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発達期の脳には化学物質環境が大きく影響する

脳の発達期には神経細胞が盛んに増殖し、最終的に数千億もの神経細胞群やグリア細胞が生まれ、さらに神経細胞同士がシナプス結合し、神経回路を形成していきます。この神経回路が、認知、記憶、行動の基本となります。
中でも、脳の要である大脳のシナプス形成、神経回路形成には、内因性のホルモンも大事ですが、外界の環境(親のスキンシップ、話しかけ、その他多様な環境因子や化学物質環境など)が大きく影響します

◆脳は人工化学物質に弱い
神経細胞は、信号を受けるとその情報を電気信号に変換して軸索に伝達し、シナプスでは情報を化学的信号(神経伝達物質)に変換して次の神経細胞に伝えます。次の神経細胞では、神経伝達物質(化学信号)の情報を電気信号に変換するという具合に、次々に情報を伝達していきます。

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従って、環境の中でも、化学物質環境は遺伝子発現の基礎となります。有害な人工化学物質が、発達期の子どもの脳内に進入すると遺伝子発現が錯乱され、正常なシナプス形成や神経回路形成ができなくなります

◆人工化学物質(ニセ情報)が受容体に結合することで生体反応が錯乱される
環境ホルモン(=ニセ・ホルモン)や殺虫剤などのニセ神経伝達物質がそれぞれの受容体に結合すると、異常なシグナルが伝達して、異常な作用が起こってしまうのです。これは毒性学の新しい概念として「シグナル毒性」と呼ばれています。

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従来の毒性では、毒性物質はそれ自体が、細胞の多様なタンパク質、RNA、DNAなどに直接異常を起こして、毒性を発揮しました。一方、環境ホルモンでは、ニセ・ホルモンがホルモン受容体に結合し、本来のホルモンの作用による情報を攪乱・阻害するようなシグナル(情報)の攪乱作用による毒性があることが分かってきました。神経伝達系でも、殺虫剤のようなニセ・神経伝達物質が本来の受容体に結合すると、ニセ情報のシグナルが伝達して、本来の神経伝達情報を攪乱・阻害することが確認されています

生体内ではホルモンや神経伝達系以外でも、免疫系、嗅覚系、感覚系など、多様な生体反応において、情報を担う物質と特有な受容体による情報伝達が生体反応を司っています。ですから、本来の情報物質に似たニセの人工化学物質が本来の受容体に結合して、正常な情報伝達を攪乱・阻害すると、様々な健康障害が起こってしまうのです

参考:地球を脅かす化学物質(木村-黒田純子)

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