偏西風と貿易風が逆向きにふく理由
日本に住んでいると偏西風を耳にする機会が多いと思います。
これらは恒常的に西から東へふくことが共通しています。これらのように年中通してふく風を恒常風と呼びます。偏西風は緯度30°~60°付近を流れています。
他の恒常風としては0°~30°付近を東から西へ流れる貿易風があります。
このあたりは以前のブログ「風がふくのはなんで?(4)~貿易風や偏西風が生まれる構造~ – 地球と気象・地震を考える (sizen-kankyo.com)」でも詳しく紹介しているので、そちらも覗いてみてください。
地球内部の構造はどのようにして分かったのか?
地球内部はどのようにして推察されているのか。今回は地球内部について迫っていきます。
https://assets.st-note.com/img/1666400544960-JqAU0Jf7nP.png?width=800からお借りしました。
現在の科学では地球内部には地表にあるよりも密度の高い岩石と金属が充満していると考えられています。
その根拠として重要なキャベンディッシュの実験があります。
しかし、この重要なキャベンディッシュの実験には問題があると指摘されています。
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【地震のメカニズム】地球の内部構造から角田理論、石田理論、野尻理論を統合する
この間、地震について、熱移送説の角田理論、爆縮の石田理論、その系統の野尻理論を紹介してきました。
その中で分かってきたのが、地球の内部構造、特に「マントル」の流動性をどう捉えているか、がポイントになる。という事です。
そこで今回は、定説(プレート論)含め、各理論が地球内部の構造をどう捉えているか。を整理することで、3つの理論の統合を試みたいと思います。
⓪定説(プレートテクトニクス)
まずは定説。
◇理論の概要
・岩盤の「ずれ」=地震。地球内部では、プレートとプレートの境界で岩盤に力がかかっており、それに耐えられなくなったときに地震が起こる(岩 盤がずれる)。
◇内部構造をどう捉えているか
・地殻:50~60km
・モホ面(=地殻とマントルの境界線)
・上部マントル=リソスフェア=剛体
アセノスフェア=流動性あり※
・下部マントル=メソスフェア=剛体
ここでポイントになるのが、「アセノスフェア」。プレート理論は、流動性のあるアセノスフェアの上を地殻が移動する。
という理論ですが、この流動性のあるアセノスフェアが固体なのか、溶融しているのか。が議論になっていました。
古くは流動性があるのに「固体」という、正直理解するのが難しい事が定説になっていたようですが、現在では部分的に溶融している説も有力視されているようです。(2019年)
それでは、つづいて各理論を見ていきましょう。
①石田理論
石田理論は「巨大地震は「解離水」の爆縮で起きる!(2013年)」という著書で提起されていますが、その肝は「マントルは溶融している」という点です。定説で溶融論が支持され始めたのが2019年と比較的最近なので、石田理論の根幹をなす部分が間違っていなかった事になると思います。
◇理論の概要
・マグマの熱で水が水素と酸素に分離される「解離水」が出来、それが再結合するときの水素爆発(爆縮)が巨大地震を生み出す。
◇内部構造をどう捉えているか。
・地殻=モホ面+リソスフェアまで(モホ面+地震波を早く伝達させる橄欖岩の層)
・マントル
アセノスフェア:溶融マントル
※地震の波形及び走時表(始地震波の走行距離と時間の関係を調べたもの)から、
「アセノスフェアは固体ではなく溶融している」と仮定。
②野尻理論
野尻理論は、石田理論をより工学的、かつディテールまで分析した理論、という印象です。
地震予知不能の真因が2021年の出版なので、最新の研究も反映された上での論。という事になっていると思われます。
マントルについては明記していませんが、随所に出てくる記載内容から推測すると、岩石とマグマが混ざったもの=マントル(なので基本的にマントルは溶融している)と捉えていると思われます。
◇理論の概要
