2010-07-26
『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性5~リグノフェノールの実用化は進んでいるのか?~
前稿~リグニンの利用とは?~より
このリグノフェノールを使うことで、木材を融解させたり、また固めたりといった操作が自由に出来るようになるというのです。今まで一度使ったららおしまい、であった木材を原料として低エネルギーで加工して何度も、繰り返し使うことを可能にしたのです。
もともと石油は自然の中で何億年もの長い時間を掛けて、樹木が変化して出来たものでした。この方法は、先にも述べたとおり、いわば樹木から直接プラスチックを作る方法なのです。
樹木から直接プラスチックを生産できれば、「森林大国日本」にとっては石油依存を軽減する大きな可能性です。
この40年間の日本林業の低迷とそれを放置してきた森林の現状は誰の目にも明らかであり、森林政策や林業対策について各方面からいろいろな提案がなされています。
ただ、いずれも観念的でスローガンにとどまっていて、具体的施策になかなか発展していかないようです。
バイオマスについては聞こえがいいので必ず盛り込まれていますが、いずれも追求が浅く「付け足し」に過ぎません。リグニンについても「リグニンの有効利用が課題」とは書かれていますが、リグノフェノールについてはほとんど触れられていません。
どうやら、バイオマス利用推進、リグノフェノール生産にはなにか大きな壁があるようです。
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『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電13~ サブガバメントモデルを支える電気料金の仕組み1/2
☆☆☆原発推進組織の資金源としての電気料金
『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電7~原子力発電の推進体制を考える1・・・日本の原子力推進体制1より
日本の原子力開発推進体制は、官僚機構・電力会社を中心とした、政府からおおむね独立して意思決定を行える集団が、その制度を自ら強化し推進できる、自己増殖体制を確立したからです。アメリカの軍産複合体と酷似した体制的特長をもち、サブガバメントモデルともいわれています。官僚の暴走という現代的問題に重なります。
具体的には、官僚機構・電力会社の自己増殖集団は、社会的に要請される理由を超えたところで、原子力開発そのものに価値があるという共認と、世論の圧力をうけず強力に事業推進できる体制を持ち合わせてる、ということです。
この結果、世論に対して強行に政策実現できる体制が、推進派と反対派の対立を作り出し、とその狭間で地域住民の存在基盤である共同体をことごとく破壊してきたというのが日本の原子力開発の大きな流れです。
サブガバメント組織をもう少し具体的に言うと、経済産業省(旧通産省)・文部科学省(旧科学技術庁)・これら官僚機構の所轄団体である、独立行政法人等(核燃料サイクル開発機構等)・経済産業省支配下の10電力会社の利害を共にする連合組織です。
この組織は、政府内小政府とも言うべき性格を持ち合わせていて、政府からほぼ独立して、自らの組織に有利な意思決定を行うことが出来ます。そしてこの組織は、アメリカの軍産複合体と同様の性格を持っています。
このような組織が存在可能な理由の一つは、その組織維持に必要な資金を自らの手で獲得できるからです。その獲得方法に電気料金が使われているのです。
今回は、2回連載で、その仕組みに迫ってみたいと思います。
『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性4~リグニンの利用とは?
