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コンクリート建築信仰の崩壊…自然の摂理にかなった伝統的木造建築への回帰

シックハウスやホームアルデヒド・・・等、現在の住宅環境において様々な問題が顕在化してきています。そんな中、静岡大学で行われたマウスを使った実験は、衝撃的な結果をもたらしました。この事実は、近代化における“コンクリート建築信仰の崩壊”とも言える事実の顕在化させたのです。
元来木造中心の日本の家づくりは、戦後の洋風化と集合住宅の出現によって一変したといえます。その流れは、日本人の精神性にも強く影響を及ぼしているのではないでしょうか!この静岡大学の実験における事実をしっかりと捉え、自然の摂理にかなった本来の日本人の意識と通じる“伝統的木造建築の回帰”に向けて考えていかないといけない時期に来たのだと思います。
■衝撃的な結果をもたらした静岡大学のマウス実験

静岡大学が行なったマウスの実験である。それを見て私は愕然とした(しかし私が確認したところでは、日本経済新聞にしかこのデータは載っていなかった。他のマスメディアは黙殺した)。コンクリート製巣箱で、生まれたマウスを100匹育てたとして7匹しか生き残れなかった。金属製の巣箱で41匹、木の巣箱だと85匹だった。
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名古屋大学の実験でもほとんど同じ結果が出ている。これは明らかにコンクリート・ストレスである。
『コンクリート建築は、なぜ問題なのか 船瀬俊介(建築ジャーナル3月号)』 [2]より

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今日は、こういった我々を取り巻く建築環境を改めて考えてみようと思います。
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■コンクリート造と木造の比較
上記、コンクリート製巣箱と金属製巣箱と木巣箱の実験結果は衝撃的事実ですが、他にも関連する事象は挙げられています。
それは学校でのインフルエンザのデータです。全国にある近隣する鉄筋コンクリート造校舎と木造校舎で、学級閉鎖率が前者では22.8%、後者では10.8%だったのです。
また、養護の先生たちによる観察記録を見ると、「疲れやすい」は3倍、「イライラする」は7倍、「頭痛がする」は16倍、「腹痛」は5倍にもなっているようです。これはマウスの実験と同じ結果が出ています。鉄筋コンクリート造校舎が、心身の健康を損なっていることは目に見えている事実のようです。
これに島根大学の中尾哲也先生の、「鉄筋コンクリート造集合住宅の住人は9年早く死ぬ」というデータを重ね合わせれば、非常に説得力をもちます。

実験では、コンクリート製の巣箱で育ったねずみはきわめて攻撃的になった。母親が子ねずみを殺して食べてしまうことすらある。これは何を意味するのか。現代社会そのものではないだろうか。木の巣箱で育ったねずみはお互いに毛づくろいして、スキンシップをしあうのに。
結論は出ている。現実に、被害は起こっている。もう、対策の時なのに、「ヤバイから」とこの情報をひたすら隠し続ける社会はいったい何なのか。木造ではすでに素材としてもいろいろな造形が試みられている。予算の面からいってもベストである。木造が無理だったら木装すればいい。杉・桧の間伐材が余っている。
日本は林業国なのだから、あらゆる公共事業をやめてでも、子どもたちのために木造校舎をつくれと、声を大にして言いたい。
『コンクリート建築は、なぜ問題なのか 船瀬俊介(建築ジャーナル3月号)』 [2]より

