2008-10-21

アレルギーは市場拡大にともなう植物の適応の結果か

アレルギーシリーズの記事が幾つか続いていましたが、今日はアレルギーの原因を別の角度から見てみたいと思います。
キーワードは『生体防御タンパク質』
??
となった方もいるかもしれませんが、何者かは読んで字のごとく。生体を防御するタンパク質です。
【外圧=内圧】は生物貫通の普遍法則ですが、植物も同様に様々な外圧を受けることで身体の仕組みを変化させていきます。病原菌の感染や傷害、植物ホルモンを含めた化学物質や重金属の適用、オゾンなどの大気汚染物質、紫外線や厳しい生育環境など、様々なストレスを受けた植物は、その外圧に適応すべく、一連の生体防御反応を示します。その過程で生成されるタンパク質群が生体防御タンパク質です。
この生体防御タンパク質とアレルギーにどのような因果関係があるのか?
生体防御タンパク質とアレルギーが密接に繋がっている例にラテックスアレルギーというのがあります。
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ラテックスアレルギー医学辞典1より
 

ラテックスアレルギーとは、天然ゴム製品が原因となって誘発される即時型アレルギー反応のことです。エイズや肝炎などに対する防御対策として、医療従事者が天然ゴム製手袋を頻繁に着用するようになった80年代後半から、このアレルギーが増加し始めました。
 症状としては接触局所に誘発される蕁麻疹が一般的ですが、全身性の蕁麻疹やアナフィラキシーショックに発展する場合もあります。
 また、天然ゴム製品だけでなく果物や野菜に対しても即時型アレルギー反応を示す症例があり、「ラテックス-果物症候群」と呼ばれています。
 一部のラテックスアレルギー患者は、バナナやアボガド、栗、キウイなどの果物を食べたときにも、強い即時型アレルギー反応を示すことがあります。また、口腔咽頭周辺に限られた症状である口腔アレルギー症候群(OAS)があらわれる人もいます。
 ラテックスアレルギー患者が幅広い植物に交差耐性を示す理由は、ラテックスアレルゲンと類似した蛋白質が多くの植物に含まれているからです。

ラテックスアレルギーとは天然ゴムに触れたときに起こるアレルギーということ。それからラテックスアレルギー患者は、特定の果物に対してもアレルギー反応を起こす可能性があるということです。
それは、何故かというと・・・
 

血液中には、アレルゲン蛋白に特異的なIgE抗体が存在します。しかし抗体は、抗原全体を認識するのではありません。抗体はエピトープ(抗原決定基)と呼ばれる部分構造を認識します。従って、異なる蛋白が同じエピトープを持っている場合、抗体は各蛋白質を区別することが出来ません。これが交差耐性の原理です。
 幅広い交叉反応の原因となるような蛋白質抗原は、パンアレルゲンと呼ばれています。それらの多くは、酵素活性やリガンド結合能を持っています。生命活動の維持に重要な蛋白質の構造、特に機能発現に必要なドメインは、進化の過程で保存されています。また、酵素活性やリガンド結合能に寄与する部分構造は、分子の表面に露出している可能性が高いと思われます。そのような部分構造がIgE抗体に対するエピトープを与えた場合に、幅広い交叉反応が引き起こされると考えられます。

つまり、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体は、アレルゲン全体を認識しているのではなく、部分構造を認識しているので、違う種でも部分構造が同じなら同様にアレルゲンとなるということです。このパンアレルゲンについては後日記事にしたいと思います。
また、ゴムが何故アレルゲンになるかというと・・・
 

植物は各種のストレス要因に抵抗するため、生体防御に関与する一連の蛋白質を誘導したり蓄積したりします。特に植物が病原菌に感染した際に誘導される生体防御蛋白質は、PR蛋白質(Pathogenesisi Related Proteins)と呼ばれています。
 このような蛋白質は、多くの植物で共通に誘発され、また、進化の過程で保存されてきた部分構造を持ちます。つまり、植物の生体防御蛋白質は、パンアレルゲンとなり得ます。
 天然ゴムの原料となる樹液は、ゴムの木の幹に切り傷を付けることにより採取されます。これはゴムの木にとってストレス以外の何者でもありません。またゴムの木が樹液を多く作り出すように、ある種の植物ホルモンが木に繰り返し注入されています。この物質は、生体防御反応をも誘導します。さらに、ゴムの木の品種改良の過程で、生体防御蛋白を多量に誘導するような性癖が、図らずも選択されてしまったのです。
 このような状況から、農園で栽培されているゴムの木から得られた樹液には、生体防御蛋白質が多量に含まれると思われます。そしてそのような蛋白質が最終製品から溶出したとすると、それらは進化の過程で保存されてきた部分構造を持つことから、幅広い交叉反応の原因になると予測されます。

