2012-11-05
地震予知の現状(6)・・・地震予知のリスクマネージメントと東海地震説
『地震予知の科学(東京大学出版会)』を元に、地震研究の世界で行われている“地震予知の現在”を押さえるシリーズの第6回です。
第1回 地震予知の現状(1)・・・地震予知とは?
第2回 地震予知の現状(2)・・・これまで何が行われてきたのか(地震予知研究の歴史)
第3回 地震予知の現状(3)・・・日本、海外の地震予知の歴史について
第4回 地震予知の現状(4)・・・この10年で何が明らかになってきたのか~「アスペリティ」は「水」がつくる?
第5回 地震予知の現状(5)・・・地震観測網・シミュレーションモデル ~地震予知の進歩と壁~
前回の記事では、
「シミュレーションの精度を上げること」と、「地震の予測精度を上げること」の間には、大きな断層があります。
シミュレーションモデルは、限られた要素に着目して現象を近似する試みであり、様々な構成要素が相互にかつ複雑に作用し合う現実の世界を忠実に再現することは困難です。
シミュレーションの限界を十分に理解し、自然の営みをより深く注視していくことで、地震のメカニズム解明→地震予知の糸口が見えてくるのだと思います。
地震予知の現状(5)・・・地震観測網・シミュレーションモデル ~地震予知の進歩と壁~と結んでいます。
たしかに地震予知は科学の進歩とともにその精度はかなり高まっています。しかし「様々な構成要素が相互にかつ複雑に作用し合う現実の世界を忠実に再現することは困難」なのも事実。
その矛盾の中で先月、イタリアで、 「地震を予想できなかった科学者らに禁錮6年」 という判決が言い渡され、世界で話題になっています。
第6回は、「地震予知のリスクマネージメント」と「地震予知の基礎を築いた東海地震」に焦点をあてます。