■コンクリートの弊害

コンクリートは呼吸していませんから温度や湿度の調整機能がありません。
むしろ、湿度をどんどん吸収しますから、室内を乾燥させ、加湿を必要とし、加湿してもそれをまた吸収しますので、材料自体が劣化を早めることになります。
温度との関係では、床の場合、コンクリートは、木材に比べて体温を著しく奪い取り、冷えの原因となります。
断熱性が低く熱の吸収率が高いので、外気温以上に室内を暑くし、寒いときには一段と室内を冷えびえとさせます。
熱伝導率で木材と比較すると、コンクリートはスギの12倍、鉄は483倍とされています。熱エネルギーの伝わりかたが早いのですが、日中熱くなったコンクリートは、長時間放熱しきれませんから、夜中でも室内の暑さが残ることになります。
コンクリートの躯体では、当然のように断熱が問題となります。熱に関して触れておくべきことは、コンクリートが火災などの熱に弱い上に、相棒の鉄がまた一段と熱に弱く、火災後5分程度で強度がなくなり、避難や消火活動の時間的余裕がない危険な面を持っています。
コンクリート自体の耐久性の問題があります。
世界には廃墟となったコンクリートの建築物やスラム街が無数にあるように、コンクリートに100年以上の耐久性を求めることはできず、大地に還らない残骸処理もまた大変な問題となっています。
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それに、近年のコンクリートは、新幹線の破損落下や亀裂の拡大をはじめ数々の事故が報道されるように、危険でいっぱいです。このように、コンクリートが持っている問題は、人間生活と地球環境にとって多大な有害性を持っていることなのです。
数十年の使用期間を経て、いよいよ弊害が表面化しようとしています。このようなコンクリートの躯体に囲まれた室内が、健康を育てるはずもなく、心と身体の不健康を促進するのが洋風住宅であり、集合住宅だと言えるのです。
『木の情報発信基地』 [4]より

キレやすい子供が増えているという問題も、当然、教育制度の問題や複合的な要因があることは事実です。しかし、忘れられている建築ストレスという要因は確実にあるのです。

1995年11月に、シシリー宣言が採択された。それは、18人の国際的な環境ホルモン学者が、イタリア・シシリー島のエリセで開かれた国際会議に集まって宣言したものである。環境ホルモンが国際的に認知されたのは91年のウィングスプレッド宣言。そこで、環境ホルモンはpptの単位で生殖系を中心として、内分泌系の撹乱を行なうと発表された。それが『奪われし未来』(シーア・コルボーン、ダイアン・ダマノスキ、ジョン・ピーターソン・マイヤーズ゛著、1997年、翔泳社刊)へとつながっている。
ところが環境ホルモンがコインの表だとすると、裏は環境ドラッグだった。これを警告したのがシリーズ宣言と言えるだろう。「汚染化学物質は超微量であっても、脳の働きを阻害する。2番目には神経行動に異常をもたらす。3番目には社会的不適応行動を引き起こす。4番目には衝動的な自殺、暴力などの行為を引き起こす。5番目には奇妙な行動を引き起こすようになる。6番目には知能の低下を起こす。
人類はすでにIQが5ポインント低下した。さらにこの化学物質汚染は、内分泌系を撹乱するだけじゃなく、人類の最後の砦である、神経、行動、すなわち精神をも化学物質は侵す」とこの18名の学者は断言した。
『コンクリート建築は、なぜ問題なのか 船瀬俊介(建築ジャーナル3月号)』 [2]より

建築ストレスは、つまり建築素材、コンクリート・ストレスによるもので、これはいわゆる熱ストレスで精神領域を侵されています。
さらに、木や藁などの天然素材に比べて、コンクリートはガンマ線の放射量が約1.7~1.8倍と、約2倍近くの放射線を出しています。それはさらに生理的なストレスになります。ラドン等は、当然木からほとんど発生しませんが、地面からとったコンクリート等はラドンが発生するのです。
電磁波の問題も決して無視できません。鉄筋コンクリートの家に住むということは、鉄の籠に住んでいることと同じです。そこに高圧線が通ると、鉄筋コンクリートが交流電磁波の変動に対して共鳴します。それが共鳴電磁波を出し、これが隠された電磁波ストレスになるのです。
これら環境ストレスを人間が自ら人為的に作り出してしまったのです。コンクリートの健康への影響は、きわめて複合的なストレス要因として影響を及ぼしているのです。
■木材の特性

