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発電菌と一緒に生活する未来!、もうすぐか?

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脱炭素の圧力に「技術力で立ち向かう日本」。その中でも特に面白いのが微生物発電です

今日は、日本のある企業(KURITAさん)が微生物燃料電池の開発で、世界でトップを走っている事例と、微生物で田んぼ発電を追求している研究を追ってみました。

微生物燃料電池では、発電量 200W/m3という世界最高レベルの性能を達成。この発電量は、なんと、脱炭素の再生可能エネルギーとして多く採用されている太陽光発電パネルの発電量に匹敵します。そして、太陽に関係なく雨の日も夜でも発電が可能です。

(画像は、こちら [2]からお借りしました。) 

以下、リンク [3]より。

工場の排水は周辺環境に影響を与えない水質に処理し、下水道や河川・海域に放流されています。しかし、排水処理において広く用いられている活性汚泥法は曝気のための電力消費や大量に発生する余剰汚泥(廃棄物)の処理・処分に伴うCO2排出量が大きく、その削減が課題となっています。こうした中、注目されるのが次世代の創エネルギー技術である微生物燃料電池です。本電池は、発電菌と呼ばれる微生物の働きにより、排水中の有機物を分解処理すると同時に、従来汚泥となっていた有機物を電気に変換することができます。そのため、創出した電気を用いて排水処理することが可能となり、CO2排出量を削減することができます。本電池は、世界中の研究機関・企業で研究開発が進められていますが、排水処理効率や発電効率、性能の長期安定維持、実規模サイズへのスケールアップなどに課題があり、実用化には至っていない状況でした。

 

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(画像はこちら [3]からお借りしました。)

これらの課題に対し、当社は多岐にわたる水処理分野の知見を基に開発を進め、本電池の構成に好適な材質の選定とそれらを組み合わせた装置形状や構造の最適化を図り、日清紡ホールディングス株式会社と共同で実用化に向けた微生物発電セルの実規模サイズへのスケールアップに成功しました。実規模サイズでは他に例のないCODCr除去速度20kg/m3/d、発電量 200W/m3という世界最高レベルの性能を達成し、数年以内でのCO2排出量実質ゼロの排水処理の実現を目指します。

 

 

続いて、田んぼを利用した微生物発電の研究の紹介です。淡水である田んぼでの発電。作物に影響を与えないで発電もできるとこまで研究が進んでいます。これが実用化すれば、日本の農家も面白いことになりそうです。

以下、水田の『泥』に住む微生物が電気を作る!?見えてきた微生物燃料電池の実用化。 発電と環境浄化が同時にできる「泥の電池」(リケラボ)リンク [3] より紹介します。

●淡水での微生物発電は難しいチャレンジ

これまでに、有明海のほかインドネシアの干潟やスラバヤ火山性泥でも実証実験を行っていて、わかっていたのは、「淡水での発電は難しい」ということです。淡水は、海水に比べてイオン(塩分)が少ないので、抵抗が大きく電気が流れにくいからです。

微生物電池は、アノードに嫌気的条件、カソードに好気的条件を必要とします。淡水の環境下で抵抗を下げようと電極を近づけると、アノードに嫌気的条件を保てなくなり、発電効率が下がってしまいます。

また、電極に使用しているカーボンにカビが生えやすいのも淡水での課題でした。さらに水田と言うことで、作物に悪影響を及ぼす物質を出さないことも重要なポイントです。

試行錯誤の結果、透明ゲルに食塩を含ませてその外側にアノードをつけるカセット型セルを開発しました。伝導性を高めカビも抑制することができました。

 

●発電量はどれくらい?

最大電圧は0.45V、最大電流は3.5mAを記録しています。発電のデータを見ると電圧が一定の理想的なグラフになり、使いやすい電池であることが証明されました。ゲルに含ませた食塩がすこしずつ溶け出ていくにつれ、発電効率が悪くなることがわかりましたので、これを抑制することで、もっと発電量を上げることができます。今回の実験では3つの燃料電池の直列配置を二つ並列しました。塩分の流出がなければ、トータル900mV出せます。溶け出た塩分が周囲の土壌やイネに与える影響についても調べましたが、問題ありませんでした。

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(画像は、こちら [2]からお借りしました。)

●どんな微生物が発電に適している?

発電にはある種の微生物が働いていることがわかっていて、発電菌と呼んでいます。微生物発電のラボ実験では、特定の発電菌が使われています。でも、それが必ず現地にいるとは限りませんよね。現場の泥に生息する微生物をそのまま使い、そこにいるもので可能な限りの電力を取り出すことを目的にしたのが「泥の電池」です。電極をセットするとその状況で一番良い微生物が目覚めてくれるので、種類を特定しようとするとそれこそ膨大な数になると思います。それらをひとつひとつ特定することよりも、材料や装置の工夫で効率的に発電することを考えるほうが実用化の近道ですよね。

 

泥に着目したことで、発電菌がどこにでも生息していることが分かったことが、最大の成果です。

(後略)

●まとめ

日本の微生物発電の追求は、思った以上に進んでいます。特に発電量が太陽光パネルと同等なものが開発され、天候に関係なく安定した電力が供給できる可能性が広がってきました。発電菌以外にも天然ガスをつくる微生物の研究も進んでいます。次回は、ガスをつくる微生物について調べたいと思います。

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