2009-11-03

シリーズ新エネルギー⑥『セルロース系バイオマス技術の動向』

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※画像はあめじゃむさんからお借りしました。
現在、第一世代バイオ燃料として、トウモロコシやサトウキビが用いられているが、農地に限りがあり、原料作物の栽培を増やしても第一世代バイオ燃料では長期的な解決にはなりにくい。第一、食糧(飼料)問題とバッティングしている分なおさら可能性は低い。
そんな中、セルロース(≒茎)系バイオマスが注目を集めている。
日経サイエンスではこのようなセルロース系バイオマスを“グラソリン(=植物(グラス)のガソリン)”と呼び研究動向を発表した。

間伐材や雑草,トウモロコシの茎や稲わらといった植物の食べられない部分を原料として燃料を生産できる。しかし,植物を形作る成分であるセルロースは,トウモロコシの実のように簡単には糖に分解しない。現在,発酵可能な糖を高収率・高濃度で生産でき,かつ適度な初期コストで実施できる方法が研究されている。
日経サイエンスより引用

引用にもあるように、セルロースから簡単に糖を取り出すことはできない。
何故か?まずはその中身を抑えてみよう。
●セルロースってどんなもの?
バイオマスのエネルギー利用では、植物に含まれるセルロースから糖類を取り出し(=糖化)、その糖類からエタノールやメタノールといった燃料を取り出す(=発酵)といった過程を踏むことになる。
植物を構成している部品はすべて同じ(=単糖類)で、セルロース(=多糖類)とはその単糖類同士が互いに強固に結合し、結晶構造を成している。
植物の外圧適応として、進化の過程でできあがったのがセルロースであり、ちょうど高層建築物を支える鉄骨のように一定の立体構造を有している。
またセルロースは、ヘミセルロースとリグニンの”縄”で互いに結びつけられており、さらに複雑な構造をしている。エネルギーを取り出すには、“セルロース自体を低分子化させる作用”と、この“リグニンとヘミセルロースによる紐を解く作用”の二段階の分解作用が必要になる。
要するに、これだけ複雑構造であるが故に分解が困難なのだ。
現在セルロースから燃料を取り出すために、様々な研究がなされている。この分解技術の事例を3つ程紹介していこう。
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