電磁波の生体への影響~電磁波とは、電子を動かしたときに起きる「エネルギーの波」である~
電磁波3回目です。今回と次回の2回に渡り、人工電磁波について扱っていきます。
電磁波は私たちの五感で感じることが出来ないので、気付きにくいですが、例えば携帯電話も、テレビに映像が映るのも、全て電磁波によるものです。私たちの身の回りには、電磁波で溢れかえっているのです。
そのように生活の中で使われる電磁波は、すべて「人工電磁波」です。
??では「人工電磁波」とはどのようなもので、どうやってつくられるのでしょうか?
その前に、応援クリックよろしくお願いします。
◆ ◆ ◆ 電磁波とは、電子を動かしたときに起きる「エネルギーの波」である
◆電磁波の発生するメカニズム(発信)
電磁波が起こるメカニズムは、様々なモデルで説明されます。よく使われるのは、電界と磁界が互いに影響を与えながら・・というモデルです。(下図)
しかしこのモデルは、いまいちよくわかりません。
ではもう少し、根本的に見て行きましょう。
電線の中を電流が流れると、電子が動き出します。電子が動くと磁界が発生します。
ここで注目したいのは、「電磁波は、交流電流で起こる」ということです。
では交流電流は、このあとどうなるかというと、電流の向きが変わり、電子は一度止り、
反対側に向かって再び動き出します。
そうすると磁界は一度無くなり、今度は反対向きに発生するのです。
そうして、これを繰り返すことで交互な方向の磁界が生まれ、波となり空間を伝わるのです。同時に電界は磁界の周りに発生します。上記の絵に、電界を重ねると、以下のようになります。
ここからわかるように、電磁波は電子が「動くたびに」発生します。電子が動くためには、エネルギーが必要です。
よって「電磁波は電子にエネルギーが加わると発生する」といえます。
では一方、電磁波を受信する場合のメカニズムはどうなっているのでしょう??
◆電磁波を受信するメカニズム
電磁波を受けた電線は、下図のように電磁波の電界の影響を受けて、電線内の電子が動きます。
これは、発信側と同じ電子の動きになるのです。このようにして発信側の電子の動きと同じ電子の動きが受信側にも起こります。
さて先ほど、電子を動かすにはエネルギーが必要だと言いました。そして受信側も電子が「動いて」います。
これは電子を動かす「エネルギー」が電磁波という形で、空間を伝わっている事です。
つまり、「電磁波」とは電子が動いたときに起こる、「エネルギーの波」他ならないということなのです。
そしてこのようにして、電磁波を発信する側と同じ電子の動きを、受信できるという仕組みを利用したものが、電磁波による通信です。
??では電磁波で、通信する仕組みはどのようなものなのでしょうか?
◆ ◆ ◆ 波形や、周波数、振れ幅を人工的に変化させた特殊な波で信号のやり取りを行なう
通信の仕組みは、モールス信号のように、音声情報、画像情報をあるルールを決めた信号に変換し、その信号に合わせて発信側は、電磁波を「変調」し発信します。
受信側は、信号を受け取ると、信号を逆変調し音声情報や画像情報に戻し読み取るのです。
この変調には大きく2つの方法があります。振幅を変調するAM (Amplified Modulation )、そして周波数を変調するFM (Frequency Modulation 略)です。
この図からわかるように、どちらの波形も定常的に変化していくのがわかります。
また最近多く見られるデジタル波形は、上記のような波形とも異なり、1か0かというデジタルを波形にそのまま置き換えているので、下図のように、波がある部分と、無い部分が瞬時に切り替わる波形となります。
このように、「定常的に」しかも「激しく変化する」電磁波は、自然界の電磁波とは大きく異なります。
⇒参照「自然界の電磁波は、周波数を持たない!!」(リンク)
??では通信用に使われる電波の周波数帯域はどうなっているのでしょうか?
◆ ◆ ◆ ほとんど全ての帯域の電波が通信で使用されている
通信に使われている電波の帯域です。
ここからわかるように通信に使われるの電波の、周波数の帯域は非常に広く、「ほぼ全て」の周波数帯域を占領しています。
宇宙から入ってきていない、周波数の電波も通信で使っています。(衛星通信、簡易無線)
電波の窓についてはこちらを参照⇒(リンク)
つまり生物が、今まで経験したことの無い、帯域の電波にもさらされているのです。
??そんな通信用の電磁波の強さはどのようになっているのでしょうか?
◆ ◆ ◆ 自然界の電磁波をはるかに超えるエネルギーを持っている
携帯の電磁波の強度を示した図です。
ここからわかるように、携帯の基地局からの電力は32Wとそこまで大きくありません。
電磁波の強さを表す電力密度は0.0008mW/cm2。これは総務省が定める電磁波の基準値の、およそ千分の1のようです。
一方携帯が通信用に発信する電磁波は、どうでしょう?
>【電磁波】身の回りにある家電製品の電磁波の強さデータ(るいネット)
・携帯電話5センチ受信時(磁場)=パルス的に80ミリ~100ミリガウス以上(最高値測定不可)
・同(マイクロウエーブ)=パルス的に0.3~1mw/平方センチメートル以上(最高値測定不可)
電磁波計で計測した携帯電話から発信される電磁波の強さは、50cm離れた場所で0.3~1mW/cm2以上あるようです。
これは明らかに基準値を超えています。これはどのように考えたらいいのでしょうか?
定常的に飛び交う電磁波(基地局から出ている電磁波)は、基準値を下回っていますが、携帯電話などの通信機器を使っている間は、基準値を超えているということなのです。
ちなみに自然界の電磁波は、天体からの電磁波ということでJy(ジャンスキー)という単位がありますが、1Jy=10 ?26 W/m2・なので、基準値以下であっても、人工電磁波の強さは、自然界の電磁波をはるかに超えるエネルギーを持っているのです。
ジャンスキーについてはこちらを参照⇒(リンク)
◆ ◆ ◆ 人工電磁波のまとめ
・電磁波とは、電子が動いたときに起きる「エネルギーの波」である
・波の形は、定常的に大きく変化し、自然界には無い形となっている
・自然界に無い周波数(=宇宙から入ってきていない周波数)の電磁波が存在する
・自然界の電磁波よりもはるかに強いエネルギーを持っている。
では次回は、電力配線の周りに起こる「低周波」の電磁波について見ていきたいと思います。
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