2009-09-22

リサイクルの本質を考える(9)~汚泥のゆくえ~

前回シリーズでは主に一般廃棄物のゴミの実態をレポートしてくれましたね。
今回は引き続き、主に産業廃棄物に焦点をあてて、レポートしていきます
一般廃棄物の約8倍もの量となる産業廃棄物。
その内訳を見てみましょう。
種類別排出量グラフ
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汚泥が44%と最も排出量が多く、次いで動物の糞尿(20.9%)、がれき類(14.5%)とこの3品目で約8割を占めています。
産業廃棄物排出量の推移
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また、平成2年度からの暦年推移を見るとほぼ横ばい(若干の増加)となっています。
最終処分量
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次に、最終処分量でみると汚泥が32%と最も多く、ついてがれき類(14%)、ばいじん(13%)、鉱さい(9%)の4品目で全体の約7割を占めることになります。
動物の糞尿が排出量としては多いのに、最終処分量になると少なくなるのは95%が再生利用されているからです。
汚泥も9割弱は中間処理によって減量されますが、絶対量が多いので最終処分量も一番多い結果となっています。
ではこの『汚泥』とは一体何者なのでしょう?

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汚泥とは??
汚泥とは泥上物質の総称で種類としては下水処理から発生する排水処理汚泥、向上等で発生するメッキ汚泥、研磨かす、建設現場から発生する建設系汚泥、生コン残渣、製造工程から出る泥状物などがあります。
下水汚泥はどうやってできるの?
例えば各家庭から出た汚水(台所、洗濯、風呂、トイレなどの排水)は下水管を通って下水処理場へと送られます。下水処理場では、活性汚泥法という方法で汚水が処理され、きれいな水に生まれ変わり、自然へと帰されます。
活性汚泥法とは、まず下水に空気を送り込んで、 ある種の微生物を繁殖させ、水に溶けている栄養分(有機物)まで全部細菌に食べさせてしまい、お腹いっぱいの微生物を沈殿分離させ、きれいな水だけを川に流す方法です。その際に沈殿したものが下水汚泥です。
なんで、汚泥が産廃扱いになるのか?
汚泥は基本的に産業廃棄物処理を行う必要が法律で決まっています。
産業廃棄物は、事業活動から生ずる廃棄物であって、量的質的に環境汚染の原因となる可能性のあるもので、上記に記載したようにあらゆる物質が混在する汚泥も、それにあたるとされています。

さて、ここで注目したい点は、前段で述べた動物の糞尿は再生利用率が高かったことや、江戸時代などは糞尿の再利用がなされていたのに対し、現在、下水汚泥の再利用率が低いところ。
これは、リサイクルの本質を考える(8)でも取り上げられていましたが、市場化、都市化に伴い、日本古来から存在するリサイクルとは根本的に構造が異なっている、今回で言えば、各家庭や工場から出た汚水の最終処分を行うまでの回収の仕組みの違いが大きな影響を及ぼしていると思われます。
市場が拡大すればするほど、都市が拡大すればするほど、あらゆるものを「纏めて処理する」、うわべだけの効率化が、結局は最終的にゴミ問題としてひずみをもたらしているように思います。
では、その汚泥がなぜ再利用しにくくなったのか?
次回はその理由に詳しく踏み込んで行きたいと思います

List    投稿者 kawano | 2009-09-22 | Posted in L.リサイクル問題1 Comment » 

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コメント1件

 ゆたか | 2010.04.22 21:45

環境を歌う企業も本当に環境の事を考えているのかわからないところもあるように思います。(金儲けやイメージづくりにしか考えていない)>原因や状況の把握⇒認識の必要というところにつなげていく必要があると思います。
まさにそうだと思います。

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