2013-11-02

電磁波の生体への影響5 ~ 電磁波は、電子の運動量が転化した「場の変化」のエネルギー

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シリーズのここまで、電磁波の生体への影響を追求するうえで、「自然電磁波と人工電磁波の違い」そして「電子の運動状態から電磁波の発生メカニズム」について追求してきました。

電磁波の生体への影響1 ~プロローグ:生物は進化過程で電磁波を経験しているから問題無いと言えるか?~
電磁波の生体への影響2 ~自然界の電磁波は、周波数を持たない!!~
電磁波の生体への影響3 ~電磁波とは、電子を動かしたときに起きる「エネルギーの波」である~
電磁波の生体への影響4~電子の運動に加速度がつくほど、電磁波の量が増える~

今回は、「電磁波とは?」 そのことについて“電子と場の相互作用”から考えていきます。

以下、引用部は、「電磁気力と場, 光  三井隆久」から引用させて頂いた内容です。

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◆ 電荷と電荷の間には“静電気力”という力が作用する

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II. 電荷-電磁気現象の最も重要な物質的実体

ガラスと毛糸をこすると両者間に力が働く(いわゆる静電気)。こする前と比較して、こすったあとの物質には何か新しい性質もしくは物質があるから、力が働いているとみなす。(神秘的な何かがあるなどとは思わない。)この力を静電気力と呼び、静電気力の源になっている何か(実体)を電荷と呼ぶ。従って、電荷間に力が働くのは「定義から自明」ということになる。

電荷は質量と同じように、この世の中の物質が持っている性質である。質量に重力という力に関連した性質があるように、電荷には静電気力という力が作用する。観察結果によれば電荷間には引力が働く場合と斥力が働く場合があり、このことを正負の2 種類の電荷で表現する。同じ符号の電荷どうしは斥けあい、異なる符号の電荷どうしは引き合う。これらは、実験により得られる事実である。電荷の実体について調べると、原子を構成している電子や原子核に電荷という性質が備わっていることがわかった。具体的には、原子核には正の電荷があり、電子には負の電荷がある

異なった物質をこすった時に生じる静電気は、電子を用いて説明できる。物質は種類や形状によって電子を受け取りやすかったり、失いやすかったりする
これゆえ、異なる材料や形状の物質を接触させ、引き離すと一方の物質から他方へわずかだが電子が移動する。この結果、物質中の正電荷と負電荷のバランスが崩れて、物質が静電気を帯びるようになる。

セーターを脱ぐときの火花や、雷など不快な静電気現象は多い。日常生活で静電気は不都合な場合の方が多いので、なぜ、静電気現象が生じるのかと疑問に思うかもしれない。しかし、物質を構成する原子が電荷を持つ電子と原子核からなるのだから、もっと多くの静電気現象が身近に存在しても不思議ではない。むしろ、静電気現象が身近に少ないことの方が不思議である。
これは、静電気力が比較的大きな力で、小さくて軽くて動きやすい電子に作用すると電子がすみやかに動いて、我々が気づく前に静電気力を打ち消してしまうからである。

電荷は静電気力の担い手であるから、電荷の大きさは力の大きさを用いて定量化する。
電荷を定量化して調べた結果、安定な物質で電子の電荷より小さい電荷を持った物質は発見されず、さらに世の中にある全ての電荷の大きさが電子の電荷の大きさの整数倍であることが分かった。
電荷を定量的に表現するための単位はC(クーロン) である。

原子の“電子の受け取り易さもしくは失い易さは、「電気陰性度(電子の受け取り易さ)」という概念で表わします。(※周期律表の右上の原子ほど電気陰性度が大きくなる)
電気陰性度は、原子核の周りに配置する電子雲の状態(軌道殻の数とそこの電子の位置と数、不対電子の状態)で決まり、全原子(118元素)全て異なっており、各原子固有のものです。
そのため、物質同士が近づくと電気陰性度の差から、電気陰性度の小さい原子から電気陰性度の大きい原子へ電子が動きます。その結果、物質の正の電荷と負の電荷のバランスが崩れ、電荷間に静電気力が作用することになります。