前回まではバイオプラスチックの現状について扱いました。
そこでこれまでに分かった事を少し振り返ってみます。
前回の結論は、 「バイオプラスチックは脱石油社会へつながる、有望な技術であるものの、実用化するにはまだ超えなければならない課題がある」というものでした。
例えば、原料にトウモロコシを使うと食糧や飼料の高騰を招いたり、セルロースを材料にすると燃えやすかったり、また木材に含まれるリグニンを使おうとしても純粋な形では取り出しにくいこと、などなど。
こうしたなかで三重大学の舩岡正光教授は新しい、有望な技術を開発しました。
これまで誰もが上手く出来なかった、木材の中に含まれるリグニンという物質を、自在に分離したり結合させたりすることが出来る「相分離システム」という技術がそれです。
この方法を使えば、木から原料を取り出して硬度や柔軟性など様々な特性を持つバイオプラスチックを作り出すことが出来ます。
つまり、 「木から直接プラスチックをつくる」わけですね。
そのうえ、 「使い終わればまたもとのリグニンに戻して、再度別のものに成型して利用する、ということが繰り返し出来る」のです。
リグニンを材料に作られた電気自動車
写真はー学長ブログ ある地方大学長のつぼやきーより引用させていただきました。
続きは
のあとで。
『次代を担う、エネルギー・資源』 トリウム原子力発電12 地球の物質循環から切り離された核廃棄物問題はトリウム発電でも同じ
トリウム原子力発電の可能性を探るため、前回までの記事で、ウラン235を用いた原子力発電のバックエンド問題を扱ってきました。そこで浮上してきたのは
『核反応を起こせば、どう加工しようとも核廃棄物は半永久的になくならない』
という事実です。そして、廃棄物問題において、トリウムを用いた原発の利点として主張されてきたことは、
①ウランと異なりプルトニウムが発生しない。
②燃料として濃縮しないので放射性廃棄物が圧倒的に少ない。
ということでした。これらが果たしてそうなのか、具体的に検討していきましょう。
『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性3~バイオプラスチックの種類~
前回のエントリー『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性2 ~バイオプラスチックとは~ では、石油由来の「プラスチック」に変わる「バイオプラスチック」への転換期待が示されました。
「バイオプラスチック」は文字通り「バイオマス」を使うことで、化石燃料に頼らないという将来転換を見越した重要なポイントがあります。
「地球の未来・循環図」 日本自然工業㈱からお借りしました。
そしてその製造方法も、すでに幾通りかが実践されているのです。
例えば、トウモロコシなどのデンプン系のものは生分解性が高く、「生ゴミ袋」等として利用されています。
綿花や木材繊維を元にしたセルロース系は古くから生産されており、酢化度に応じて「包装用途」、「射出成形用途」、「繊維」、「塗料」として利用されています。
また新しい試みとして木材樹脂を元にしたリグニン系なども実践されています。
バイオプラスチックの種類を製造課程で分類すると、
1.穀物・デンプン系で作られるもの・・・・・・ポリ乳酸(PLA)
2.繊維・木質系で作られるもの・・・・・・・・・セルロース系(CA)
3.樹脂・木質系で作られるもの・・・・・・・・・リグニン系
4.微生物で作られるもの・・・・・・・・・・・・・・微生物系(PHA)
の4つに分類することができます。
では、次に「バイオプラスチック」の種類と、それぞれの特長と問題点を紹介します。
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『マグネシウムエネルギーは次代のエネルギーになり得るか?第6回~マグネシウム 再生の仕組み』
こんにちは 、『マグネシウムエネルギーは次代のエネルギーになり得るか?』の第6回です
今回のテーマは、『マグネシウム 再生の仕組み』です。マグネシウムエネルギーの大きな特徴は、
・海水中に無尽蔵に存在するマグネシウムを媒体として、
・人類社会で無尽蔵に存在する太陽光エネルギーを循環させる
ことにあるのですが、その実現には、
・エネルギー密度が希薄な太陽光エネルギーをいかに高密度化させるか?
・エネルギーの循環サイクルをいかに構築するか?
