【地震と水】~第1回:(プロローグ)水が地震を引き起こす!?~
(引用は地震情報からです。)
・4月13日・淡路島の地震 (マグニチュード6.3、最大震度6弱(上図参照))
・4月17日・伊豆諸島近海地震(マグニチュード6.2、最大震度5強)
・4月17日・宮城県沖地震 (マグニチュード5.8、最大震度5弱)
・4月19日・千鳥列島地震 (マグニチュード7.0、最大震度4)
最近また地震が増えてきたと感じませんか?
最大震度4以上の地震が上記のように立て続けに日本を襲いました。被害は、さほど大きくは無かったものの、2011年3月11日の東日本大震災の記憶もあり、再び、巨大地震が来たかという不安が一気に高まったのではないでしょうか?
今までに、【地震のメカニズム】シリーズ(17回)で、既存の基本的な地震理論を調べてきました。
今回はもう一歩進めて、地震発生と関わりが深い『水』に着目して、地震のメカニズムを解明していきたいと思います。
『水』?って思われるかもしれませんが、実は、水が原因で地震が引き起こされたのではないかと思われる事象が多数報告されているのです。第1回目は、水が影響したと考えられる地震の現象を紹介したいと思います。
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●水が引き起こした地震の事例
【デンバー地震】
米国コロラド州のデンバー市のすぐ北東で深い井戸を掘って、放射性の汚染水を捨てたことがある。米空軍が持つロッキー山脈兵器工場という軍需工場の廃液であった。
それまでは地表にある貯水池に貯めて自然蒸発させていた。厄介ものの汚染水を処分するには自然蒸発よりはずっといい思いつきだと思って始めたのに違いない。井戸の深さは3670メートルもあった。大量の汚染水を捨てるために、圧力をかけて廃水を押し込み始めた。
この廃液処理を始めたのは1962年3月のことだ。3月中に約16,000トンもの廃水が注入された。
4月になって間もなく、意外なことが起きた。もともと1882年以来80年間も地震がまったくなかった場所なのに、地震が起きはじめたのだった。
多くはマグニチュード4以下(以降、マグニチュードはMと示す)の小さな地震だったが、中にはM5を超える結構な大きさの地震まで起きた。もともと地震活動がごく低いところだから、生まれてから地震などは感じたこともない住民がびっくりするような地震であった。人々はこの工場での水の注入が地震を起こしていることに気づき、ちょっとした騒ぎになった。
そこで、1963年9月いっぱいで、いったん廃棄を止めてみた。すると、10月からは地震は急減したのである。
しかし、廃液処理という背に腹は替えられない。ちょうど1年後の1964年9月に注入を再開したところ、おさまっていた地震が、突然再発したのである。
そればかりではなかった。水の注入量を増やせば地震が増え、減らせば地震が減ったのだ。1965年の4月から9月までは注入量を増やし、最高では月に3万トンといままでの最高に達したが、地震の数も月に約90回と、いままででいちばん多くなった。水を注入することと、地震が起きることが密接に関係していることは確かだった。
量だけではなく、注入する圧力とも関係があった。圧力は、時期によって自然に落下させたときから最高70気圧の水圧をかけて圧入するなど、いろいろな圧力をかけたが、圧力をかければかけるほど、地震の数が増えた。
このまま注入を続ければ、被害を生むような大きな地震がやがて起きないとも限らない。このため地元の住民が騒ぎ出し、この廃液処理計画は1965年9月にストップせざるを得なかった。せっかくの厄介者の処理の名案も潰えてしまったのであった。地震はどうなっただろう。11月のはじめには、地震はなくなってしまったのであった。
こうして、合計で60万トンという廃水を注入した「人造地震の実験」は終わった。誰が見ても、水を注入したことと、地震の発生の因果関係は明らかであった(下図参照)。
(地震の回数と注入した汚水量の関係図・基礎統計学講座@ウイキより引用)
地震の総数は約700、うち有感地震は75回起きた。震源は井戸から半径10キロの範囲に広がり、震源の深さは10キロから20キロに及んだ。これは井戸の深さよりも数倍も深い。これは井戸からまわりに水がしみ込んでいったためだろうと考えられている。
【ダムと地震】
巨大ダムを作ったために、水が地中に浸透し、地震が起きたり、あるいは地震が増えたことが世界各地のダムで確認されている。
米国のネバダ州とアリゾナ州にまたがるフーバーダムは高さ221メートルもある大きなダムだが、1935年に貯水を始めた翌年から地震が増え、1940年にはこのへんでは過去最大になったM5の地震が起きた。地震の震源は地下8キロにあった。もちろんダムの底よりはずっと深い深さだ。しかし、これはダムを作ったために起きた地震だと考えられている。
また、アフリカのローデシアとザンビア(ジンバブエ)の国境にダムを作って1958年からカリバ湖に貯水を始めた。高さが128メートルあるダムで、世界最大の人造湖が出来た。ダム建設前から近くで小さな地震が起きているところではあったが、貯水が始まってから満水になった1963年までに地震が急増し、2000回以上の局地的な地震が起きた。満水になった年には、M5.8の地震が起きて被害が出た。松代群発地震での最大の地震よりは大きな地震だ。
そのほか、高さ105メートルの中国広東省にある新豊江ダムでも1959年にダムの貯水が始まったあと地震が増え、1962年にM6.1の地震が起きた。この地震では幸いダムは壊れなかったものの、ダムの補強が必要になったほどの被害があった。この地震後も小さな地震は活発に起きていて、地震後10年で地震の数は25万回にも達した。中国ではこのほかのダムでも地震が起きており、いま作られている巨大ダム、三峡ダムでも地震の発生を心配している地震学者も多い。
これらのダムでの地震は、幸いなことに、大きな被害は生まなかった。しかし、じつはダムを作ったために起きた地震が大きな被害を生んだこともある。
1967年にインド西部でM6.3の地震が起きた。177人、一説には200人が犠牲になったほか、2300余人が負傷した。この地震は近くにコイナダムという高さ103メートルのダムを造ったことによって引き起こされたものだというのが地震学者の定説になっている。
以上は、『人間が起こした地震』より引用させて頂きました。
その他にも、ダムと地震の関係については、いろいんな事例が報告されています。最近の地震では、4月26日に中国で発生した四川雅安地震(M7)も、巨大ダムが原因では?!と言っている学者もいます。またM8を記録した、2008年の四川大地震も、ダムが引き金なったとの見方が出ています(引用記事)。
また、安価なエネルギーとして注目を集めているシェールガスの採掘では、多量の水を地中内に注入するので、地震が誘発されるという記事もあります(参考記事)。
以上の事例は、人工的に地中部に水を注入した(浸透していった)場合に発生した地震ですが、これらからでも、地震と水との深い相関関係が推測出来ますね!!
では、関東大震災、阪神淡路大震災、311の東日本大震災(2011年3月11日))などの、大きな被害を引き起こした地震も水と何か関係はあるのでしょうか??
実は、これらの大地震も水との深い関係があることが少しずつ解明されてきているのです!!これらの学説は、いずれ、このシリーズで紹介したいと思います(楽しみにしていて下さい)。
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以上の事例からわかるように、水は地震のメカニズムを解明する上で、重要な要因になりそうです!
そこで、次回以降、『地震発生と水~地球と水のダイナミクス~』(東京大学出版会 笠原氏、島海氏、河村氏共著)という専門書も参考にしながら、地震のメカニズムを解明していきたいと考えています。ありがとうございました。
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