そしてこれは、物質が接触した場合だけではなく、離れた電荷同士でも力を及ぼし合っているのです。

◆ 電荷同士は電磁場を通じて力を及ぼし合っている

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III. 場

電磁気現象は静電気力や磁力の発見に始まり、静電気力や磁力は物質間に生じる力として観察される。これゆえ、静電気に関連した現象は物質の性質のように思われるかもしれない。しかし、静電気に限らず、電磁気現象は物質のみでなく空間(真空)の性質でもある
広がりのある空間に何らかの働きがある場合、その空間を場(Field) と呼ぶ。したがって、電磁気力は場を作る
A. 電場と磁場
静電気の実験を行うと電荷を持つ(帯電した)物体間に力が働くように見えるが、この現象を見たイギリスのファラデーは、この力が電荷と電荷の間に作用しているのではないことに気づいた。
ファラデーによれば、電荷は周囲の空間の性質を変え、性質の変わった空間が別の電荷に力を作用させるのである。電荷によって性質の変わった空間を電場という。従って、電荷はその周囲に電場をつくり、電場の中に別の電荷をおくと、電場が電荷に力を及ぼす。力には向きと大きさがあるので、電場はベクトル場である。

電場の単位はV/m (=N/C) であり、Q(C) の電荷に電場V (V/m) が作用すると、その電荷にはF = QV (N) の力が作用する。
同様に、磁石が2 個あると、吸い付いたり退けあったりする。この現象を一方の磁石が周囲の空間の性質を変えて、性質の変わった空間が他方の磁石に力を作用させていると考える。このとき、磁石によって性質の変わった空間のことを磁場という。

電荷と電荷の間に作用している力は「直接力」ではなく、場を介在した「間接力」なのです。
電気陰性度の差から動いた電子は、周囲の空間の性質を変え、電位差のある空間(=電場)をつくります。
同時につくられた電場が、その電場にある他の電子に力を及ぼし、その電子はそれに応じて動きます。
つまり、「電荷と場とは相互作用の関係」にあるのです。

電磁場、重力場という概念は、場の発生源(電荷、磁石、質量)が静止している場合には必要ありません。しかしながら発生源の大きさや位置が時間変化する場合(電荷や質点が運動する場合)に、場という概念が必要になります。

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B. なぜ、場という概念が必要なのか

電場・磁場という概念に対する上述の説明では、電荷同士・磁石同士に力が働くことを、場という分かりにくい概念を用いて難しく言い換えただけで、新しいことが無いように思われるかもしれないが、そうではない。電場や磁場は空間の持つ性質であり、電荷が無くても電場は単独で存在し、磁石がなくても磁場は単独で存在する

電場や磁場は発生源とは独立に存在でき、空間の性質であることを示すため、例として電磁石を用いた実験を考えよう。
電磁石A に電流を流すと電磁石A から磁場が生じ、別の磁石B に力を及ぼす。磁石B に作用する力を測定しながら、ある瞬間に電磁石A の電流を切ったとしよう。電流を切った瞬間に電磁石A は磁石でなくなる。ところが、実際にこの実験を行うと磁石B にはしばらく力が作用し続ける。
この現象は、電磁石A と磁石B が直接力を及ぼしあっていると考えると説明できない。しかし、磁場は空間の持つ性質であるとすれば簡単に説明できる。

電磁石A に電流を流すと、周囲に磁場が作られ、磁石B に力を及ぼす。電磁石A は電流を切るともはや磁石ではないが、周囲に磁場が残る。残された磁場は電磁石A の周囲から徐々に消えてゆき(波のように伝わっていくことで消える)、有限の時間を経たあと、磁石B の周囲の磁場(電磁石A によって作られた磁場)が消え、力が作用しなくなる。
磁場は磁石や電流から生じるが、磁石や電流と独立した空間の性質である。

このように、電荷や磁石の大きさや位置が時間変化する場合には、場という概念を用いないと説明できない現象がある。身近な時間変化する電場・磁場としては電磁波がある。電磁波は、発生源である電荷や磁石が消滅しても空間を伝搬する
たとえば、懐中電灯や星から発せられた光(電磁波の一種)は、発生源が消滅しても宇宙空間をどこまでも伝搬していく。

電場や磁場は電荷の運動量(≒エネルギー)を変換する機能をもった特別な性質の場所といえます。

場というのがどのような空間なのか?
それを電荷という素粒子の動きよりも人間の感覚機能で捉え易い重力場だと理解が進みます。

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C. 重力場

重力は、質量を持つ物体間に作用する力のように見えるが、静電気力や磁力のように空間の性質である。場という概念を用いると重力は、質量を持つ物体が周囲の空間の性質を変え、性質の変わった空間が別の質量に力を及ぼすとして理解する。
質量を持った物体に力を及ぼすように変化した空間のことを重力場という。
たとえば、地球は質量を持っているので、地球の周辺の空間は質量に力を及ぼすように変化している。
地上で生活する我々が下方に引っ張られているように感じるのは、地球周辺の重力場が我々のような質量を持つ物体に力を及ぼしているからである。