・石田理論と同様、地下からの溶融マグマによって生じた「解離水」の水素爆発(爆縮)で地殻の「岩盤が崩落」し、巨大地震を生み出す。
◇内部構造をどう捉えているか。
・厚さ60km当たりを「マントル」と表記。
・また、10km付近で、マグマと岩石のバランスが取れる。と記載がある事から、マントル=マグマと岩石が混ざった溶融状態という認識
・深さ400km~700kmはどろどろのマントル(溶融マントル)という記載あり(≒角田理論で言うところの「地震のツボ」)
③角田理論
最後は熱移送説の角田理論。地震の癖を発表したのが2009年と3理論の中では一番古い。2022年に出版した「メガ地震がやってくる」でも熱移送説を説明してくれています。それによると、
マントル=マグマと岩石が混ざった状態で、その比率の違いで名前が変わっている。という捉え方です。
注目点は、地震のツボと呼ばれるマントルの一部が溶融マントルとしている点です。
◇理論の概要
・2,900km以深にある熱エネルギー流が遷移相の深発地震を生み出し、それがアセノスフェアに蓄積され、地表にメガ地震が発生する。
◇内部構造をどう捉えているか。
・地殻:厚さ約40kmで固体
・上部マントル
リソスフェア:40~100km。粒あんの粒だらけの状態
アセノスフェア:100~400km。リソスフェアと遷移相の間の状態
遷移相:410~660km。粒あん状態。マグマと岩石が混在する柔らかい状態。=地震のツボ。溶融マントル
・下部マントル:厚さ約660~2900km どろどろのマグマと岩石がまじった状態。
以上見てきた様に、3理論はもちろん、定説も最近は「溶融マントル」なるものが地球内部に存在することを認めている様に、マントルのうち、アセノスフェアと呼ばれるエリアが岩石とマグマが混在した「溶融マントル」である事は間違いなさそうです。
だとすると、本来の目的である地震理論についても、やはり定説のプレート論ではなく、他の3論の方が説得力を持っています。
特に観測データの検証からも、角田理論「マグマエネルギーが地震を起こす」が、大きくは正しそうです。
そのマグマエネルギーを得て、地震がどう発生しているか。は石田理論や野尻理論がより詳細に記載されている、と言った所でしょうか。
まとめると
地球内部のマグマエネルギーから出来た「溶融マグマ」によって生じた「解離水」が水素爆発=爆縮を引き起こし、そのエネルギーで岩盤が崩落=大地震
という事で言えるのではないでしょうか。
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磁力の発見の歴史(近代)⑨~ロバート・フックの構想した「世界の体系」を解き明かしたアイザック・ニュートン
〇ロバート・フックの重力と磁力の測定
「フックの法則:ばねの力はその伸びに比例している」は、単にばねについての一つの経験的法則を発見しただけのものではない。力が数学的関数によって表されるという思想のケプラーに次ぐ表明であり、その具体例のはじめての発見であった。フックが「実験哲学」を語りながらもベーコンを超えているのはまさにこの点で、力の強さを定量的に測定し、数学的な法則に捉えることを目指したことにある。
フックの重力と磁力の研究もこの方向に進められた。
フックの本来の狙いは地球の重力が本当に磁気的な起源のものなのか否かを探ることにあった。そして、その判別条件として重力の距離変化の測定が位置付けられていた。
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1/fゆらぎの「1/f」はシンプルな自然の理を表している
皆さん、「1/fゆらぎ」って聞いたことありますか?
木目や海の波、音楽、自然物などさまざまなものにある一種の「ゆらぎ」といわれており、“リラクゼーション効果がある”という話から、注目を浴びているワードです。
しかし実際の所、本当にリラクゼーション効果があるのか、「1/fゆらぎ」とは何なのか、実はイメージも湧きにくく、まだまだずっと謎が多いものでもあるんです(@_@)
そのため、今回はこの方の話を元に、1/fゆらぎの正体に迫っていこうと思います!
