2008-06-17

ビタミンC発見の歴史

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このところビタミンCの記事が多いですねぇ~。
そもそもビタミンCはどうして発見されたのでしょうか?
その発見の歴史を調べてみました。

大きくはビタミンCの発見の歴史は「壊血病」対策の歴史なのです。
ヨーロッパ中世(16世紀から18世紀)の大航海時代に、もっとも恐れられたのは「海賊 」ではなく「壊血病」という病気でした。
当時、長期間に渡っての航海の中で、多くの船員達がこの病気で命を落としたそうです。

現在、余り聞き慣れない「壊血病」と、よく耳にする”ビタミンC”との関係のナゾを一緒に解決して行きましょう!

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さてまず壊血病と言う病気の症状を確認しましょう。

壊血病の症状:脱力や体重減少、鈍痛に加え、次のような症状が見られる。
・皮膚や粘膜、歯肉の出血およびそれに伴う歯の脱落、変化 創傷治癒の遅れ
・低色素性の貧血
・感染への抵抗力の減少
・古傷が開く

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バスコ・ダ・ガマのインド航路発見の際には160人の乗組員のうち、なんと100人が壊血病で死んだという記録が残っています。よく昔話に出てくる幽霊船 というのは、乗組員全員が壊血病で死亡したまま、海を漂っていた船ではないか、とされている。

この壊血病の治療に大きく貢献したのが、イギリスの海軍医ジェームズ・リンド氏です。
この人は1747年、壊血病に罹った船員に、毎日オレンジ2個、レモン1個を食べさせて健康が回復すことを実証した。このようなことからイギリスでは、長期航海の際は、レモンジュースやライムジュース、ザワークラウト(キャベツの漬物)の支給が義務づけられました。

*長期航海では新鮮な柑橘類を確保することは難しい。しかもジュースは加熱処理されていてビタミンCの効果はなかったと考えられ、実際はザワークラウトの方が効果があったらしい。したがって壊血病の根絶には、その後も相当の時間がかかっている。

経験的には、レモンなどの柑橘類に壊血病を治す物質があることはわかったのですが、それがビタミンC効果だとわかったのは20世紀に入ってからです。
1927年、ハンガリーのセント・ジョルジ氏が牛の副腎から強い還元力(活性酸素を消して酸化を防ぐ力)のある物質を分離してそれをヘキロス酸と命名しました。

その5年後にアメリカのグレン・キング博士がレモン果汁からビタミンCを分離結晶化し、これがヘキロス酸と同一物質であることをつきとめました。このことからセント・ジョルジ氏がビタミンCの第一発見者とされるようになり、セント・ジョルジ氏は1937年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。


さらに1933年に、イギリスのノーマン・ハワース卿ビタミンCの構造式を決定して、化学名称をアスコルビン酸と名付けました。

*アスコルビン酸は、英語で「ascorbic acid」、これは「壊血病にならない酸」という意味です。
このことによってノーマン・ハワース卿は1937年にノーベル化学賞を受賞しました。
また同年(1933年)、スイスのライヒ・シュタイン氏がビタミンCの合成に成功してこの商業生産に関する一連の特許を取得。それをスイスのホフマン-ラ・ロッシュ社に売却しました。その後、このロッシュ社は世界最大のビタミンC製造メーカー(世界的薬品メーカーで日本の中外製薬もその傘下になっている)となり、また最近話題になっているインフルエンザ薬タミフルの製造元としても有名になっています。

これをまとめると

1747年 ジェームズ・リンド医師が壊血病対策として柑橘類が効果ありと発見

1927年 セント・ジョルジ博士がビタミンC(当時はヘキロス酸)を発見

1933年 ノーマン・ハワース卿がビタミンCの構造式を決定し、化学名称をアスコルビン酸と命名

1933年 ライヒ・シュタイン氏がビタミンC(アスコルビン酸)の合成に成功
     その後、商業生産に関する一連の特許をスイス ロッシュ社に売却

     
セント・ジョルジ博士は“ビタミンCだけを取り出して摂取しても効果ないこと”を知っていて、だから“野菜や果物から摂取すべきだ”と訴えていたらしい。


どうやらロッシュ社が関わってきたあたりから、ビタミンCが「商品」として市場に登場してきた。

新たな市場拡大のために、過酷な状況下の大航海を行い、そのために発生した「壊血病」の対策という必要に迫られて、人類はビタミンCの存在を発見した。
しかしもはや航海技術や保存技術の発達で「壊血病」が大きな問題にならなくなっても、ビタミンCを使って美容・健康という日常生活の中に新しい市場を作り出し、振り回されているている、という皮肉な構造にあるのだと思います。

市場拡大⇒大航海→壊血病問題⇒どうする?⇒ビタミンCの発見
  ∥                               ∥
  ∥                               ∨
   ⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒新たな市場の創出→新たな問題の創出

List    投稿者 goqu | 2008-06-17 | Posted in 未分類 | 4 Comments » 

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コメント4件

 みかん | 2008.10.03 12:17

トマトのリコピンだったり、お茶のカテキンだったり、カカオのポリフェノールだったり、一つの成分を抽出して多く配合した商品がたくさん市場には出回っていますね!!
「その成分だけを摂取すればよい」というお手軽さに、ついつい手を伸ばしてしまいます(;一_一)
でも、目先のある1成分に安易に飛びついて
>つまり、要素還元主義的な考え方ででてきた研究結果を利用して、市場が無理やり拡大され、
結果、私たちの体も、環境も、どんどん破壊されていっているのです!!
ということになってしまっては、元も子もないですよね(>_トマトのリコピンだったり、お茶のカテキンだったり、カカオのポリフェノールだったり、一つの成分を抽出して多く配合した商品がたくさん市場には出回っていますね!!
「その成分だけを摂取すればよい」というお手軽さに、ついつい手を伸ばしてしまいます(;一_一)
でも、目先のある1成分に安易に飛びついて
>つまり、要素還元主義的な考え方ででてきた研究結果を利用して、市場が無理やり拡大され、
結果、私たちの体も、環境も、どんどん破壊されていっているのです!!
ということになってしまっては、元も子もないですよね(>_<)

 リンゴヨーグルト | 2008.10.03 22:09

僕の周りにも、このてのお茶類を愛飲するかたが何人かいます。。。
んー、改めて野菜や植物の育て方と一緒で、何事も自然界の中から、一つの部分だけを切り出して、商品にしようとする発想がずれちゃっていますね。
本当のおいしさ=体に良いものは、自然の摂理を基本にしていることを、もっとみんなに発信していきたいですね!。

 やまずん☆ | 2008.10.07 21:13

みかんさん、コメントありがとうございます♪
>「その成分だけを摂取すればよい」というお手軽さ
わかります!
うすうす、そんな都合のいい話しないよな…なんて思いつつ、でも買っちゃうんですよね。。。
みかんさんも、一緒に自然の摂理を学びましょう☆

 やまずん☆ | 2008.10.07 21:18

りんごヨーグルトさん
コメントありがとうございます(*^.^*)
>本当のおいしさ=体に良いものは、自然の摂理を基本にしていることを、もっとみんなに発信していきたいですね!
ですね♪
「これは体にいい」なんて頭ではなく、体で「おいしい」と感じることを大切にしていきたいですね。
私たちの体は、これまでの自然の摂理が塗り重ねられてできているのですから、そこに素直になりたいですね☆

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