- 地球と気象・地震を考える - http://blog.sizen-kankyo.com/blog -

妊娠初期の胎児の状況からアレルギー体質を考える

生後のアレルギーの起こしやすさですが、下記の4項目で主に決まるようです。
1.両親の遺伝(アレルギーの起こす頻度・食物や毒素の分解能力・遺伝子)
2.妊娠初期(器官形成期)、母親の体脂肪に蓄えられている環境汚染物質や、現在の生活環境・食物に残存する汚染物質の影響
3.胎盤完成後、母親の食べた食物・生活環境中の物質の影響(胎内感作)
4.生後、食物・生活環境中の物質への接触(触る・吸入・食べるなど)
~中略~
生後のアレルギーの起こしやすさは、特に2の時期にほぼ決まるそうで・・・・・

『妊娠中のお母さんと赤ちゃんの関係』 [1]より

『なぜ、2.妊娠初期』の時期に生後のアレルギーの起こしやすさ(アレルギー体質かどうか)が決まるのか?』
今回はこの疑問の答えを探るため、妊娠初期の胎盤の形成と、胎児が自ら免疫を生産する過程について調べてみました。
その前にクリックお願いします 😀
ありがとうございます


(1)まず、『妊娠初期』の胎児の状態を見ていきましょう。
『妊娠初期』というと、記載にもあるように胎児にとっては『器官形成期』です。妊娠4週から妊娠12週頃のことを言い、胎児の中枢神経をはじめ、心臓や手足、目や鼻など主要な器官の形成時期にあたる時期を言います。
参考までに、胎児の各部位の具体的な形成時期を調べました。
 神経系:3週~6週  / 心臓 :3週半~6週半 / 耳  :4週~10週
 上下肢:4週半~7週 / 眼  :4週半~8週  / 歯  :7週~8週
 口蓋 :7週~10週  / 外性器:7週~11週
また、この胎児の器官形成期である妊娠12週というのは、ちょうど胎盤が完成する時期にあたります。
このことから、胎盤が完成する頃にちょうど、胎児自身の主要な器官形成が完了するということになります。
(2)次に、胎児自身が免疫を作り出す時期とそのしくみについて調べてみます。
ネット上に分かり易い記事があったのでご紹介します。

%E8%83%8E%E5%85%90%EF%BC%92.bmp
免疫組織の発生は,血球の幹細胞が卵黄嚢に現れることで始まります。
胎生2カ月頃,肝臓で赤血球を主体する血球が産生されるようになり,幹細胞が胸腺に運ばれてリンパ球の起源になると考えられています。
次いで,胸腺でのリンパ球が盛んに産生されるようになって,脾臓やリンパ節が発達してきます。
造血は,次第に骨髄で限局的に行われるようになりますが,胸腺や脾臓,リンパ節では出生後もリンパ球の産生が続きます。
胎児は子宮に保護されていて,外来抗原との接触がないため,胎児には抗体産生が起こらない,と考えられがちです。ところが,胎児もIgGやIgMを産生しているといいます。
胎児の血清中にあるIgGは母親由来ですが,出生時には母親よりも高いIgGをもっています。このことは,胎生末期には,胎児自身がIgGを産生していることになります。
IgGの半減期は約21日ですし,出生後の成長に伴って血液が増するので,生後IgGはいったん低下します。その後,2~4ヵ月後,増加に転じ,3歳頃にはIgGはほとんど成人レベルに達します。
IgG以外の免疫グロブリンは胎盤を通過することができないので,胎児の血中にあるIgMは,胎児自身が産生したものです。
IgMは,20週以降の胎児血清中に存在しており,出生時には成人の約1/5量になっています。出生後は,IgMは急速に増加し,9カ月でほぼ成人レベルに達します。
なお,IgA,IgD,IgEについては,新生児の血中にはごく微量にしか検出されないということです。

『歯科学ノート』 [2]より

この記事からわかることを整理します。
IgMは、20週以降に胎児自身が産出するようになる。
IgGは、胎生末期に胎児自身が産生するようになる。
IgG以外の免疫抗体は、胎盤を通過することができない
胎生2ヶ月(=8週目)頃胎児の肝臓でリンパ球の起源となる赤血球を主体する血球が産生されている。
ということです。
胎盤の完成は妊娠12週目頃なので、8週目頃の胎盤が完成していない段階で、既に胎児は免疫抗体を自ら産生するための準備をしているのです。
(3)『なぜ、2.妊娠初期』の時期に生後のアレルギーの起こしやすさ(アレルギー体質かどうか)が決まるのか?
胎盤はIgG以外の免疫抗体は通過させないとのことですが、胎盤が未完成である胎児の器官形成期には、母親の免疫抗体が胎児にモロに流入するということになります。
だからこそ、この時期に形成される器官に、大きな影響を与える可能性が生じるということになるのです。
Th1リンパ球とTh2リンパ球のバランスで、アレルギーの原因となるIgE抗体の発生量が制御されているといわれています。
もしそうなら、この胎盤未完成時の母親の血液中の免疫抗体の状況によって、胎児の胸腺や脾臓,リンパ節が、Th1リンパ球をつくりやすい器官となるのか、Th2リンパ球をつくりやすい器官となるのかが決定されているのかもしれません。

[3] [4] [5]