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農業による水汚染??

持続可能でない水利用による世界の食糧バブル経済 ① [1]では、
アメリカ、中国、インドの大規模な灌漑農業による地下水の
枯渇問題が取り上げられました。
農業ってそんなに水使うの?って思ってましたが、
農業用水って世界で利用される水のうちの70%も占めてるんですって!
残りは、工業用水が20%、生活用水が10%となっております。
学生M:使いすぎで水不足になっていることはわかりました
     じゃあ、他に水不足になる原因はないんでしょうか?!
先生S:ありますよ。
    使える水が汚染されることによって使えなくなる。
    つまり、水汚染による使える水不足です。
    水汚染によって世界ではたくさんの人が被害を受けています。
     ・10億人以上の人々が淡水の安全な供給を容易に受けられない。
  
     ・発展途上国で毎年およそ400万人の人々がひどい下痢にかかり、治療を受けられず、
      脱水症状の結果死ぬ。その多くは子供なのである。
     ・発展途上国におけるすべての病気のおよそ80%が水に関わっている。
     ・世界保健機構(WHO)の推定では、安全でない水・公衆衛生・衛生状態のため、
      現在1時間に約200人、年間170万人の人々が死んでいる。   
水汚染にはいろいろな原因がありますが、
今回は、農業による水汚染について調べてみます
農業による水汚染?! 🙄
と思われたあなた。
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農業は、土壌から栄養を吸って生育した植物を持ち去って利用する行為であるため、
減少した窒素リンなどを土壌に補給しなければ、持続可能な農業は不可能です。
肥料はこの補給の目的で用いられます。
とりわけ、窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)は3大要素 と呼ばれ、通常の配合肥料には必ずこれらが含まれます。
窒素は窒素でも、植物は硝酸態窒素のみしか、根から吸収して利用できないため、窒素固定菌がいない環境では生育できないそうです。
これを補うため、窒素肥料の中には硝酸態窒素が大量に含まれています 。
過剰な窒素肥料の施肥によって、ミネラルウォーターとして市販されている物も含む
地下水が硝酸態窒素に汚染されたり、葉物野菜の中に大量の硝酸態窒素が残留する
といった環境問題が起こっています。
人間を含む動物が硝酸態窒素を大量に摂取すると、体内で亜硝酸態窒素に還元され、
血液が酸素を運べなくなり窒息死する”ブルーベビー症候群”を引き起こす可能性があります 😥
  1950年以来、およそ3,000人の死亡が世界中から報告されたが、多くの国ではこの症候群は気づかれて
  いなかったり、記録されていないままである。米国では27,000人にも上る赤ん坊が危険にさらされて
  いる可能性があり、水供給会社に対するいくつかの訴訟がおこされてきた。
窒素肥料が原因でも、水供給会社の責任が問われるんですね。
水道事業って結構大変そうですね 何がどう身体に悪影響を及ぼすか調べて、なんとかして除去しないといけないんだから
ところで 🙂 窒素肥料っていつからあるんでしょうか?
  1911年、ドイツのフリッツ・ハーバー、カール・ボッシュによって空気中の窒素と工業的に製造した水素を原料としてアンモニアを合成する
  方法(ハーバー法)を開発。
  そしてこのアンモニアを原料として硝酸をつくり(オストワルト法)、
  さらに硝酸を使用して窒素肥料を製造することに成功。
世界の人口を養うために、空気中の窒素を原料に肥料が作られていたなんて…
  工業国における肥料の使用量は1960年から1980年の間に急激に上昇した。
  その後ヨーロッパでは下降したが、発展途上国では、肥料は慢性的な食料不足
  に対して迅速かつ確実な解決をもたらすため、その使用量が増加している。
化学肥料に含まれるリン酸塩や硝酸塩が淡水湖に流入すると、大量に酸素を吸入する藻と雑草を繁殖させ、魚などの水生生物が生息するのに必要な酸素を奪ってしまうそうです。
窒素・リン(硝酸塩・リン酸塩)による水汚染のしくみ
[2]
化学肥料によるものかは分かりませんが、一昨日、こんな衝撃的なニュースがありました。
中国、北京五輪のセーリング会場で必死の「藻」除去作業 [3]
過剰な数になってしまった人間を養うため、発明された化学肥料
その化学肥料により汚染された水を飲んだ人間や動物が命を奪われる…
汚染によって利用できる水が少なくなり、水不足に悩まされる…
無理な発展は続かな。持続可能な道を選びたいものです。
参考文献など
・「水の世界地図」Robin Clarke and Jannet King著 .丸善. H18.1.30
肥料-Wikipedia- [4]
硝酸態窒素-Wikipedia- [5]
ふしぎの国のかがく [6]
国土交通省 中国地方整備局 [7]
  

[8] [9] [10]