☆吉田たかよしさん「世界は「ゆらぎ」でできている」☆
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【1/fゆらぎは、実は不思議なものでなんでもない?!】
ではまず、「f」とは何を指すのか?「1/f」とは何を表しているのか。吉田たかよしさんという方が感覚的にも掴みやすいように説明してくださいました。
●周波数とは、周期とは。
周波数…一秒間の波の数。
周期 …一定時間ごとに同じ現象が繰り返される場合の、その一定時間。
例えば、周波数が4Hzの場合、1秒間に4回波がある・振動しているということになります。また、周期が4秒という場合は、1振動に4秒かかるということで、周波数は0.25㎐になるということになります。
●「f」とは何か?
では、まず1秒を周期で割ってみましょう。仮で、周期は0.5秒に設定します(0.5秒で1波)。
1÷0.5=2 になりますね。
この答えが、周波数…「f」の正体になります。周期が0.5秒の場合の、1秒間の振動数を表している、“2㎐”のことを言っているのです。
●「1/f」とは何か?
では、1秒を今度は「f」=周波数で割ってみましょう。さっき出てきた2㎐と設定します。
1÷2=0.5 になりますね。
そう、「1/f」は周期そのものを意味するということになるのです。
・1秒÷周期=周波数(f)
・1秒÷周波数(f)=周期 こういう関係性になります。
なので、周期を8秒→4秒→2秒→1秒と半分にしていくというのは、とりもなおさず1/fが8→4→2→1と半分になっていくということなのです。
揺らぎのパワーもここに比例します。
パワーとは、そのまま波の力という意味ですが、揺れの大きさと考えると分かりやすいかもしれません。電車が大きく揺れればパワーもすごい強さだし、小さな揺れはパワーも弱いのです。
さて、これをグラフ(パワースペクトルの対数グラフ)にしてみましょう。縦軸に揺れのパワー、横軸に周波数をはめると…見事に右下がりの直線が出来上がります(対数グラフなので)。
「1/fゆらぎ」と検索すると、このグラフがよく出てくるので、イメージもこのグラフが浮かぶかもしれませんが、
周波数が上がるとはどういうことなのか、周期が短くなるとはどういうことなのか、実際のイメージが湧きにくいのかもしれません。
ですが要は、周波数が上がる=周期が短くなる=揺れが小さくなるということ。電車の揺れのように、小さい揺れになればパワーも小さいのです。
海の小さな波が、津波になると大きな力になるのも、全部そういう普段の感覚と繋がっている、至って普通の現象のこと・普通に感じていることを、数値化して表してくれているのではないでしょうか?
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1/fを調べていく中で、そもそも「ゆらぎ」ってなんなんだろう?という疑問もわいてきました。
調べてみると、「ゆらぎ」とは、ある法則性がくずれることで生まれるもの、とのこと。
生まれる「ゆらぎ」は様々なタイプがあって、「1/f」もその内の一つ。
先ほどの「1/f」のように、私達が聴覚的・視覚的に得る情報を認識できるのは、この“ゆらぎ”の違いを感じているからなのではないか?とも感じています。
これは1/fゆらぎに留まらず、「ゆらぎ」そのものに注目して、掘り下げていきたいですね!(なにより面白そう!)
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「地震は電磁波が起こす」 地震の本質は逆圧電効果だ!
