2022-05-18

土は生命の源であり、生物より形づくられてきた結晶

当たり前のようにある「土」。皆さんにとって土とはどのような存在でしょうか。

土に触っている子どもたちをみて、「汚いからやめなさい」などと注意している人も多く、現代人にとって「土」は縁遠い存在となりつつあるようにも思えます。

一方で、土をテーマに健やかな生き方を追求するコミュニティhttps://tsuchitohito.com/、調湿・抗ウイルスなどの効果が注目される土を用いた建築材料の登場など、土への期待が高まっていることも確か。

 

今一度、土と人、さらには土と生物の関係を押さえなおすことで、自然の摂理に即した生き方の切り口を見出していきたいと思います。

土と人2020より

 

■土から生まれ、土に還る生物たち

土をめぐる物質循環をみると、人と土の密接な関係がみえてきます。

植物は、炭素以外の窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛…といった多種類の元素をすべてを土から吸収しなくてはなりません。動物はそうした植物を食べ、肉食動物は草食動物を食べます。そして植物も、動物も、死ぬとすべて土に還ります

 

あらゆる生物は、土に居場所・栄養分を求めると同時に、積極的に土を変化させ、適応を繰り返してきました。土壌の酸性化を促す生物も、酵素を武器に土中有機物の分解を飛躍的に促進させたキノコもその一例です。

そもそも、岩だらけの荒涼とした大地からわずかな水と養分を吸収するために菌類との共生を選択し、地上進出を果たした地上最古の植物と言われる地衣類の遺骸こそが、最初の土と言われています。土と生物は切っても切り離せない存在です。

土は生命の源~土の健康・人の健康~より

 

■土も人も同じ構造で成り立っている

「土と内臓」http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1524-5.htmlという書籍でも紹介されているように、土壌細菌と腸内細菌の機能はそっくり生物多様性の中で「①栄養を得ること、②外敵から身を守ること」を成立させている。そうした生物多様性は掌や肌にもあるが、それを破壊しているのが、遺伝子組み換えであり、化学肥料、抗生物質、過剰なアルコール消毒の数々です。

 

そうした原理から、土は人と親和性が非常に高く、医学においても土の成分の一種であるカルシウムアパタイトを用いた人工骨は、他物質で生じるような拒絶反応が起こらないことも証明されています。

建築材料においても、珪藻土を用いた土壁、火山灰をもちいたシラス壁などは、吸湿性・消臭性を発揮し、人にとって心地よい空間を整えてくれます。

 

■人の働きかけによって土もかわる

切っても切り離せない、さらには人そのものとも親和性が高い土。

そんな土は、他生物と同様に人からも影響を受ける。身近にある土の特性を無視して、都合の良いように改良するために化学肥料を用いると、土は固く、貧弱になっていく。土地ごとの土の特性を見極め、有機物を施用して、丹念に土づくりをすれば、柔らかく、その土地に適した効果を発揮してくれます

土と人の歴史構造から、人から土、さらには自然との共生、生き方を見直していきたいですね。

 

次回からは、土地ごとの土の特性を見極め、健やかに共生する具体例を紹介していきたいと思います。

その中で、土のもつ、さらなる可能性を見出していきます。

  投稿者 sibata-h | 2022-05-18 | Posted in G.市場に絡めとられる環境問題No Comments »