木は生きて呼吸し、温度や湿度の調整機能を持っています。
感触的に冬はやや暖かく夏はやや冷たくというのは、外気にかかわらず一定の温度を保とうとしているからで、人間の生理に心地よさをもたらします。
湿度についても同様で、55~60%の湿度を保つように吸排出して室内環境を整えてくれます。
足などの膚と接しても、体温を奪い取ることが少なく、高い断熱性を持っています。
また、木は燃えるといいますが、柱や梁などの太い木材は、表面の1㎝程度炭化するだけで燃えつきることがなく、火災時の建物全体の倒壊を最大限に防いでくれます。
電磁波や短い波長の光線・音を吸収して、脳や神経細胞を刺激する害を防ぎます。
逆に、マイナスイオンを放散して快適な室内づくりの立役者となります。木を中心とする自然素材は、不健康になる物質を一切放散しないどころか、有害なものを吸収し、環境を整え、健康を育てる働きを強く持っています。特に、木は材面に現れる”ゆらぎ”の働きで、自律神経を活性化させますし、視覚や触覚にやすらぎやうるおいをもたらしてくれます。
木は、木材として使用されている間に、自らの含水率を調整して最適な状態をつくり樹脂を全体に含浸させるなどで材力を成長させます。
化学工業製品のように、使用初めが最高の品質で徐々に劣化するのではなく、逆に成長するのです。
太い材では特に顕著で、スギでは1000年前後、ヒノキでは1500年以上の寿命を持ちますし、板類でも100年以上、ツキ板貼りの化粧合板でも数10年は十分に長持ちします。
塩ビシートのように10年程で色褪せ、劣化することはないのですから、耐用年数においても極めて優れた材料であることがわかります。
このほかに木材は、香りを放散することで防虫効果を生んだり、心地よさを与えてくれたりしますし、材色のおだやかさや触感の懐かしさなど、すべての働きを通して情操を育ててくれます。
このように木にはコンクリートにはない文化を生む力があるのです。
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健康を育てる室内を内装に木材と自然素材を積極的に使うにしても、何を、どう使うかも考えなければなりません。
求められるのは、木、土、紙など自然の内装材料と炭などの調湿・マイナスイオン材です。
木の使用については、室内全面の方がより良いのですが、視覚バランスが言われれば少なくとも腰板には木を使うことだと思います。ムク使用が主流ですが、意匠性が欲しいところはツキ板貼りの化粧合板が適しています。
化粧合板については多少質問もあるようですが、改めて機会を見て書く予定ですし第15号特集「内装に映えるスライスウッド(ツキ板)の妙」などを参照して下さい。ツキ板の魅力は、意匠性と”ゆらぎ”の演出にあり、木の特性を損なうものではありませんし、不燃、難燃用など各種ありますから適材適所の使い方を考えてほしいと思います。
炭は、埋炭・敷炭だけでなく、粉末の炭を壁の中に混ぜたり、腰板の裏に入れたりする方法や、炭粉入りの紙などの使い方もあります。液状の炭を塗るのも効果的です(本誌通販商品のコーナーでも紹介しています)木を中心にしたこれらの自然素材を可能な限り内装に使い、なおかつ室内には、植物や備長炭、竹炭などをオブジェとして置くなどして、健康を育てる室内空間づくりがますます重要であると考えます。
『木の情報発信基地』 [4]より

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以上のことから解るように、近代化の中で我々は、コンクリート建築という幻想に捕らわれていたのかもしれません。上記のように、一見頑丈に見えるコンクリートは、100年以上の耐久性を求めることができない上に、大地に還ることのない物質です。
しかし、先人に学び叡智を絞った木造建築は法隆寺・薬師寺に代表されるように、大切にすればゆうに100年を越え存在し続けることができ、最後は大地に還ることができるのです。
法隆寺・薬師寺の宮大工棟梁として知られる西岡常一 [6]さんの言葉に「樹齢千年の木を使えば建造物は千年もつ」とあります。日本人としての自然に学ぶ、先人に学ぶ姿勢に立ち返り、日本人として本来の自然の摂理にかなった伝統的木造建築へ回帰する時期に来ているのだと思います。
そのためには、社会のシステム自体をも再構築していく時期に来ているのかもしれません。

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