リサイクルの本質を考える(3)~家電リサイクル法って何?~
先月から始まった 『リサイクルの本質を考える』 シリーズ。
みんなの中で、現在の環境対策は本当に良いの?という疑問が顕在してきているのではないでしょうか?
今回はシリーズ第3弾、 『家電リサイクル法』 に焦点を当て、リサイクルの本質を考えていきたいと思います。
続きはクリックしてからのお楽しみ・・・。
(1)家電リサイクル法とは
①施行日
平成13年4月1日。(平成10年6月に制定)
②目的
施行前、一般家庭から排出される家電製品のほとんどは、埋め立てられていました。しかし、埋立地には限界があります。また、排出される家電製品の中には、再利用可能な有用な資源がたくさん含まれています。「最終処分地への負荷を減らし、有用な資源の再利用を促進する」、これが家電リサイクル法の目的です。
③法律の概要(リンク)
対象は、以下の家電4品目です。
エアコン/テレビ/冷蔵庫/洗濯機
特徴は、小売業者、製造業者、消費者、国、各々の役割分担を義務化している点です。
その役割を大きくまとめると、以下のようになります。
・小売業者:引取り
・メーカー等(製造業者、輸入業者):再商品化等(リサイクル)
・消費者(排出者):収集運搬料金とリサイクル料金の負担
・国:情報提供、不当請求事業者等に対する是正勧告・命令・罰則の措置
また、メーカー等には、回収した製品を自らが分解し、その部品の中から再利用しなければならない比率である「リサイクル率」が別途定めれています。(50~70%)
なお、消費者が負担する金額は、
リサイクル料金:エアコン 3,150円/テレビ2,835円/冷蔵庫4,830円/洗濯機2,520円
+別途各小売業者が設定する収集・運搬料金
となっています。この法律の制定前は、廃家電製品については各市町村が「粗大ごみ」として500円程度で引取り、埋立て処分まで行なっていたようです。
(2)家電リサイクル法の実態
「環境に優しくクリーン」なイメージでスタートした家電リサイクル法ですが、施行後、小売店、メーカー、消費者、行政と各位相で様々な問題が発生しています。
①小売店:リサイクル料金横領問題
「コジマ、廃家電7万台超を不適正処理、家電リサイクル法違反」(リンク)
「家電リサイクル法違反で家電小売業者4社を勧告」(リンク)
「家電リサイクル法違反で量販店2社に勧告、注意」(リンク)
②消費者:不法投棄問題
家電リサイクル法施行後、不法投棄台数が大きく増加していることがわかります。
③メーカー:リサイクル偽装問題
「日立、冷蔵庫不当表示で排除命令 公取委、リサイクル樹脂使わず」(リンク)
④行政:大阪府独自の家電リサイクルシステム「大阪方式」問題
国の政策意図に反し、なんと大阪府は、別のリサイクルシステムを独自に採用し、国といがみあっているようです。(リンク)
などなど。役割を分担するはずが、全ての位相で問題が生じているのはなんとも皮肉なものです。
(3)まとめ
これだけ多くの問題が全ての位相で発生しているということは、現実的に必要、有用な法律であるとは到底思えません。また、まだ使える製品であっても、一度このシステムに乗ってしまえば、全て分解され廃棄される運命になる(中古品として売ると横領罪)というように、本来の目的からかけはなれたものになっています。
「環境問題」とは、一言で言ってしまえば「市場拡大を優先してきた社会システムの破綻」である。破綻しているのは、地球ではなく、市場主義という人類社会なのだ。
事実追求のスタンスに立ち、このように捉えれば答えは明確になる。
すなわち「環境問題」を解決するには、「市場拡大を優先してきた社会システム」を転換してしまえば終いである。(るいネット)
『本当に必要なのは、大量生産、大量消費の抑制』
製造者、販売者、消費者、お役人、みんな潜在思念では理解しているハズ。
「家電リサイクル法は、この意識を、捨象し、誤魔化し、自由な消費と市場拡大を正当化するためにできた法律なのかもしれない。」
今回調べてみて、改めてそう感じました。
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『リサイクルの本質を考える』シリーズのバックナンバー
第1弾 「リサイクルの本質を考える(1)」
第2段 「リサイクルの本質を考える(2)~ペットボトルをジャンジャン使えばリサイクル??」
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