2008-11-06
『水資源』の危機!!どうする?⑭:4.どうする?(可能性の基盤は?)~1
これまで続けてきた『水資源の危機どうする?』シリーズもいよいよラスト。2回に分けてお送りします。
4.どうする? (可能性の基盤は?)
ここまで見てきたように、『市場拡大は絶対!』の固定観念のもと市場拡大が推し進められた結果、自然の摂理を超えた「水消費量の急増」「淡水の汚染」「水の自然循環系の破壊」という深刻な“水資源の危機”を招いた。現在では、それがとうとう国際的な食糧や産業の危機にまで至ろうとしている。
更にその状況に乗じて、国際金融資本をバックにした多国籍企業と国際金融機関が共謀し、生命・生存に最も直結している水までも市場化し、食い物にしていることが明らかになった。
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1)市場原理に可能性はあるのか?
■1970年頃に貧困は消滅し、市場は縮小していく構造に転換した
1970年頃迄は、貧困=飢えの圧力から逃れる為、私権(金、地位、女など)を求めるエネルギーを原動力に、市場は実体経済の中で拡大してきた。しかし、約3000年前の古代文明(これ以降が私権時代)から産業革命以降200年を経て、先進国では1970年頃には豊かさを実現して物が行き渡り、放っておけば市場は縮小してゆく構造に転換した。
■ ではなぜ、1970年以降も今まで市場が延命されてきたのか?
本来ならば、縮小する市場を前提に、新しい意識に応じた新しい社会を作る大転換期を迎えたのだが、次代の答えが見出せず、社会は統合不全に陥った。
市場拡大を基盤に特権的地位を得て暴利を貪る国際金融資本家達は、市場拡大が停止すると存在基盤を失う為、無理矢理にでも市場を延命させることに躍起になった。そして、社会閉塞に直面した国家もまた市場と結託し、無理矢理の市場拡大に活路を見出そうとしたのである。
世界が豊かになるに連れ、物的需要は下がってしまう。そこで、金融資本家達は国家を巻き込んで新たな市場開拓を目論んだ。絶対に需要が無くならない、生存に不可欠な食料や水までも商品として、市場に組込むべく独占支配に動き出し、後進国の水資源開発の為の融資、先進国を含む水道事業の民営化に乗り出した。
近年まで無理矢理市場拡大が進められてきた結果、国際金融機関の融資による水資源開発や水道の民営化に踏み切った後進国は、満足のいく結果が得られないまま借金漬けになった。また、近年の投機によるインフレで貧困国を筆頭に窮乏状態が生まれ、食料不足に端を発する暴動なども起きている。独占支配・商品化された水資源までもが入手困難になれば、世界的な水争奪戦が激化する恐れがある。
現在の水資源を巡る危機的状況の進行は、市場原理の下、市場にも、市場と結託した国家にも、決して水資源の危機を終息させることができないことを如実に示している。『市場に社会を統合する事はできない』のだ。
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