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『次代を担うエネルギー・資源』火力発電の可能性3~日本の発電の変遷~

<発電電力量の推移(一般電気事業)グラフ>
[1]
 
火力発電の可能性追求にはいる前に、日本の発電の変遷を見ていきます。
戦後日本の発電は、大きく「水主火従」「火主水従」「原主火従」と移り変わってきました。
なぜ、このように変遷したのでしょうか?
今回はその背景を見て行きたいと思います。
 
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☆☆☆「水主火従」時代へ向かう背景☆☆☆
 
 
下の図は、戦後の水力と火力の発電能力(KW)の推移です。
 
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(本ブログ 『次代を担う、エネルギー・水資源』水生圏の可能性、水力エネルギーの活用5.水主火従から火主水従へ(電力政策と発電方式の変遷) 明治期から高度経済成長期<後編>・・・何故火力発電が主になったのか [3] より引用)
グラフから、1950年から戦後復興の基盤は水力発電が主要に担ってきました。
戦後から50年代にかけては、豊富な降水量と急峻な河川という日本の自然条件を活用して、山間地に大型水力発電所をつくり、その電力を都市部に送電してきたのです。
  
  
Q.では、なぜ、60年代を境に水力発電から火力発電に転換したのでしょうか?
 
 
☆☆☆「火主水従」時代へ移り変わる背景☆☆☆
 
1959年から火力発電能力が急激に伸びて、1963年には「水主火従」から「火主水従」へ移り変わっていきました。
その大きな転換の原因は、本ブログで既に明らかにしています。
 
[4]
 
☆国際石油メジャーの隠れた意図・コンビナート開発と火力発電所☆ 

(前略)
戦後復興が一段落すると、日本は重化学工業へと邁進します。その象徴がコンビナートです。 
 
コンビナートには、中東からの原油が到着します。その原油を精製して、ガソリン、ナフサ、軽油等の石油製品を生産します。ナフサは化学繊維やプラスチックの原料です。 
 
精製では、重い成分残ります。そのうちA重油は船舶燃料に使いますが、C重油は重く、ドロドロしていて余り使い道がなく、単に燃やすしかありません。 
 
この石油精製の余りものであるC重油を燃料とするのが、コンビナートに建設された火力発電所です。

 
 
火力発電が台頭してきたのは、日本が重化学工業へ進んでいく、産業構造の転換が背景にあったのです。
  
  
Q.それにしても、なぜ、日本は重化学工業へ進んでいったのでしょう?
 
 

戦後、中東諸国で相次いで巨大油田が発見されます。この油田の権利を握っていたのが、国際石油資本・国際石油メジャーです。中心は、ロックフェラー財閥のチェースマンハッタン銀行とエッソ・スタンダード石油(現在のエクソン)です。 
 
そして、国際石油メジャーは、巨大油田から生産する原油の大消費地が必要になりました。
そこで目に付けたのが、人口規模が大きく、民力と技術力の高い日本です。 
 
日本に、「今後、重化学工業を発展させる」という方針をとらせ、中東原油の大消費地として育成していきます。

 
 
日本が重化学工業に転換したのは、国際金融資本家ロックフェラーの意向に沿ったものだったのです。
そして、 
 
 

この「重化学工業・コンビナート」という仕掛けの中に、火力発電所が組み込まれていたのです。
戦後復興が終わると、日本は高度経済成長路線、重化学工業路線に転換します。この高度経済成長、重化学工業路線は、中東原油に依存するもので、根元はしっかりと国際石油メジャー・国際的な金貸しの支配下に置かれてしまいました。

 
 
つまり、「火主水従」への転換は、国産エネルギー路線から、海外原油依存=国際石油メジャー・国際的な金貸し依存への転換なのです。
それが、70年代を境に原子力が台頭し、1985年には石油火力25%に対して、原子力26%と上回り「原主火従」の時代に突入しました。
現在、推進されている原子力発電については、既に本ブログの追求で、
 

放射性廃棄物は、無害化するまでの途方もない期間、人間の暮らす空間から隔離しておかなければなりません。放射性廃棄物が増えて蓄積されるということは、「隔離された閉塞空間」が地球上に増え続けることに他なりません。
(次代を担うエネルギー・資源 トリウム原子力発電11 ~地球の物質循環から切り離された廃棄物の増量→蓄積の危機 [5]より引用)

 
と、可能性が無いどころか、大きな危機をかかえることになることが分かっています。
  
  
Q.ではなぜ、原子力発電が推進されているのか?この移り変わりの背景はどうなっているのでしょうか?
 
☆☆☆「原主火従」へと移り変わる背景☆☆☆
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☆原子力市場という新しい市場作り☆
 

’88年にIPCCが設立され、「地球サミット」そしてアル・ゴアの派手なプロパガンダへ繋がっていく。つまり、環境問題に先に目をつけたのは金貸しと政財界の人間であり、無論その関心は“環境保護”ではなく“持続可能な経済発展”の方にあっただろう。IPCC報告により、温暖化はCO2が主因と結論付けられ、’98年の「京都議定書」に結実する。
地球温暖化問題は、新たな金貸しシステムの布石ではないか? [7]より引用)

 

『温暖化脅威論は原子力利権そのもの』
■燃料のウランは誰が売っているのか
・世界のウラン鉱山は、Cameco(カナダ)、AREVA NC(フランス)、ERA(オーストラリア)等の主要8社で、世界の天然ウラン生産の約8割 (前出白書より)
・さらに、南アフリカの「リオ・チント・チンク」という会社もある。会社と言うよりも、ロスチャイルド財閥系のウラン・シンジケートのようなものらしい。
・原子炉にもウランにも名前の出ているアレバ(仏)は、実はドイツの巨大企業ジーメンスが34%の株を保有している。このジーメンス社の大株主もリオ・チント・チンクだという。 (広瀬隆氏より)
(本ブログ 原子力産業の再編③:原子力を巡る利権とは? [8]より引用)

 
 
原子力推進には、プロパガンダによってCO2地球温暖化説を世界に共認させ、新たな市場を作りだすという目的が背景にあった。
つまり、国際金融資本家の旧利権(石油)から新利権(原子力)への乗換えという思惑があったのです。
  
Q.では、この原子力の新利権はどのような人物が作りだそうとしたのか?
 