本稿では、地震のメカニズムについて、
【地震のメカニズム】現代マグマ説の原点となる石田理論 – 地球と気象・地震を考える (sizen-kankyo.com) を紹介していますが、
今回は、「重力宇宙論から電気的宇宙論への転換期」を展開している物理家平清水九十九による論考を紹介します
平清水九十九氏は、地震のメカニズムを「太陽風と地磁気の電気活動」で説明し、地震予知は不可能と言われている状況で予防措置の方法も提示しています。
以下要約版です
【高層ビルが多い地域や雨の日には巨大地震が少ない!? 「電気的宇宙論」で見えた地震予知の真実ートカナ (tocana.jp) 】
> ・・海外では「電気的宇宙論」という宇宙・天文現象を電気活動として捉える新理論が登場し、ビッグバン宇宙論に代わる理論として注目されている。電気的宇宙論は惑星科学にも言及していて、地震も電気的活動であることを主張している。今回は、地震を電気活動として見たメカニズムについて説明してみよう。
■「電気的宇宙論」からみる地震
最初に地球がなぜ自転しているかを説明する。地球の自転は慣性で回っていると説明されるが、慣性では何億年も回転することはできない。海水、大気の抵抗があるうえ、地球の自転速度は遅くなったり速くなったりを繰り返しているからだ。遅くなるのはいいが、速くなるのは慣性では説明がつかない。
・・・・・
大まかに見ると自転速度が速くなったときに地震が起きている。3.11も自転速度が速くなった時に起きた。
じつは地震は自転速度と密接な関係があるのだ。地震は主に太平洋火山帯の周辺で起きることが知られている。 マグマには電流が流れているのだ。溶けた岩石であるマグマは電気を良く通す性質を持つ。また火山噴火でマグマが飛び出すと、火山雷と言う現象が起きる。飛び出したマグマから周囲に放電が起きるのだ。火山雷は通常、周囲の空気との摩擦による静電気が生じて起きると説明されるが、火山雷をよく観察すると空中に飛び出た瞬間、放電が起きる。つまり地中内部にあったときからマグマは電気を帯びていることがわかる。
つまり地球をほぼ一回りするマグマの帯は電流が流れるコイルと言える。コイルと地球磁気とが作用するとモーターになる。ファラデーモーターと言うもっとも単純なモーターが地球を自転させている動力なのだ。
マグマに流れる電流が強くなると自転速度が速くなり、マグマの周囲に放電が起きる。これが地震の原因だ。地震は岩盤内部での放電現象なのだ。放電が起きる花崗岩や玄武岩などは、誘電体と言う性質を持つ。誘電体は電気を溜めることができる。誘電体の例としてライターなどに使われている圧電効果があるが、誘電体は逆に電圧をかけると変形する。地下の岩石に電気がたまって放電が起き、岩石が大きく変形するのが地震の正体だ。
地震が放電現象であれば、地震が起こる前の前兆現象のほとんどは説明できる。また岩盤内部で放電が起きると、分極が起きる。分極は余震を説明する重要な要素だ。大きな地震のほとんどで、余震が発生する。余震は数日間続く場合もあれば、熊本地震のように数カ月も続く場合がある。余震は断層の歪が解放されることでは説明がつかない現象だ。多くの誘電体は、その内部が小さな方向性を持つ結晶で構成されている。結晶の向きはばらばらなので、圧電効果で変形する方向も異なる。しかし、一度高電圧を加えられると分極と言う現象が起きて、変形する方向がそろってしまう。分極が起きた状態では、低い電圧でも大きく変形する性質を持ってしまうのだ。余震は分極した岩石が変形する現象なのだ。分極が収まるまで余震が続くことになるが、その時間は岩石の性質、電気の量で異なる。
さて、地震の正体が明らかになれば、地震予知ができるかというとそうはうまくいかない。地下の電気の流れを調べる方法が確立されていないからだ。
・・・・
東京都内では、この半世紀ほどの間、大きな地震がほとんど起きていないことをご存知だろうか?
