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科学の暴走~患者にだまって放射能の人体実験をしてきた科学者たち~

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2013年も本日で大晦日を迎えますね。
振り返ると参院選、五輪東京開催決定、東京都知事辞任など、世間を賑わせた出来事もたくさんありました。

 
ただ、世間でさほど騒がれていない(メディアが騒いでいない)中にも、注目すべき出来事がありました。
そのひとつは、原発事故による影響をうかがわせる健康変化です。
 
【参考】
日本でも既に放射能による脳障害の兆候が出ている? [1]
福島県の甲状腺がんがすでに155倍になっている [2]
福島から聞こえてくる突然死と「放射能のせいかも」と口を滑らす医師。網膜剥離は身のまわりで3人目。 [3]


大手メディアではほとんど取り上げられていませんが、今年は福島第一原発事故の影響による甲状腺被曝を調べるための検査が、福島をはじめ他の自治体でも実施されました。
そして、甲状腺異常が増加していると捉えられる検査結果が出ています。

もちろん、それだけで原発事故が甲状腺異常の原因と断定するのはやや短絡的ですが、関連があると考えるだけの相関はあります。
一方で、「チェルノブイリでは事故後4~5年経過してから甲状腺がんの増加が見られているので、現在検査で見つかる異常は、福島第一原発とは無関係だ」という専門家の声も聞かれます。

しかし、チェルノブイリは一事例で、必ず4~5年後に増加するというメカニズムが解明されたわけではありません。影響が強ければ、顕在化までの期間が短くなることは十分に考えられます。チェルノブイリの事例から、原発事故と甲状腺異常増加の関連を否定するのは、かなり恣意的な見解です。

大手メディアが真剣に取り上げず、政府や学者が“影響なし”と言っているから安心とは言えません。むしろ、危険を知っているが故に、庶民が“モルモット”とされることもあるのです。

まるでサイコ映画~患者にだまって放射能の人体実験をしてきた科学者たち [4]
<るいネット>より

ながらく絶版になっていた「プルトニウムファイル」という書籍が再発されました。現在、読了中です。
中身はプルトニウムを人体に入れたらどうなるかという人体実験の詳細です。94年に情報公開法に基づき、公開されたもので、科学者たちの狂気がわかります。
読んでいて胸が悪くなる内容です。しかし患者にだまってプルトニウムを注射していた科学者たちの多くも白血病で死んでいきます。
この本は、科学とはなんぞや?と考えさせられると同時に、内部被爆した場合具体的にどうなるか?という事実の蓄積でもあります。同時に科学者が決めた「これなら安全」という基準そのものがいかに適当につくられているかもわかります。
以下リンク(現在リンク切れ ※ブログ筆者注記)より引用です。

原子爆弾を生み出したマンハッタン計画(1944年)から60年代に至るまでに,アメリカ国内やビキニ環礁で行われた核「人体」実験を,膨大な公開情報をもとに調べ上げたのが本書.
 原子爆弾・水素爆弾の性能を検討する「核実験」ではなく「核人体実験」である.恥ずかしながらこの本を読むまで,アメリカにおいてこれほどまでに大規模な人体実験が行われていることを全く知らなかった.
 実験内容は,現在から見れば非常に酷い.末期患者へプルトニウムを注射器で投与し,排泄物に残留するプルトニウムから代謝量を測定する.核実験でできたキノコ曇に戦闘機を突っ込ませ,兵士がどれだけの時間戦闘能力を保持できるかを調べる.
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(画像はこちら [5]からお借りしました。)
 予算獲得のためか,それとも功名心のためか,より「野蛮な」実験も行われている.プルトニウム実験は末期患者に対してではなく,ただ病院に来た人に投与するようになった.リンパ種を癌と決め付け100ラド以上の全身照射を行う.産婦人科に来た健康な妊婦に放射性の鉄入りジュースをビタミン剤と偽って飲ませ,養護院にいる普通の子供に放射性カルシウム入りオートミールを食べさせる.どれも事前・事後の承諾などない.つまり彼らは全く知らされずにモルモットにされた.
 モルモットにされた人の一部は死に,生き残った人達は後遺症に苦しみ,その子供たちは重い障碍をもって生まれた.
 読み進むうちにやりきれない気持ちになってくる.人体実験を行った医師の大半は,治療効果が全くなく反対に命に関わることを知りながら,患者には「治療行為」と偽って実験を進めていた.そして問題が明るみなると決まって「危険だとは知らなかった」と宣う.どうやら医師としてのプライドなど,学者としての功名心の前には簡単に消え去ってしまうものらしい.
 アメリカですらこうなのだ.自分や周りの人が,気づかないうちにモルモットにされていたら...と考えるとゾッとする.
 なぜインフォームドコンセントが,カルテの公開が必要なのか,この本を読むとよくわかる.裏切りに怒るだけではなく,二度と裏切れないようなシステムを,僕たちは作らなければならない.
(引用終わり)

ここで紹介した事例は、確かにサイコ映画の話のようですが、20世紀のアメリカで現実に起きた出来事です。
なぜ、このような狂気の沙汰とも言える所業が行われたのでしょうか?

予算獲得や功名心などが作用したかもしれませんが、それらは二次的な要因です。
最大の要因は、学術の専門世界に埋没して、人々の期待を対象化することなく、人工的な(≒自然の摂理から逸脱した)環境下での研究や実験にのみ関心を寄せて過ごしてきたことにあります。つまり、無圧力空間に身をおいてきたからこそ、いとも簡単に暴走してしまうのです。

折しも日本では、特定秘密保護法案が成立するなど、特権階級の無圧力空間が強化される流れにあります。

「国家が決めたのだから」「専門家が言っているのだから」と思考停止することは、その無圧力空間形成の一翼を担うことになり、“サイコ映画”を現実の世界にもたらしかねません。

現状に違和感や危機感を抱いている人は少なくありません。
そうした人々が現実を直視して、徹底して事実を追求していくことで圧力が生み出され、この状況を打破する可能性が芽生えるのだと想います。

2014年は、庶民発の事実に基づくまっとうな圧力を形成する年にしていきたいですね。

今年もありがとうございました。
読者の皆様もよいお年を。

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