原発言はTPP問題の本質を隠すための詭弁。あたかも農業VSその他の輸出産業という構図に仕立て上げていますが、TPPの一番怖いところは関税撤廃よりも非関税障壁と言われる様々な規制や制度の撤廃、緩和にあります。つまりは農業だけではなく、金融や保険、医療、公共調達、食の安全性、教育、投資、労働など様々な分野を外国に開放してしまうことになる。
Q 「閉鎖的な日本を開こう」「日本は内向きだからTPPに参加せよ」と言っているが反TPPでは日本が世界に取り残されるのでは?
A 日本が閉鎖的というのは間違い。すでに関税は全品目で見ればアメリカやEUよりも低いし、各国とFTAやEPAの締結交渉も進められている十分開放的な国。
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Q TPPに参加すれば外国から安い商品やサービスが入ってくるので国民にとってはメリットになるのではないですか?
A 確かに短期的には安さで得をする人は出てくるでしょう。しかし今は深刻なデフレ下にあります。デフレ下で外国産の安い商品やサービスの供給を増やせば更にデフレは進行します。そうなれば価格競争が激化し倒産も増え、失業者が増加しますし国民所得低下にも繋がります。つまりデメリットの方が多いです。
Q TPPでアジアの需要を取り込めという言葉をよく聞きます。アジアの市場はそんなに大きいのですか?
A それも詭弁です。そもそもTPP交渉を行おうとしている国の合計GDPの9割を日本とアメリカで占めてしまっているのです。つまり他のアジアの国は経済規模も小さく需要も少ないのです。そんな状況ではアジアの需要を取り込めだなんて言っても日本が輸出を伸ばすことは出来ません。
Q 玄葉大臣が「輸出立国の日本はTPPで自由貿易の恩恵を受けないと将来に豊かさを残せない」と言っていましたが、やはりTPPに入らないと経済が悪化するのではないですか?
A まったくナンセンス。これもTPPの本質を眩ませる詭弁ですよ。まず、日本のGDPの中で輸出産業が占める割合は1割程度なんです。つまり日本は輸出依存国ではなく国内の内需主導の経済なんですね。だからTPPで輸出を伸ばす云々よりもデフレを脱却し内需拡大を図ることの方がよっぽど重要なんです。
Q 国内の農業がダメになっても外国から買えばいいとTPP推進派は言います。特に安い食料を買えるのなら主婦にもありがたいですよね?
A 外国に依存すると言うことはもし外国からの供給が経たれれば国民は飢えるという事です。近年は干ばつや異常気象でオーストラリアやアメリカで小麦が非常に不作になる事態が相次いでいます。不作となれば日本に売ってくれないかもしれません。例えばロシアは2008年の大不作の時に、法律で小麦の輸出を禁止したことがあります。TPP参加国のアメリカやオーストラリアが同様の措置をとれば日本への穀物供給はストップしますね。だから食料は可能な限り国内で賄うのが基本です。
Q TPPで日本を活性化しようというスローガンがよく耳に入りますね。確かに規制緩和、改革で日本が良くなりそうな感じがします。
A そういうスローガンこそ詭弁ですね。規制緩和や構造改革は90年代後半から進められて来ましたが、その結果が雇用の悪化と格差の拡大、地方の衰退です。確かに規制緩和や改革と聞くと聞こえはいいですが、実際は市場原理主義の強化なんです。つまり競争が激化してしまい結果として勝者と敗者の2パターンに分かれてしまうのです。シャッター通り商店街や非正規労働者の増加は市場原理主義の分かりやすい例です。TPPはそんな規制緩和や撤廃が様々な分野で一気に進みますから、さらに国民を不幸に陥れるでしょう。安易に聞こえのいいスローガンに騙されず、中身を吟味しましょう。
Q TPPに参加しないとアメリカを怒らせてしまい、日米同盟に亀裂が走るのではないですか?