重力場という概念も電場・磁場と同様に、場の発生源が静止している場合には必要なく、質量どうしが直接力を及ぼし合っていると考えても結果は同じである。
しかしながら重力源が変化する場合(質点が運動している場合)には違う。太陽の周囲を公転する地球を考えてみる。ケプラーの法則に従って、楕円軌道を描いて地球は公転しているが、ある瞬間に太陽に力を働かせて動かしたとする。すると、その瞬間から重力場は太陽の周囲から外側に向かって変化をはじめ、太陽が移動してから8 分後に地球の公転軌道が変化し始める。それまでは地球の公転軌道は変化しない。

このように、重力場では、場と質量を持つ物質が相互作用して、質量をもつ物質同士が重力場を通じて関係し合っているのです。
同様に、電荷同士も、場と電荷が相互作用して、電磁場を通じて関係し合っているのです。
そして、場と電荷、電荷同士の相互関係を繋いでいるのが“電磁波”です。

◆ 電磁波は、電子の運動量が転化した「場の変化」のエネルギー

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電磁場は太鼓膜やゴム膜と同じ振る舞いをするので、それらを用いて正確な説明ができる。ゴム膜をピンと張ると、鏡のように平らになる。この状態は磁場や電場の無い空間に対応する。膜を指で押すとへこむ。この状態は、磁石や静電気で変化した空間、すなわち静磁場や静電場のある状態に対応する。膜が大きく変形するほど、大きな場に対応する。

ここで、膜を押している指を振動させてみよう。すると、指の振動は膜全体に波のようになって伝搬していく。同様の現象が磁石や静電気でも生じ、これが電磁波である。
電磁波の発生は単純で、磁石や静電気(電荷)を振動運動させればよい。厳密に言うと、電磁波を発生させるためには、磁石や電荷の速度を変化させる(加速度運動)だけでよいことが分かっている。

携帯電話で利用しているような電磁波は、電気回路を用いて特定の周波数の交流(電流の流れる向きが変化する電流)を作り、交流をアンテナに接続することで発生させている。
アンテナというのは、アンテナという特別な物があるわけではなく、ただの金属である。金属内には原子核の束縛を離れて自由に動ける自由電子があり、金属に電場を加えると、電場から力を受けて動く。(先に説明したように、電場は電荷に力を及ぼすように変化した空間である。)
交流電圧によって作られた電場は向きが変化するので、金属内の電子に作用する力の向きも変化し、自由電子が加速度運動して、電磁波が放射される。

電子が加速度運動すると、場が変化し、電磁波が発生します。
そして同時に、電場の変化により発生した電磁波により、その場に存在する他の電子は影響を受け変化します。
電磁波とは、電荷の運動量が転化した「場の変化」そのものだと捉えられます。

◆ まとめ

物質同士が近づくと電気陰性度の差から電子が動くことで、正の電荷と負の電荷のバランスが崩れ、電荷間に静電気力が作用する。
電荷と電荷の間に作用している力は「直接力」ではなく、場を介在した「間接力」である。
電場や磁場は、電荷の運動量(≒エネルギー)を変換する機能をもった場所である。
電子に人工的な電圧や自然環境変動に伴う外圧が働き、電子が加速度運動すると電磁場は変化する。
電磁場が変化すると、場に充満しているエネルギー状態が偏在し、それが電磁波として顕現する。 つまり、「電磁波とは場の変化」そのものと言える。
場の変化である電磁波により、その場に存在する他の電子が影響を受け運動状態を変化させる。 つまり、電荷と場とは相互作用の関係にある。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

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電荷の運動状態の変化(加速度運動)は、場にエネルギーを与え場を変化させる。同時に変化した場より他の電荷はエネルギーを受け運動状態を変化させ、その電荷をもつ物質の状態を変化させる。
このことは、電荷の集積である人間も同じであって、場に影響を与えるのと同時に、場より影響を受けており、場の変化である電磁波から少なからず影響を受けていることは間違いないでしょう。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

次回から、いよいよ「人工電磁波が影響を与えた場から、人は何がどれほど影響を受けるのか?」のシリーズテーマの核心に入っていきます。

List    投稿者 kirin | 2013-11-02 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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