2010-06-05

マグネシウムエネルギーは次代のエネルギーになり得るか?第3回~マグネシウムのエネルギー量

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『マグネシウムは時代のエネルギーになり得るか?第2回』に続き第3回です。


マグネシウムから発生するエネルギー量は、一体どの程度なのでしょうか?

豆腐に使用されている“にがり”がマグネシウムというのは聞いたことがありますが、そもそもマグネシウムとエネルギーとは普通に考えるとつながりません。
そのマグネシウムを石油等の化石燃料の代替エネルギーとして活用しようというのが、東京工業大学矢部孝教授なのです。矢部教授の著書である「マグネシウム文明論」を参照しながらマグネシウムの可能性を探っていきます。

まずマグネシウムの特徴から

■マグネシウム(Mg)
酸化数は常に2価を取る。比重は1.74.融点は650℃で、沸点は1100℃。
主に海水中に溶けている塩化マグネシウムを取り出し、溶融塩電解することで得られる。
ギリシャのマグネシア地方から酸化マグネシウムが産出されたことから名前がついた。(ウィキペディア参照)

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では、早速マグネシウムのエネルギー量を見てみましょう。
実は、マグネシウムを水と反応させると熱が発生します。これをエネルギーとして利用しようとしているのです。これを化学反応式で表すと

■マグネシウムの発生熱量
    
        Mg  + H2 + 1/2O2 - 242KJ
        ↑       ↓
   Mg + H2O     MgO + H2 + 602KJ
となり、まとめると

Mg + H2O  → MgO + H2     + 360KJ  となります。

つまりマグネシウムと熱湯を反応させて、360KJ(=602KJ-242KJ:熱湯にした分の熱量を差し引いて)の発熱量が取り出せたということです。

*ちなみに水素と酸素の反応では
   H2 + 1/2O2  → H2O(気体)    +  242KJ
皆さんお馴染みの使い捨てカイロでは
  4Fe + 3O2  → 2Fe2O3      + 1650KJ
プロパンガスの燃焼は
  C3H8 + 5O2  → 3CO2 + 4H2O + 2220KJ

まあ、マグネシウムは発熱量としてはずば抜けて多いものではありません。というか、カイロってやはり結構熱いのですね。

ではマグネシウムの利点は何なのでしょうか?
■マグネシウムの利点

1.循環できること
  Mg ⇔ MgO +360KJ
酸化マグネシウムを還元してマグネシウムを取り出しさえできれば、いつまでも発熱エネルギーを取り出し続けることができるのです。但し矢部教授曰く、還元するためには「「太陽光励起レーザーが必要」とのことです。

2.資源量が豊富であること

①海水に豊富に含まれており、海に囲まれた日本にとっては外国からの輸入に頼らない自前のエネルギー資源として可能性がある。
②海水からMgを取り出すとしたら、そこで利用した海水は淡水として利用できる。これからさらに深刻化する水問題にも一役買うことができるのです。

3.クリーンであること
有害ガス(CO2を含む)を発生させない。逆にH2(水素)を取り出せるので、新エネルギー活用にも寄与できる。

4.運搬や貯蔵にすぐれていること
新エネルギーの代表である水素は運搬にもかさがかかるし、爆発の危険性もある。100万キロワットのエネルギーを蓄えるのに高さ10mの容器を用意すると、水素の場合は底辺が1000m×1000mになるが、マグネシウムは16m×16mで済む。またマグネシウムは固体状態では650℃以下では発火しないのでちょっとした火気で爆発する水素より安心です。

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ところでマグネシウムは海水中にどのくらいあるのでしょうか?
■マグネシウムの量
海水1000gのうちマグネシウムは1.29g含まれているそうです。
地球上に海水は、1400×10^15乗㌧(140京㌧)あるので、海水にあるマグネシウムは1800兆㌧になります。(「マグネシウム文明論」参照)

■化石燃料の代替エネルギーとしての必要量
世界の年間化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)使用を石油換算すると、年間約100億㌧です。(「マグネシウム文明論」参照)
石油の重量あたりの発熱量は48MJ/kgで、マグネシウムは25MJ/kgなので、現状の化石燃料分をマグネシウムで代替した場合の必要なマグネシウムの量は、48MJ/kg×100億㌧÷25MJ/kg=192億㌧になります。
つまり海水にあるマグネシウムは化石燃料の1800兆㌧÷192億㌧=9300年分にあたることになります。すごい量ですね。・・・・・・でも海水全部を使うわけにはいきません。


次に、日本の年間使用量で見てみましょう。『次代を担う、エネルギー・資源』状況編1~世界と日本のエネルギー消費の現状~によれば、日本の年間エネルギー消費量のうち化石燃料分では20KJ×10^15乗です。それをマグネシウムで代替すると、20KJ×10^15乗÷25000KJ/kg=8×10^11乗=8億㌧必要になります。
では8億㌧を取り出すための海水量は?というと凡そ(1000/1.29)×8億㌧=6200億㌧となります。この6200億㌧は、日本の年間水道利用量が831億㌧なので、日本の年間水道利用量の約7.5年分になります。

おぼろげながら、マグネシウムのエネルギーとしての可能性を感じていただけましたか??
では次にそのマグネシウムがエネルギーとして浸透した場合の社会状況を見てみましょう。乞うご期待ください。

List    投稿者 goqu | 2010-06-05 | Posted in E06.マグネシウムエネルギー1 Comment » 

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コメント1件

 しょう | 2011.04.22 16:41

新シリーズも読み応え抜群で、「え、ホントに?!」という事が盛り沢山です!^^
>この原理が解明できれば、いろんな放射性障害に対する技術やそのための発想が生まれてきますし、放射性障害に関わらず、ガンなどの病気に対しても突破口が生まれてくると思われます。

この点は将来に向けて、おおいに期待できる一面がある反面、原発推進派が「これがあるから、もう原発事故は怖くなりました!だから増やしましょう!」とか言い出さないか心配でもあります。
今後、解明に至った時にも、あくまでも存在してしまっている事の後始末と、医療のためだけのテクノロジーである事を私たちは絶対に忘れてはいけないと思います。

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