市場の拡大に伴って化学物質や人工物質、大気汚染等の環境変化は、植物にとっても急激な外圧変化として存在しています。その外圧に適応すべく生体防御タンパク質を生成していきいます。また、果実や野菜、花粉に含まれている交差反応性アレルゲンが、実は生体防御タンパク質の一種であることが明らかになってきています。
花粉症やアレルギーの増大は、市場拡大に伴う植物の適応の結果なのかもしれません。

List    投稿者 nannoki | 2008-10-21 | Posted in Z01.アレルギーが増えるのはなんで?5 Comments » 

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コメント5件

 yukie | 2009.05.12 16:33

>子供を生むということの意味や、女とはどのような存在であるのか?という意味をしっかり学ぶこと、そして、それらを受けとめられる集団を作っていくことなんだと思いました
その通りですね♪
私もこの本を読ませてもらって、「こんなに産む女のことを考えてくれる人がいるんだ~」ととても感動しました☆
感動したので今度著者の講演会に行ってきます♪ 何か気づきがあったら、またご報告します!

 ふぇりちゃん | 2009.05.12 19:22

>とにかく、悪いことを言っておけば、間違いない。そうすれば、何かあっても、「あのとき私はこう注意しましたよね」といちおうの責任逃れができるからです。
これ、産科に限ったことではないなぁと思いました。
医療現場で働く者として、インフォームド・コンセントでは必ずといっていいこと。
病状説明や手術などの承諾を得る場合には、「そのことをちゃんと説明しましたよ」の証明として、必ず合併症』のことを明記します。
『○○の合併症が×△%ある』といった。
また、私たち看護師も患者さんへ説明するときには願うべく方向性だけではなく、合併症が生じる可能性(これって、危険性??)についても話をします。
私たち医療者が今まで当たり前としてやってきた行為や意識。
変革していく必要があると感じました。

 ホイホイ | 2009.05.12 22:08

>安産の大敵であるゴロゴロ、パクパク、ビクビクの状態を医者が率先してつくり、リスクの高いお産を生み出しているのです。
確かに、こんな風に不安を煽らるだけ煽られてしまうと、その僅か数%のリスクですら、しょっちゅう起こることのように思えてビクビクしちゃいますのね
>私の診察は、医療的な診療のほかに、もっとも大事な母としての心構え、妊娠の哲学的な意味、女がいかなる存在なのか、妊娠・出産の奇跡とその神秘を伝えます。
こうやって充足可能性発で伝えられると、何よりも安心できて、リスクなんか気にならなくなりそう!!
昔の女達の集団も、こうやって、充足可能性を代々伝えていったんだろうなって思います。

 イちご | 2009.05.12 22:16

>安産の大敵であるゴロゴロ、パクパク、ビクビクの状態を医者が率先してつくり、リスクの高いお産を生み出しているのです。
幸せなお産が消えつつあるだけでなくって、不幸なお産が増えつつあるというのには戦慄しますね。。。
このお産シリーズに出会ってから、お産を迎えるのが楽しみになりました!むしろ生みたい!!と☆

 惨婦 | 2009.05.13 17:24

なぜ、ゴロゴロ・パクパク・ビクビクのお産を医療者が作り出しているか分かりますか?。それは産婦の多くが「リスクは医者の責任」という意識をもち、何かあったらすぐに訴訟騒ぎを起こすからです。
幸い無罪になりましたが、福島の大野病院事件では、回避しようの無い生物学的なリスクさえ医師の罪であるとして、逮捕までされてしまいました。
自然なお産を追求するのは個人の自由ですが、自然なお産には少なからず死が付きものであり(50年前の産婦・新生児の死亡率は現在の数十倍でした)、そうした方法を決定した責任を自分で取れる覚悟が無いなら、ここで語られている「幸せな出産」とは、ホテル浪の病院で産むセレブ出産の裏返しであって、ただお気楽に「自然」という言葉に憧れてるだけにしか見えませんね。

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