・・・・・・
地震の少なさとはうらはらに都内では局地的豪雨がしばしばある。1時間に100mm以上の雨が降るという極端な気象だ。 地震につながる電子が地表に流されて、雨になった、というのが都内のゲリラ豪雨の正体なのだ。
地下の電子を空中に放出しているのが、ビルに設置された避雷針だ。避雷針はビルの基礎などにつながっているので、深い場所からの電子を空中に放出することができる。とくに高層建築の多い都心付近では、本来地震につながる岩盤にたまった電子を取り除く作用がある。高層建築は知らずに地震の危険を取り除いていたということになる。
このメカニズムを使えば、地震を予防することが可能だ。地方では、高層建築がほとんどないため、地下深くに接地した避雷針もない。そこで、避雷針を作る場合は、地下100mくらいまでのボーリングを行い、地下深くから電子を解放するようにすればいい。落雷を避けるのではなく、地震を避ける地震避雷針の設置を進めれば、都市部の直下型地震を予防することが可能になるはずだ。これが、電気的宇宙論からみた地震対策である。
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栄養減少が進む野菜・果物・穀物~その実態と原因について~
食品ロスと飢餓の矛盾、増加する栄養失調者と…食べ物に関する課題が多い現代。
そもそも野菜や果物の栄養そのものが近年低下しているということが指摘されている。今回は、その実態に迫りたい。
■栄養分が減少している野菜・果物・穀物の数々~50%もの栄養低下もみられる~
多くの野菜や果物、穀物において、たんぱく質・カルシウム・リン・鉄・リボフラビン・ビタミンCなどが数十年前に比べて「少ない」ということが複数の研究で示されている。
学術誌「Journal of the American College of Nutrition」の2004年12月号に発表された論文では、米テキサス大学オースティン校の研究者らが、1950年と1999年に公表された米国農務省の栄養分データを用いて、アスパラガス、インゲン、イチゴ、スイカなど43種類の作物に含まれる栄養素13種類の変化を記録したが…
これらの野菜・果物では、タンパク質やカルシウム、リンの減少が見られたほか、全身に酸素を運ぶ鉄分、脂肪や薬物の代謝に不可欠なリボフラビン、さらにはビタミンCレベルも低下していた。
栄養素や作物の種類によってさまざまだが、概ね6%(タンパク質)から38%(リボフラビン)の範囲での減少。中でも目立ったのは、ブロッコリー、ケール、カラシナでカルシウムが減っていたこと、キュウリ、カブの葉で鉄分が減っていたこと。アスパラガス、コラード、カラシナ、カブの葉でも、かなりの量のビタミンCが喪失していた。
その他、学術誌「Foods」2022年1月号に掲載された研究によると、オーストラリアで栽培されたスイートコーン、赤ジャガイモ、カリフラワー、インゲンなどでは、鉄分含有量が30〜50%低下。
2020年に学術誌「Scientific Reports」に掲載された論文によると、小麦に含まれるタンパク質は1955年から2016年の間に23%少なくなっており、マンガン、鉄、亜鉛、マグネシウムも顕著に減少。
ということがわかってきている。これらの影響は、もちろん、栄養価の少ない牧草や穀物を食べる牛や豚にも波及していく。
■栄養低下の原因は「土壌の劣化」にある
いくつもの要因が絡んで起きている現象ではあるが…大きくは「収穫量を増やすために特化した現代農法+土壌の劣化」。
現代農法は、多くの場合「農家が得る報酬は“作物の重さ”によって決まる」ため、作物の栄養は考慮させれず、「より大きく・より早く育てる」ことに特化する傾向にある。
結果として、土壌からの栄養分は多くの作物に分散され、土壌の栄養が回復する前に次の作物が育てられることで土壌から作物に供給される栄養分そのものも減少してしまっている。
本来、土壌は土壌の性質改善に役立つ堆肥・有機物と化学肥料を上手く組み合わせていく必要がある。
しかし、実態は水田も畑も堆肥の施用量は標準を下回り、有機物含油量・土壌養分とも減少。
加えて、圃場整備や効率のよい大型農機導入により農作物の根を張るための表層は薄くなり、土壌も固く・密になってしまっている(耕盤化)。結果として、水も、空気も通りにくく、排水性が低下、根張りも悪い土壌が増加。
食品ロスと飢餓の矛盾、増加する栄養失調者のことを考えても、農業プロセスさらには、それらに最も影響を大きく与えている評価(価値の付け方)そのものを見直す局面であることを、多くの人が認識する必要のある時代になったと言えるでしょう。
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磁力の発見の歴史(近代)⑧~ロバート・フック:重力と磁力を事実上同一視していた
