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『次代を担う、エネルギー・資源』状況編12 ~まとめ2/2:今後の可能性~

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 みなさん、こんにちは
 いよいよ今回で、『次代を担う、エネルギー・資源』状況編も最
 終回です
 『次代を担う、エネルギー・資源』状況編11 ~まとめ1/2:必
 要量の予測~
で、次代の日本に必要なエネルギー・資源の量
 を予測しました。
 では、この必要量を(原子力ではなく)自然の摂理に則っ
 たエネルギー・資源で自給自足していく可能性はあるのでしょうか?

 この【状況編】シリーズのラスト記事となる今回、その可能性を
示します
(画像は、コチラ [1]からお借りしました。)
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1)長寿命化、レンタル制への転換
エネルギー・資源問題で新エネルギー・資源をつくることは重要ですが、
それ以上に重要なのは無駄なエネルギー・資源の消費量(=廃棄量)を減らすことです。
そのためには、『製品の寿命をのばすこと=耐久化』が決定的に重要になります。
そしてそれはそんなに難しいことではなく、例えば、長寿命化した製品に対しメーカーや使用者に税の優遇を与えたり、また長寿命化商品を開発して作った企業に補助金を与えるなど、メーカーにとっても使用者にとってもメリットがある法にするだけで、長寿命化は実現の方向へ進みます。
次に、重要になるのが、『レンタル・リース制』です。
レアメタルなどのリサイクルについて調べると、市場原理(コスト)を考えれば難しいとか、一般廃棄物の地方行政の障壁など、リサイクルの回収システムが大きな壁であるというような論調は多いです。
であれば、それは商品を購入した人たちから回収するシステムを構築しようとするから難しいのであって、その前提を止めればいいのではないでしょうか。
そのために、(後述する都市鉱山の主要商品である)携帯電話、家電、車などは、販売制からレンタル・リース制にしてはどうだろう。
レンタル・リース性にすれば、確実にメーカー側に商品が戻ってくるリサイクルも可能で、資源問題や廃棄物問題にも有効です。
そして、例えば自家用車に顕著ですが、必要な時に使用する様式が促進され、不必要な使用が減り無駄なエネルギー・資源の消費量は減ります。
そしてこれもそんなに難しいことではなく、購入するよりレンタル・リースの方がメリットがあり、短期より長期レンタル・リースにすれば大幅にメリットがあるコスト設定に誘導するように法整備すればいい。
また、メーカー側にもレンタル・リース期間に応じた税優遇を与えるなどを考えればもっと確実になりますし、企業の技術開発が本当の意味で環境によい方向へ進みます

2)低密度エネルギー・資源の活用
近代以降の人類は、高密度の地下資源エネルギー(石油・石炭)を短時間で掘り起こして大量に使い、利用できない程低密度化したエネルギー・資源を廃棄物として地表にまき散らかし、地球の環境を汚染してきたのだから、次代のエネルギー・資源は、自然の摂理に則り、太陽からの大量の低密度エネルギー・資源を回収し、高密度化して使用することが基本となります。
そのためには、海外に無駄なエネルギー・資源の購入のためや、自然の摂理に反する原子力発電開発にお金を使うことから、例えば、海洋の藻エネルギー山林のリグノフェノールや、日本の河川地理に適した小水力発電太陽光発電など、海洋・河川・山林の自然に恵まれた日本の風土特性を活かした低密度エネルギーの開発にお金を使うことに舵を切れば可能性はおおいにあります。
一方、工業化・都市化してしまって消費量が増大した現在の状況では、一足飛びに上記のエネルギーだけではまかないきれないでしょうから、例えば、低密度エネルギーである太陽エネルギーを使うマグネシウムエネルギーや海洋からのコモンメタル・レアメタルの取り出しなど、海洋国日本の特性を活かし自然の摂理に沿い自給自足でき大量のエネルギー・資源採取の可能性がある技術開発にも投資していく必要もあります。

3)都市鉱山の有効活用
日本は鉱物資源の世界有数の消費国である一方、それらのほとんどを輸入に頼っています。
しかしながら、すでに必要な鉱物資源は、都市鉱山として蓄積されており、日本国内で自給可能です。
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画像の確認 [2]
あとはこれを具体的に可能にするため、分離技術の開発に予算を投入し、廃棄物の輸出禁止(国外に資源を出さない)、家電リサイクル法の撤廃、リサイクルを前提とした商品化などを行っていけばいい。

4)バイオマスによる石油製品代替
プラスチック、繊維、ゴム、塗料、合成洗剤、接着剤、農薬、医薬などの石油製品は、日本の石油消費量の19%を占めています。それゆえ、脱化石燃料そして自給自足するうえで、現在の石油製品にかわる資源を見つけなければなりませんが、その可能性の対象はあります。
例えば、 「藻のエネルギー」「木材のリグノフェノール」は、現在の石油製品に替わる燃料にするのに技術的にはそれほど難しいことではありません。
あとは、この生産を促進する開発に予算を投入すればいい。

★(状況編シリーズ)あとがき
化石燃料の発見・使用により工業生産が可能になり、大量生産・大量消費の社会構造が構築され、物的な豊かさを実現しました(もちろんエネルギー消費の殆どを占める先進国の話)。
しかし現在、そのことによる環境問題そして化石燃料の枯渇問題により、『脱化石燃料』に向かわざるをえない状況にあります。
今後は、大量生産・大量消費・大量廃棄の工業生産の時代が終焉し、工業生産に変わる次代の生産様式、次代のエネルギー・資源の有様を模索していくことは避けては通れません。

次代のエネルギー・資源を実現していく可能性は、ここまでの状況編シリーズの内容や今後の可能性を見ても分かるように、環境技術の課題も重要ですが、本質は『人々の社会共認の中身』であり、そのために『人々の認識を転換出来るように促す政治の問題』であることは明確です。

これからの時代は、私たちが何を必要とし、何に労力とお金をかけるのが皆の為になるのか、その共認内容が問われているのだと思います。
そして、『次代を担う、エネルギー・資源』について模索し判断し共認していくことは、そのことそのものを私たちに問うていることになります。
そしてそれは、生産・消費を含めた私たちの生活様式の見直しにつながる『生産の構造を大転換させる』ことになり、さらには『集団・社会の構造の大転換』を意味することにもなります。

状況編シリーズの記事目録
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編1~世界と日本のエネルギー消費の現状~ [3]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編2~運輸部門のエネルギー消費はどうなるのか?~ [4]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編3~民生部門(業務、家庭分野)のエネルギー消費の実態は?~ [5]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編4~産業部門(製造部門)のエネルギー消費の実態は?~ [6]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編5 ~石油・石炭の使用量・利用先~ [7]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編6 ~資源(レアメタル・コモンメタル)の使用状況、利用先、使用量~ [8]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況偏7 ~資源(レアメタル・コモンメタル)の自給の可能性①~都市鉱山~ [9]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編8 資源(コモンメタル・レアメタル)の自給の可能性② ~資源開発~ [10]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編9  現在の新エネルギー政策と法制度① [11]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編10  現在の新エネルギー政策と法制度② [12]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編11~まとめ1/2:必要量の予測~ [13]
『次代を担う、エネルギー・資源』状況編12 ~まとめ2/2:今後の可能性~ [14]

<了>

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