が大きな課題となります。 この難課題に対し、このマグネシウムエネルギーシステムでは、
①マグネシウム還元装置
②太陽光励起レーザー
③海水淡水化装置
の要素技術が、東工大の矢部教授により提案されいます。これから数回にわたって、これらの技術を紹介し、疑問点の抽出からその可能性を検証していこうと思います。今回は、「①マグネシウム還元装置」です。
動画は、太陽光励起レーザーを酸化マグネシウム粉末に照射し、酸化マグネシウムを還元しているところです。
レーザーの焦点が酸化マグネシウムの表面に当たった瞬間、煙のようなものが出ていますね。これが蒸発したマグネシウムなのです。
(動画はリンクからお借りしました)
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『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性2 ~バイオプラスチックとは
こんばんは。
前回のエントリーでは、現代においては、その性能・性質等において、プラスチックは簡単には、無くせないものであることが明らかになりました。
一方で、プラスチックの原料となる石油は、一般的には、数億年前の生物の死骸が化学変化を起こしてできた化石燃料であるため、枯渇性の有限資源といわれており、中長期的には供給量の減少も危惧されています。
このような状況から、持続的にプラスチックを供給する手段として、化石燃料に依存しない、バイオマスを利用したバイオプラスチックの可能性が注目されています。
お米のもみ殻や古々米からつくったバイオプラスチック製品
greenz.jp HPより
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次代を担うエネルギー・資源 トリウム原子力発電11 ~地球の物質循環から切り離された廃棄物の増量→蓄積の危機~
一時的な便利さを求めるあまり、私達は日々ふんだんに電力を使用しています。しかし、その電力は使用すればなくなります。けれども結果生じる使用済核燃料は消えません。
原子力発電がこのまま続けば、ひと時の快適さのために危険な廃棄物がどんどん溜まっていき、その後始末に途方も無い労力と費用が半永久的に発生するという構造にあるのです。
前回の記事『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電10~計画通りに進まない“再処理”計画~』で、放射性廃棄物は消滅することなく半永久的に残り続けることに触れました。今回は、それらの使用済核燃料や放射性廃棄物をいったいどうしているのか?という点を整理していきます。
現状、使用済核燃料の再処理量は、増え続ける使用済核燃料の量にまったく追いついていません。再処理に回すことのできない使用済核燃料は、いったいどこへ行くのでしょうか?
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『次代を担う、エネルギー・資源』バイオプラスチックの可能性1~プラスチックとは?
現代社会は石油が無尽蔵に利用できることを前提に成り立っています。石油は数十億年の長い時間をかけて植物が変化したものと言われています。数十億年前の太陽エネルギーを植物が地下深くに固定したものとも言えます。これを、今人類はあっという間に消費し尽そうとしています。
石油は植物由来ではないという説もありますが、どちらにせよ現状では輸入に頼らざる得ません。今後世界情勢が不安定になっていく要素の多い中で、生存の根幹に係わる食料とエネルギーを海外に依存しなければならないのはリスクが大き過ぎます。(日本にとって絶対大丈夫な同盟国は今のところ存在しません)
その上、地球の地下深くに眠るエネルギーを大気に放出していることへの違和感もあります。石油の場合、その多くが熱エネルギーとなって放出されていますが、外部から入力される太陽光エネルギー以外の物を大気に放散していることになります。CO2地球温暖化説は嘘っぱちですが、温暖化が進んでいるとしてもおかしくありません。
よって、今後エネルギー源は、石化燃料以外の現在の太陽光エネルギーを出自とするバイオマス系や、放散熱量の少ないエネルギー利用を考えてゆく必要があります。これについては、当ブログの「藻から作る石油」や「トリウム原子力発電」や「マグネシウムエネルギー」などのシリーズで追求しています。
そして、石油がもたらすものはエネルギーだけではありません。
全石油消費量の約20%は、蒸発温度の差からナフサに精製され、これがプラスチック類を作り出す原料になっています。
画像はランチちゃんのプラニュースさんからお借りしました。私たちの身の回りはプラスチックだらけですね。
今後、石油消費量を抑える上で、エネルギーの脱石油と共にプラスチック類の生産をどうするか?を考える必要があります。
当ブログの『次代を担う、エネルギー・資源』状況編12 ~まとめ2/2:今後の可能性~でも次のように述べましたが,
>例えば、 「藻のエネルギー」「木材のリグノフェノール」は、現在の石油製品に替わる燃料にするのに技術的にはそれほど難しいことではありません。
あとは、この生産を促進する開発に予算を投入すればいい。
今回のシリーズは、そのプラスチックをバイオマスから作り出す可能性について調査します。
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『次代を担う、エネルギー・資源』状況編12 ~まとめ2/2:今後の可能性~
みなさん、こんにちは
いよいよ今回で、『次代を担う、エネルギー・資源』状況編も最
終回です
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編11 ~まとめ1/2:必
要量の予測~で、次代の日本に必要なエネルギー・資源の量
を予測しました。
では、この必要量を(原子力ではなく)自然の摂理に則っ
たエネルギー・資源で自給自足していく可能性はあるのでしょうか?
この【状況編】シリーズのラスト記事となる今回、その可能性を
示します
(画像は、コチラからお借りしました。)
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