ロバート・フックは、イギリスの自然哲学者、建築家、博物学者であり、王立協会フェローに所属した。特に実験と理論の両面を通じて科学革命で重要な役割を演じたことで歴史に名を残している。
〇ロバート・フック(1635-1703)
フックの初期の仕事としては、真空ポンプを制作して空気と大気圧についてのボイルの研究を助け、気体の圧力と体積についての「ボイルの法則」の確立に寄与したことが知られている。
フックは重力を原理的な(還元不可能な)作用として認めている。それは、全ての物質は無性質で不活性で受動的とみる機械論の原則からの明白な逸脱であった。
デカルトが慣性の法則を正しく定型化して以来、惑星の公転にとって必要なのは、ケプラーのような軌道接戦方向への推進力ではなく、中心物体(太陽)の方向に軌道を曲げさせる力であることが既に明らかになっていた。その力に対してフックは、宇宙空間に充満する流体媒質の密度勾配という機械論的近接作用モデルと中心物体の性質としての引力という遠隔作用モデルの両論を併記している。機械論の原則的な立場からすれば、後者のモデルは退けられるべきものであるが、フックは必ずしもそうは見ていない。フックがデカルト主義と機械論の原則に教条的にとらわれることなく柔軟に思考できたのは、ギルバードの「磁気哲学」とベーコンの「実験哲学」の影響を強く受けていたらであった。フックは己の科学の方法を「機械論的・実験哲学」と称し、デカルトとベーコンの両方の顔を立てている。
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磁力の発見の歴史(近代)⑦~ロバート・ボイルの「磁気発散気」を前提とした磁化現象~
【ロバート・ボイル(1627-1691)】
磁力という点に関しては、ボイルは引力を認めず、遠隔力としての引力を直接的接触ないし圧力の結果とみなし、その限りでは機械論一般に共通の立場であるが、ボイルはそう考えるに至る特別に強い動機と根拠があった。
ボイルの物理学研究の原点は「真空の実験」にあった。ボイルは『吸引による引力の原因について』で「その真空嫌悪の仮定よれば、水やその他の液体が揚水ポンプの管の中をどのような高さにも上昇するのは真空を忌避するためであるとされるが、それは実験とは合わない。」と断じている。ボイルはトリチェリ管を真空ポンプの容器内にいれて排気すると、排気につれて管内の水銀柱が下がっていくことを示し、真空嫌悪に基づく説明の誤りを暴き出している。ボイルの見解では「揚水ポンプにおいて真空にした管の中を水が上昇するのは、管の中にある水面の部分に圧力が全くかからず、そのため水の上昇が妨げられないのに対して、管の外で停留している水面の他の部分には大気の圧力がかかり、その上部にある大気の重さにより強く圧迫されるということから単純に生じる機械的必然性による」として、つまり、管内の真空部分が水柱を吸引するのではなく、外部の水面に接している大気がその水面を押し下げることで、結果的に管内の水を押し上げるのである。この事実は、ひろく「引力」と呼ばれている他のいくつもの現象も直接の接触力、すなわち圧の効果として理解されるはずであるとの確信をボイルに与えたようである。
したがって、ボイルにとっては、遠隔力の典型である磁力も近接作用として説明されるべきこととなり、実際ボイルは磁力そのものについては触れていない。
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磁力の発見の歴史(近代)⑥~ロバート・ボイルの「粒子哲学」~
〇ロバート・ボイル(1627-1691)
アイルランド・リズモア出身の自然哲学者、化学者、物理学者、発明家。神学に関する著書もある。ロンドン王立協会フェロー。ボイルの法則で知られている。ボイルの研究は錬金術の伝統を根幹としているが、近代化学の祖とされることが多い。特に著書『懐疑的化学者』は化学という分野の基礎を築いたとされている。
科学の世界でボイルを有名にしたのは、フックの協力を得て作り上げた真空ポンプ用いた一連の大気と真空の実験と、「ボイルの法則」と呼ばれている事実の発表。それは、特定の目的のために作り出された装置を用いた計画的な実験と定量的な測定に基づき、数学の言語で表される法則を確定するという17世紀における「新科学」の実践の傑出した例となっている。
【ボイルの法則】
ボイルは自身の物質観を「粒子哲学」と称している。ボイルの思想を特徴づけているのは、第一には、自然的世界を自動機械のように見る自然観であり、第二に、物質の呈する全ての性質がその立場から説明されるという物質観であり、総じて徹底した機械論哲学にある。彼にとって「化学は機械論的な自然哲学の有効性を証明する手段なのであった。」とまで言われている。