A 実はTPP推進派の本音はアメリカの恫喝が怖いというものです。「日本が国家主権を主張するのは50年早い」と民主党の吉良議員は発言したといいます。しかし、決してアメリカは国を挙げてTPP推進なのかというとそんなことはないのです。主張しているのは日中対立を煽りたい軍産利権派で、米国内でもTPPに反対という意見も多いのです。なぜならアメリカも内需比率が高く、TPPがマイナスに働く産業群もたくさんあるからなのです。そうしたアメリカの多様性を無視して、一部の軍産利権派の声だけで動いているのは政治家失格というべきでしょう。
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写真はTPP参加交渉表明と前後して来日したキッシンジャー。しかしこうした勢力が、アメリカの全てであるわけではない。
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当ブログの読者の皆様には当然のことかもしれませんが、選挙ではまだまだ偽装改革派の嘘を見抜けないマスコミの影響を強く受けた人たちの一票も大きな影響を持ちます。可能な限り、マスコミの詭弁をつきくずす必要があります。
しかし、それだけでは不十分です。なぜなら時代の意識潮流は「反対するだけの左翼は嫌われる」という段階に既に達しており、TPPに反対というだけではなく、もっと建設的な代案を出すことが求められているからです。
そこで以下、TPPに対する代案を提示していこうと思います。
■TPP推進によって破壊される食料安保の原則と農村共同体⇒突破口はどこに?
TPP推進派の意見でもっともなのは補助金漬けの農政では日本の農業自体がダメになってしまう、という主張です。これは確かにもっともです。しかし、ではどうするとなると、大規模化を図れ、そのために市場原理をもっと農業に持ち込めという議論になることが多いですが、ここには大きな欺瞞があります。参考になるのが山田正彦元農水大臣の現状認識です。
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亀井議員と「脱原発・反増税・反TPP」を掲げて立ち上がり未来の党副代表に就任した山田元農水大臣。
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/06/post_779.html
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─(日本では)「強い農業」≒大規模、効率化農業を目指す意見が多いです。
いまだに規模拡大による構造改革、集中化など新自由主義的な発想で農林漁業をとらえようとする声がたくさんあります。私は大規模拡大さえすれば合理化され、利益をうみ、競争力が増すとはとうてい思えません。それは私自身が農畜産業で実践、失敗した実体験をもとにした意見です。
 米国も規模拡大したから競争力がついたわけではありません。トウモロコシは代表例で、米国がトウモロコシによって世界を席巻したのは、1973年から1エーカー(約0.4ヘクタール)あたり28ドルの補助金を生産者に助成して大量生産されたことに始まります。モンサント、カーギルなど大手の穀物メジャーの支配下で、種子、肥料、農薬すべてが系列化され、農家は大型トラクターなど設備投資に追われて膨大な負債を抱えています。補助金によって国際市場でもどこの国の生産物よりも安い価格が実現したのであって、自由競争で勝利したとは言えません。
 また、大増産されてあまったトウモロコシはその後どうなったか。近年放映されたドキュメンタリー映画「キング・コーン」をみるとよくわかります。トウモロコシは家畜のエサや甘味料「コーンシロップ」として大量に流通、加工食品や炭酸飲料となって一般家庭で消費されるようになります。そのトウモロコシのほとんどが遺伝子操作され安全性にも疑問があります。これらを本当に「強い農業」と言えるでしょうか。
 この本ではBSEや口蹄疫の問題にも触れておりますが、もし日本が自然に逆らって大資本のもとに効率だけを重視した「強い農業」の方向を進むことがあれば、いずれ食の安全・安心も損なわれることになると思います。
─食の安全・安心という点で、所得補償とセットに進めるのがトレーサビリティの推進でしょうか
 トレーサビリティを進め、すべての食品に原料、原産国、生産者の表示をすれば消費者が安心して食べられます。安心だけでなく、国産農作物の消費上昇が予想されます。
 私は5,6年前からすべての食品に原料原産国表示を求めて国会に2回も法案を出し、その都度その法案は葬られていました。「お茶飲料については原料原産地を表示すべきだ」と取り上げていたので、農水省は飲料用のお茶の缶にも5年前から表示するようになりました。それまで輸入のお茶を原料としていたのが、国産の茶葉にかわり、南九州はお茶の一大産地になりました。
