ナノレベルまで木を資源として活用し、自然循環の中での資源活用へ
前回の記事では世界のエネルギー価格動向と価格決定構造について紹介しました。
(前投稿:『世界のエネルギー価格変動は何故おきるのか?世界の価格決定権構造と今後の動向。』)
エネルギーを始めとして、資源供給が世界の動向に左右されるリスクから脱するため。また、脱炭素社会に向けた取り組みが進む中では、様々な非石油由来原料への転換が必要になります。
近年建築業界でも、コンクリートや揮発性有機化合物のような人工素材が健康に与える悪影響の課題意識、木の特性から、自然循環の理にかなった木素材が再度着目され、木造化や木質化の潮流があります。 (参考:『コンクリート建築信仰の崩壊…自然の摂理にかなった伝統的木造建築への回帰』)今回は木資源に着目してその可能性を探ります。
木を資源とした身近な加工品には、
・建物木建材や家具
・食器や仏壇、楽器、工芸品などの日用品
・エネルギー資源としての木質バイオマス
などがありますが、身近な製品はまだまだ石油由来原料の加工品に頼っているのが現状です。
●非石油由来原料、木質バイオマスなどの非可食性バイオマスを原料とした化学品の可能性
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世界のエネルギー価格変動は何故おきるのか?世界の価格決定権構造と今後の動向。
前回の記事では、化石燃料の根源について紹介しました。
(前投稿:「石油は限りある資源から、生成できる時代へ変化してきている』)
前回の投稿にもあるように、資源を生成できる時代に突入しつつある現代ですが、資源なくして世界は成立しないのも事実です。
今回は、世界が何故、化石燃料といった資源に頼っているのか、そしてエネルギー価格が何をもって変動しているのかをエネルギーの歴史と昨今の世界情勢から紹介していきたいと思います。。
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石油は限りある資源から、生成できる時代へ変化してきている
これまでエネルギーの中心は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)が主流でした。
本ブログでも過去に化石燃料に関する記事は以下の通り、紹介してきました。
・化石燃料について
・化石エネルギーは人類にとって何だったのか?
・石油・天然ガスの『有機起源説か無機起源説か?』は、市場原理の問題か!?
・石油の不思議 ~無機成因説からのアプローチ~
石油の起源について、これまでは『有機起源説』か『無機起源説』かの2項対立に関する記事、ネット情報が多数を占めているように思います。
今回は、近年の様々な研究から『石油の起源の捉え方の変化』と『石油が限りある資源から作り出せる時代』へ変化してきている内容を紹介していきます。
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近い将来の有力なエネルギー「地熱」
現在、エネルギー(特に電気エネルギー)コスト高騰が世界的な課題になっています。そこで、近い将来エネルギーの一端を担うだろうと考えられる地球内部エネルギー(※地熱エネルギー)について投稿します。
※日本では化石燃料に代わるエネルギーとして再生可能エネルギー(バイオマス、太陽熱利用・雪氷熱利用・地熱発電・風力発電・太陽光発電など)を目指しています。
【日本の地熱発電所】
日本の地熱発電所は、火山や地熱地域の分布から東北と九州に集中しています。
日本の地熱資源量は世界第3位(2,347万kW)
地熱発電の可採年数は適正に利用すれば永続的に利用できます
【地熱エネルギー】
日本列島は環太平洋造山帯に位置していることから、地球内部のエネルギー(マグマ噴出、地熱、地下鉱物)を多量に手に入れることが可能です。地球から発散されるエネルギーは、熱は熱として、地下鉱物は地下鉱物として利用するのが自然の摂理上有利と考えます。
「地熱エネルギーの模式図」
【日本の地熱の有効利用】
地熱の利用は地熱発電が主流となっていますが、日本の火山地帯は、地産地消(発電装置の小型化)での有効利用が良い
地熱を利用したカスケード利用(高温は電気・水素創出へ低温となった熱は温泉水や暖房に)を気候に左右されず年間安定した電気・熱を得ることが出来、枯れることがない。特に多雪地方は消雪してその水を雑排水に利用する事も出来ます。地熱水温が低い又は熱量が小さい場合でも十分利用できる。
地熱水のカスケード利用:
150℃~以上 発電
150℃から80℃ バイナリー発電(沸点が低い媒体と熱交換し、この媒体の蒸気でタービンを回す発電方法等)
80℃から40℃ 暖房・融雪
40℃前後 温泉・温水プール
40℃~20℃ 農業・畜産・魚介類養殖
参考記事(熱の有効利用)
【地域での熱水の有効利用】(資源エネルギー庁)
・(上記の事例)八丈島地熱利用農産物直売所 えこ・あぐりまーと
【地熱利用と地域のさまざまな取り組み】(エネルギー金属鉱物機構)
・(上記の事例)観光資源として活用・冬季農業ハウス利用・給湯暖房利用・木材乾燥・食品加工・水産物育成・地熱上記直接利用(染色)
【日本はポテンシャルが高い!?地熱発電を地域観光や企業の自家発電に活用】(新電力ネット)
・(上記の事例)奥飛騨温泉郷に地熱発電所!?熱水は温泉に無償提供
以上
不安定な国際情勢にも災害にも強い「合成燃料」、脱炭素の石油を増やす・つくる。
前々回の本ブルグの記事「世界のエネルギーの動き~日本が中東諸国に依存するのは何故か?~」では、日本の石油の92.5%を中東諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦UAE他)から輸入していることが分かりました。また、前回の記事「これからのエネルギー覇権は?世界、そして日本のエネルギー動向のいま。」で、エネルギー自給率の低い日本が今後目指す方向は、「自給型エネルギー国への転換」であることがハッキリしました。
ここ最近、電気やガス料金等が高騰する中で、省エネルギー庁も「みんなで考えよう、エネルギーのこれから」等のCMを流し、今後の日本のエネルギー問題への提起を行っています。
また、海外を見るとロシアのウクライナ侵攻による欧州を中心とするエネルギー問題から始まり、現在、イスラエル(+サウジアラビヤ)VSイランの戦争の火種が大きくなりつつあります。もしこの戦争が勃発すれば、石油の大半を中東の輸入に頼っている日本は、エネルギー費高騰どころではなく、産業も家庭も物流も大打撃を受けます。
一方で、世界的な脱炭素の圧力の中で日本の新エネルギー技術への追求も進んでいます。今回は、その中で石油を中心に新たらしい技術「合成燃料」の研究開発状況を紹介します。
(トップの画像は、こちらからお借りしました。)
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これからのエネルギー覇権は?世界、そして日本のエネルギー動向のいま。
前回記事(リンク)では、産油国、世界のエネルギー産出力を整理しました。そこから見えてきたのは、世界のエネルギー産出バランスの偏り、つまり実物を持つ国家がユーラシア大陸に集中している状況です。
これまでの世界のパワーバランスは、西側諸国が制覇力(金融・軍事・シーパワー)を持っていました。一方で近年は、中国の存在感増大、ウクライナ侵攻による経済制裁で顕わになった欧州のロシアエネルギー(天然ガス)依存、国内に目を当てれば電気代の異常高騰による政府の国民補助など、西側諸国のエネルギー政策の限界が見えてきています。これらは、世界動向に対する重要な示唆を与えてくれているように思えてなりません。
今回は、世界の、そして日本のエネルギー動向と世界のパワーバランスを読み解いていきます。
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世界のエネルギーの動き~日本が中東諸国に依存するのは何故か?~
前回の記事では、化石燃料をはじめとしたエネルギー源の生成過程や気象変動の影響について紹介しました。
(前投稿:「そもそもエネルギー源とは何か?化石燃料とは?」より)
今回は、それら化石燃料がどこで採掘されるのか、世界各国での輸出入関係について紹介していきます。
地球の地下には石油や石炭、天然ガスなど多くの化石燃料が眠っています。
しかし、それらは地球のいたる所で採掘できるわけでは無く、大量に採掘できる場所もあれば、採掘できない場所もあります。日本のエネルギー自給率が低く、他国より資源を輸入しているのは埋蔵量が少ないことが要因の一つです。
では、日本を含めた世界のエネルギーの動きはどうなっているのでしょうか?
化石燃料は地球の何処で発掘され、日本と他国との輸出入関係はどのようになっているのか、いくつかの観点から見ていきます。
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エネルギーの今後を考える~脱炭素・エネルギー費高騰の中で日本はどうする?
