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【気候シリーズ】コラム~この夏の集中豪雨について考える

4月の爆弾低気圧、5月の竜巻、6月の早すぎる台風に続いて、7・8月は西日本を中心に前線性の低気圧による集中豪雨が続きました。
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写真は8月に関西を襲った大雨で浸水した関西の市街地・・・写真はこちらからお借りしました→http://sekaitabi.com/kansaiflood.html 
7月の記事で
これは冬のシベリア気団の発達の結果、チベット高気圧及びオホーツク高気圧がそれほど発達しなかったため、一般的な日本海上を上昇するような台風ルートにならず、この梅雨にみられたように太平洋側に偏って前線や台風が移動することが予測されるためだろうと思われます。つまり昨年同様、高気圧が大きく張り出しているため、太平洋に沿って台風や前線が停滞気味に雨を降らせる、ということが今年も予想される。
と書きましたが概ねそのような状況で推移しています。実際、7月の九州、8月の関西ともに前線性低気圧がその原因とされています。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/07/13/kiji/K20120713003670520.html 
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120814/waf12081423060025-n1.htm
もちろん、前線が通過するだけならこれほど大きな被害を引き起こしません。前回の風シリーズでも解説した通り、上空大気との組み合わせで上昇気流が起きた場合、積乱雲が加速的に発達し、豪雨になるのです。そしてこの低気圧を発達させる上空大気の鍵を握っているのが偏西風の蛇行であり、さらには北極振動ではないか、との視点も過去記事で述べたとおりです。
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2012/07/001144.html  [1]
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2012/08/001161.html [2]
今回、同様の主旨のブログ記事を見つけましたので紹介します。


●偏西風の蛇行と北極振動
以下http://ameblo.jp/nobuchi2/entry-11298216000.html [3] より引用
偏西風 がおかしいぞ?ってな風に感じたので記録がてら記しておく。
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(参考: http://www.cokbee.com/weather/jet.htm 気象予報士:松田巧/ YAHOO!天気・気象庁 衛星画像)
偏西風 とは、北極付近の冷たい大気の塊に沿って吹くジェット気流の事。ヨーロッパ→アジア→日本→アメリカ といった順に西から東に向かって吹いています。要は偏西風が 南に下がると日本付近にも寒い大気 がやってくる。逆に 北に上がると日本付近には赤道から暖かい(暑い)大気 がやってくると思いなせえ。そうして偏西風が地球の自転やら何やらで蛇行する事で天気が大きく変わる訳です。この動きを 『北極振動』 と呼び、日本の天気を大きく左右しています。いわゆる 異常気象 とやらは北極振動の振れ幅が大きい時、あるいは時期外れな動きをした時に発生するのですね。
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えー、そんな背景を知った上で重ねた画像と天気図を見てくだされ。本来はあり得ないほどに偏西風が蛇行して前線を押し下げてる訳です。これが 「妙な具合」 と思った理由なのですよ。
例年であればこの時期の偏西風はもっと北寄りに安定し、それゆえに梅雨前線も文字通り梅雨らしい停滞を見せる・・・はずだった。もっとも・・・毎年、異常気象と言ってるからもはや 異常ですら無い異常 なのかもしれないが・・。ここ数日の蛇行具合も見てもらおうか。
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(参考: http://www.cokbee.com/weather/jet.htm 気象予報士:松田巧)

さて8月のお盆のころも偏西風は大きく蛇行していました。
http://www.cokbee.com/weather/imgout.cgi?xn/xn120812.gif [6] 
●偏西風蛇行がもたらす温帯低緯度地帯の豪雨と温帯高緯度地帯の旱魃
そしてこの偏西風の蛇行の影響は温帯域の低緯度側には豪雨をもたらす一方で、温帯域高緯度帯には乾燥と高温をもたらします。実際、アメリカ、韓国は旱魃に悩まされ、この8月は北日本もどちらかというと高温化しています。
その結果、アメリカでは地球温暖化を信じる人が増え始めているというほどです。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7DRC16KLVS201.html [7] 
と同時に穀物高騰の動きもみえはじめています。
http://ameblo.jp/don1110/entry-11325473218.html [8] 
ただ冷静に見れば、1930年代、1950年代のアメリカもかなり旱魃がひどかったようであり、やや騒ぎすぎ、という印象も否定できません。http://wattsupwiththat.com/2012/07/17/it-was-the-best-of-droughts-it-was-the-worst-of-droughts/ 
おそらく自然現象としては同じ程度の旱魃や豪雨であっても都市集中が進み、自然災害の与える影響が過去よりもはるかに大きくなっているということの方が本質ではないかと思われます。このことは東南アジアにおける水害も同様の問題をはらんでおり、昨年のタイの水害も工業化、都市化が進まなければあれほどの被害にはならなかったのです。
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中東、ロシアも旱魃被害が出ているようですので、米露の気象戦争との見方も出来るかもしれません。(8月11日にはイランで地震があったようです)
ゲリラ豪雨の記事でも扱ったように、社会の都市化が気象被害を拡大させていることは間違いありません。気象操作と気象災害に対抗する術は、なによりも私たち自身がいきすぎた都市化から脱却し自給自足型で自然の摂理に則った農村共同体を再生することではないでしょうか。

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