 リンゴジュースにしても約9割は輸入果汁ですが、そのことをみんなが知らされていません。韓国に行けば原料、原産国が表示されています。日本がトレーサビリティを徹底すれば、海外産の果汁ではなく、青森県産のリンゴを使ったジュースを飲んでくれるようになるのではないでしょうか。きちんと食品表示され、消費者が見分けるようになれば、国産農産物の消費量は変わってくるでしょう。
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山田議員も提起しているように食の安全安心に関する人々の意識の高まりに答えていくような制度の整備が農家を鍛え、また消費者を鍛えていき、食料自給率を高めていく近道のように思われます。
ただそれでも欧米の事例をみると補助金なしの農業は市場経済の中では無理に思われます。民主党の個別補償政策はヨーロッパを参考にした農業保護政策で、現在の様々な利権がくっついた補助制度をやめて直接補償をしようというものです。確かに官僚利権や農協利権の解体にはつながりそうですが、本当の改革といえるものではありません。
■戦後農政の最大の問題点は農地解放による農村共同体の破壊
既に欧米に学ぶ時代は終わったのだという認識が既存の政治家にはまだ不足しているのでしょう。大切なのは日本の歴史に学ぶ、ということだと思われます。その点では以下のブログの政策提言こそ本物の農政改革と呼ぶに値する提案だと思います。http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2012/08/001378.html
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日本農業の経営高度化を妨げている最大の原因は、戦後の近代民主主義思想の導入により行われた農地解放なのです。農地解放の結果、農村共同体はバラバラの個人に分割されてしまいました。その 結果、農業は経営ではなく大切な家業となり、利益を度外視してでも家(個人)で継続する事が目的になってしまいます。兼業農家は、農業の赤字を他の収入で 補って農業を続けている状態なのです。さらに、農地が小さくなり農作業が非効率になった事に加え、仕入れや販売の価格交渉もままならず、個人では経営の高 度化を進める余力も生み出せず、農協の言いなりになり食い物にされてきたのです。農地解放によりバラバラの個人に解体された状態を正しいとしたままでは、高度な経営ノウハウを獲得し、発展して行くことは困難です。
市場社会において農業で勝っていくには、農家による生産者の組織化、ネットワーク化がひとつのカギになります。現在の農協の多くは、零細農家が営業や販売を農協に頼るという私権的なつながりですが、新たな生産者ネットワークは、信頼関係でつながります。今後、農業で勝っていくための販路開拓や質の向上、6次産業的な展開などは、信頼できる「仲間」と協働して取り組まなければ成し得ません。また、協働の範囲も、生産者だけでなく、CSAの取り組みのように、地域住民も巻き込んだ組織化が必要になります。
※CSA:地域の消費者が、地域の農家から、自家消費用の農産物を、代金前払いで、直接、定期購入するシステム。受け取ることのできる分量は、天候等の影 響で若干のズレが生じるが、消費者は、毎週、生産者から旬の新鮮な生産物を受け取ることができる。生産現場を見たり、体験することが可能な場合も多い。
これらにより、生産性の向上、流通経路の発掘などの経営的なメリットを生み出すことで、各生産者の余力を生み出し、地域貢献、社会貢献のために使える時間 を増やすことができます。同時に、生産者同士で社会的期待により深く応えていくためにどうしたらいいかなど、相互作用によって追求を深めていくことも可能 です。近年、社会的な期待が高まっている食の安全も、信頼関係の中で、どのような人が、どのような思いで生産しているのかがわかってこそ、本当の意味で確保できます。
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しかし、自民党は大規模化政策、民主党は小規模家族農業を前提とした個別補償制度と、上記のようなコミュニティ再生と農業再生をセットにした発想は、その他の政党マニフェストをみてもいずれにもみあたりません。次回は農村共同体の再生につながる芽は政界にないのか、そしてTPPの本質ともいわれる知的財産問題等についても見ていきたいと思います。

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