2022-04-15

表皮を構成する「ケラチノサイト」は、電磁波である光、色、電気、磁気などのあらゆる波動を感知し、電気信号へ変換するセンサーになっている

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生物の感覚器について進化の歴史を辿ると「皮膚」がまずできていることが分かる。
初期の多細胞生物はクラゲのような動物だったと思われる。彼らは「皮膚」で海水の温度、流れ、PH値を感知するシステムを持っている。

その後の進化で生物は、皮膚表面を鱗や羽毛、体毛で覆うようになり、感覚器は眼、鼻、舌に集約されていったが、人類になる際に、体毛をなくして再び皮膚を感覚器として使い始めた。

特に注目すべきは皮膚の表層にある「表皮」だ。表皮は「ケラチノサイト」と呼ばれる細胞で構築されており、このケラチノサイトが様々な環境からの刺激を感知する機能を持っていることが昨今の研究で分かってきた。

ケラチノサイト

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例えば、電磁波である光、色、電気、磁気、音、温度、大気圧、酸素濃度、その他物理的な現象全てを感知する能力を持っている。さらに、嗅覚、味覚に関係する様々な分子を識別する能力を持つことも明らかになっている。
つまり表皮は、五感全てと、眼や耳で感知できない紫外線、超音波、磁場などまで感知できる驚くべき感覚器官といえる。
さらにケラチノサイトには、大脳の情報処理の基礎となる情報伝達物質と、それらによって作動される受容体も存在し、機能している。

受容体のひとつが、カルシウムイオンだ。ケラチノサイトに機械刺激や温度刺激を与えると細胞内カルシウムが上昇することが分かっており、しかもそのカルシウムは細胞内カルシウム振動を起こしており、連続的なカルシウム波を生み出している。
そして、受容体の活性化は細胞内イオン濃度の変化や細胞膜電位の変化として電気的情報になり、神経細胞へと伝わっていく。

また、実は体毛をなくした120万年前と同じタイミングに、人類の脳の容量が大きくなり始めたといわれている。
全身のケラチノサイトの数は1000億にも達しており、その全てから情報が送られてくるとするならば、莫大な情報を処理するために脳が大きくなるのも理解できる。

全身の皮膚を環境にさらすことで脳を大きくした生物は、人類の他にもタコやイカ、エレファントノーズフィッシュがいる。
ネズミの脳の神経細胞が1億であるのに対して、タコは2億(足を入れたら5億)、イカはそれ以上。さらに、エレファントノーズフィッシュの体重に対する脳の重さの比率は人類以上だという。

ケラチノサイトこそが、体外からのあらゆる振動エネルギーを電気信号へ変換し、生物エネルギーや脳への指令を出している可能性が見えてきた。

参考:サバイバルする皮膚(河出新書)
表皮機能におけるカルシウムの役割(京都大学数理解析研究所 数理解析研究所講究録:資生堂リサーチセンター 傳田 光洋 氏)

  投稿者 二鳥土入 | 2022-04-15 | Posted in M01.身体の自然環境, 波動と生命エネルギーNo Comments »