 

●エネルギー問題では、伝統的に石油利権に依って立っているのがロックフェラーである。一方、原子力を推進するのが、ロスチャイルド。温暖化の問題も、石油から原子力へエネルギー構造を転換したいロスチャイルドの思惑で始まったもの。
(「ロックフェラー 対 ロスチャイルド」って何?(2) [9]より引用)

 
 
とあるように、原子力推進はロスチャイルドの思惑で始まっています。
近代以降、世界のエネルギー政策の背後には、石油=ロックフェラー、原子力=ロスチャイルドの戦いがあり、それにより、世界のエネルギー政策は規定されてきたのです。
  
  
Q.では1970年代頃の2つの勢力の力関係はどうだったのでしょうか?
 
 

オイルショックはロックフェラーに対するロスチャイルド=欧州貴族の反撃の一手。
石油利権を握るロックフェラーの仕掛けと考えるところである。しかしその後の、ロックフェラー系の石油会社の凋落からみても、オイル上昇が、石油利権を握るロックフェラーに有利な政策であったとは短絡的にいえない。(かつて主要石油会社はセブンシスターズと呼ばれた米英系企業が主流であったが、現在、米英勢の影響力は大きく低下しているし、オイルショックをきっかけに石油利権派に対抗する原子力利権勢力が伸長していっている。)
またオイルショックの火付け役となった「ピークオイル説」の発信源はローマクラブという欧州系のシンクタンクであった。
従って、ロックフェラーによる仕掛けというよりも、ロスチャイルド=欧州貴族連合がOPEC等産油国を巻き込んでロックフェラー勢に仕掛けた反撃の第1弾、とみた方がいいだろう
(中略)
実際、’73年石油ショックによって、アメリカのGDPは’74~’75年、2年連続してマイナスに落ち込んでおり、アメリカの製造業を力の基盤とするロックフェラーが打撃を受けたことは間違いない。
(8/10なんでや劇場レポート「金貸しとその手先(特権階級)たちの思惑は?」(1) 経済指標指数グラフから欧米金貸しの覇権闘争を読み解く [10] より引用)

 
 
1970年代頃の国際金融資本家(金貸し)の戦いは、ロックフェラー(=アメリカ)がロスチャイルド(=欧州)より攻撃を受け、ロックフェラー(=アメリカ)の力が衰退してきた。
 
 
Q.しかし、国際金融資本家の思惑があったにしろ、それを日本国内で反映出来た構造はどうだったのでしょうか?
 
 
☆日本の原子力発電推進体制形成の過程☆
 
 

☆政府内小政府とも言うべき性格を持ち合わせる官僚および電力会社が構成する集団
 
サブガバメント組織をもう少し具体的に言うと、経済産業省(旧通産省)・文部科学省(旧科学技術庁)・これら官僚機構の所轄団体である、独立行政法人等(核燃料サイクル開発機構等)・経済産業省支配下の10電力会社の利害を共にする連合組織です。
この組織は、政府内小政府とも言うべき性格を持ち合わせていて、政府からほぼ独立して、自らの組織に有利な意思決定を行うことが出来ます。そしてこの組織は、アメリカの軍産複合体と同様の性格を持っています。
次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電13~サブガバメントモデルを支える電気料金の仕組み1/2 [11]より引用)

 
 
官僚と電力会社が、国益を無視し自らが甘い汁を吸うことを目的として、国際金融資本家の意向に沿っていったです。
そして、
 
 

『なんとなく危険そうだが、国や電力会社がやっていることだから、それなりの安全性への裏づけはあるのだろう。』
『現実に、日本の電力供給において、かなりの部分を担っているのだから、なんらかの安全性に対する根拠があるのだろう。』
上記のような考えは、原発推進側が、都合のいいところだけを取り出し、都合の悪いところは隠蔽することで、意図的な社会共認を形成してきた結果形成されたものです。

 
 
その、原発推進の社会共認形成を担ったのは、社会共認の発信権と編集権を独占するマスコミに他ならない。
つまり、日本に新たな原子力市場を形成するという国際金融資本家(=金貸し)の意向に沿って、官僚と電力会社とマスコミがグルになって、国民を洗脳していった結果、1985年頃から「火主水従」「原主火従」へ移り変わっていったのです。

 
 
☆☆☆まとめ☆☆☆
 
つまり、戦後日本のエネルギー政策は、一貫して国際金融資本家(金貸し)達の争いによって翻弄され続けてきたのです。 
 
だから、日本が国益を第一にし自立した国家になる為には、国際金融資本家(金貸し)達の支配から脱却し、自給自足可能なエネルギー政策を考えていかなくてはならない。
 
 
今回は大きく日本の発電の変遷を見てきました。
次回からは、より具体的に日本各地の電力会社の内容について調べてみたいと思います。

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