CO2排出・地球温暖化→脱炭素の圧力を受けて、化石燃料への世界的な圧力が増しています。しかし実態は、再生可能エネルギーだけでは社会を維持するのは不可能。欧州は、ロシアからの天然ガスパイプラインを爆破され、この冬を超えられるか?の危機へ。慌てて脱炭素を推進してきたEU委員長が中心となり、アゼルバイジャン→欧州への新パイプライン構築や、LPGの輸入及びコンビナート建設に動き、天然ガスや石炭等の化石燃料をかき集めています。その上、背に腹は変えられない!と、後進国が契約済みの化石燃料を高額で横取りする始末。先進国は後進国の反発を買い、COP27は大荒れ。気温上昇1.5℃目標達成も圧力強化できず。
今後、どうなるのでしょう??
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そもそもエネルギー源とは何か?化石燃料とは?
私たちの暮らしを支えるエネルギー。その『エネルギーを創り出している資源、化石燃料はどのように生成されているのか』について今回は紹介します。
エネルギーの種類
まず、エネルギーには「一次エネルギー」と「二次エネルギー」の2つの種類があります。
「一次エネルギー」・・・なにも加工されていない、そのままのエネルギーのことを指します。石油や石炭、天然ガス、地熱、水力などをはじめ、太陽光や風力などの再生可能エネルギーや薪、石炭などを含みます。
※化石燃料は一次エネルギーに含まれます。
「二次エネルギー」・・・一次エネルギーを転換、または加工して作られるエネルギーのことを指します。電気やガソリン、ガスなど、家庭やオフィスで見られるエネルギーは二次エネルギーに振り分けられます。
化石燃料は状態変化によって様々な資源に分類される
化石燃料
├ 気体 → 天然ガス
├ 固体 → 石炭
└ 液体 → 石油
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地球温暖化を地球気象からみる
50年前、身近で起きていた公害問題(水質汚濁・大気汚濁・土壌汚染・他)が法規制で一定改善されましたが、現在、地球規模の環境問題(海洋廃棄物・地球温暖化)が出てきています。
何人も、「環境破壊を阻止しなければならない」と言われれば、反対できません。しかし近年発生した「オゾン層破壊・環境ホルモン・ダイオキシン」の問題も原因と結果がはっきりせず、とにかく対策はしなければと世論形成になったような気がします。そのような風潮に違和感を感じ「事実はどうなのか」の追及をしています
まず、「地球温暖化」を扱いたいと考えています
■地球温暖化は嘘?本当?真実や根拠、理由をグラフで解説まとめ!
より
出典よりお借りしました
青い折れ線が気温、黒い折れ線が二酸化炭素です。赤い線は太陽の活動です。詳細はわかりませんが、太陽が活発で日光が強いと赤いグラフが上向きになります。
こういうグラフは根拠が明確になりますし、本当に関係しているかどうかがよくわかります。このグラフを見る限りは、二酸化炭素と気温の関係性があるグラフとは言えないでしょう。グラフ内の二酸化炭素と気温は別の動きをしています。ただ、その背景の根拠や理由はわかりません。
グラフからもわかる通り、二酸化炭素が増えているから気温が上がっているというわけではありません。
しかし、全体的に見れば、二酸化炭素が増えて、気温も上がっていると捉えることはできるでしょう。
気温と二酸化炭素の関係よりも、気温と太陽活動の関係の方が密接なことがグラフからは読み取れます。
(後略)
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■日本の地球温暖化とは都市の高温問題(ヒートアイランド現象、集中ゲリラ豪雨)では?
