2021-02-25
自己免疫から考える人類の未来
自然界での生物の優れた機能から発想して活用する科学技術のことをバイオミメティクス(生物模倣)といいます。生物のマクロな構造を模倣した代表例としては、カワセミのくちばしの形状を模倣した新幹線500系などがあります。
近年では、生物のミクロな構造を模倣した新しい材料の開発が進んでいます。鮫肌の表面形状を模倣して作られた全身を覆う水着や、ハスの葉の撥水性を模倣した表面設計で、ヨーグルトがつきにくいフタや、着雪しにくい信号機などが実用化されています。
さて話は生物模倣ではなく分子模倣についてです。
分子模倣っていう言葉をご存知でしょうか?
分子模倣とは、本来無関係である感染微生物抗原と宿主抗原の間に一次構造、あるいは高次構造の類似性が存在することを言います。
これにより両者の間に免疫学的に交差反応が生じ、自己抗原に対して抗体が産生されたり、T細胞を介した免疫応答による自己組織の障害が生じ、自己免疫反応が生じると考えられています。
簡単に言うと、免疫細胞など体内システムは、本来なら自分自身の抗原を攻撃したりしませんが、感染したウイルスなどの抗原と自分の抗原に「似た部分(分子模倣)」がある場合、免疫応答が自分自身を攻撃し始める可能性があるというものです。
【「免疫学の父」と呼ばれるイスラエルの免疫学者が、今後の世界の「自己免疫疾患の壊滅的な大流行」を警告 — 分子模倣による細胞内の戦争が始まる】より引用します。