参考論文:(近藤純正)日本の地球温暖化、再解析2022 K219.温室効果,CO2濃度と地表面の放射量
要約すると
・都市市の高温化の要因は、ビルや舗装道路により、緑の多い田園地域に比べて蒸発散量(=蒸発量+蒸散量)がなくなった事である。それは、蒸発散に費やされる気化の潜熱が少なくなる分、その熱が地温を上昇させて気温が高くなる。
・CO2の影響:大気放射量(大気から地面への放射量)284W/m2 CO2(100ppmから400ppm)の増加熱量6W/m2 で影響度は2%程度
・都市化の2019年時点における昇温量は1920年を基準にとして札幌では1.1℃、仙台では1.3℃、東京では2.0℃、名古屋と京都では1.5℃、大阪では1.1℃、広島と福岡では1.5℃である。緑豊富な田舎ではあまり変わってない
又「日本の気温は、地球温暖化で何度上昇したのか」 より
要約
今回の1881~2019年期間の日本平均の100年当たりの地球温暖化率は0.77℃/100y となった。地球温暖化量には太陽黒点数と同じ約10年周期と、大規模火山噴火・ 海洋変動に伴う30~40年の周期的変化が混在するため、100年間当たりの気温上昇量 は期間の選び方によって大きく変わる
図1:1881年から2019年までの日本の各年の平均気温の基準値からの偏差。黒線: KON2020(1881-2019年、34地点)の線形回帰直線注1)、オレンジ線:気象庁発表値(1898-2019年、15地点) 出典よりお借りしました
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■地球規模の気象変動は宇宙気象が影響する。
地球温暖化に関わる多くの研究者は、太陽活動はほぼ一定であり、地球の気候の変動に大きな影響はない、と想定している。
環境ブログでも紹介されていますが、下記の記事にも記載されていますので主要な点を記載します
【太陽活動の影響】太陽の異変 宇宙線が揺るがす気候変動|ガリレオX第15回 – Bing video
>太陽の黒点は11年周期であるが、今2009年時点で、周期が12.5年となっており、今から10年後同じように周期が伸びた場合、マウンダー極小期(寒冷期:イギリスで平年-2℃。日本では元禄時代の東北の寒冷化 1645年から1715年にかけて太陽黒点の観測数が著しく減少≒太陽磁気活動が弱まった期間)の再来になるのではと言われている。
有力な仮説として、太陽の磁場は太陽系に降り注ぐ宇宙線を防御しているが磁場の縮減(黒点減少)により、宇宙線が直接地球に多く到達する。
その結果、地球上の上空大気が宇宙線によりイオン化されエアロゾール(雲の種粒子)となり雲が多くできる。⇒地上への太陽光量が減り気温の低下。同時に雨量の増大(異常気象)となる。近年では2009年の世界中での豪雨発生。
この事は樹齢1000年の縄文杉の年輪に含まれた炭素同位体(宇宙線を受けた結果)の計測や南極のアイスコア(毎年の降雪の水蒸気量が氷で分かる)の分析で確認できる。
参照:「太陽観測衛星「ひので」 | 国立天文台(NAOJ)リンク
又、JAXA | 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)リンク
により、大気中の温暖化ガス(CO2/CO/メタン等の濃度)の観測を行い、2015年12月には二酸化炭素の全大気平均濃度が400ppmを超えたデータを示している。
参照:JAXA 第一宇宙技術部門 Earth-graphy リンク
■地球の太陽軌道の変化による地球気候変化(全球凍結など)を紹介します
恐竜時代の地球軌道が、地球環境を変えた? – 新たな変動メカニズムの提唱 | academist Journal (academist-cf.com)より
地球軌道が少し変わると、地球環境が大きく変わる:ミランコビッチ・サイクル
太陽と木星や火星などの惑星の重力相互作用により、地球軌道は変化する
地球は太陽からの日射で温められているので、日射量が変われば地球の気候も変わります。太陽と木星や火星などの惑星の重力相互作用により、地球の自転軸は、22度から24.5度くらいのあいだを4万年周期で変化します。また自転軸の方向も現在の北極星から、織り姫星として知られる琴座のベガへと約2万年周期で変わります(歳差運動)。そのため、太陽に近い時期/遠い時期の季節が変わり、季節性が変化します。さらに、太陽の周りを地球が回る軌道の形も、10万年、40.5万年、200万年〜数1000万年といった周期で変化します(離心率変動)。これらにともなって、季節性がさらに変化します。これらの地球軌道変化の周期を「ミランコビッチ・サイクル」といいます。
この結果として、北緯65度の夏の日射量が変動し、氷床の拡大-縮小を引き起こした、という理論を、提案者の天文学者の名前にちなんでミランコビッチ理論と呼びます。日射のわずかな変化に氷床量が、大きく変化し、海洋循環や生態系が大きく変わった結果、大気CO2濃度や気温をはじめ、地球環境が大きく変動したと考えられています。
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まとめ
地球温暖化の主要因は、CO2排出増大(2%)でなく、都市化の依る熱ダマリ等によるものである。又地球気象変化は、太陽活動(太陽からの輻射熱量)⇒10年周期の寒冷化、地球軌道変化の周期(200万年〜数1000万年)⇒地球の氷河期となっており、事実はどうなっているか気象衛星の調査での追求が始まっています