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【原発関連情報】敦賀原発の「活断層」認定は、原発再稼働への第一歩か?

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画像はこちらからお借りしました
 
原子力規制委員会の専門家チームが5/15(水)に、敦賀原子力発電所(福井県)の2号機直下の断層を「耐震設計上考慮すべき“活断層”である」とする報告書を正式にまとめました。
 
敦賀原発2号機のみに焦点を当てれば、安全性をまっとうに判断した結果ともとれますが、原発をとりまく状況全体から見ると、少しでも原発再稼働を推進するための生贄である可能性が高いと言えます。

既に大きく報じられているように原子力規制委が敦賀原発2号機の真下を通る断層について「活断層である」と断定する報告書を正式に取りまとめる運びとなった。
「敦賀2号機が廃炉となり万歳!」
「これで今後、他の原発も順次”廃炉”に!」
今回の一件にてそのような期待感を抱いた方も少なくないであろう。
しかし、ちょっと待って欲しい。
あくまでも個人的見解であり、「一仮説」であるが、今回の敦賀原発2号機の廃炉は他の「原発再稼動」に向けての”スケープゴート”(生贄)ではないかという感が拭えないのである。
実際、以下2つ目の時事通信記事にあるように、本日の参院予算委にて、安倍晋三が改めて「早期での原発再稼動」に言及していることからも、何の”見返り”もなしに単純に敦賀原発2号機の廃炉を受け入れるようなことはないであろう。
敦賀原発2号機については、1987年に営業運転開始した、国内では比較的新しい原発であるため、”老朽化”しているとは言えない代物である。
換言するならば、稼動後、25年以上経過して尚、”老朽化”原発の部類に属さず、まだ新しい方の部類であるということ自体、如何に原発産業が斜陽化産業であるかを如実に表しているかと言えよう。
とは言え、この敦賀原発2号機については、以下の北海道新聞記事にあるように、1987年の運転開始以来、なんと一度も点検がなされていない配管が多数あり、その結果、一昨年に放射性ガスの外部漏洩事故を起こしているのである。
更に遡れば、敦賀原発2号機は1999年7月12日に、配管の亀裂により1次冷却水が14時間半にわたって漏れ続け、炉心溶融(メルトダウン)に繋がりかねない重大事故を引き起こしているのである。
その際、以下4点目にあるように、市民側より政府(”腐れチンパンジー”与謝野馨宛)に提出された申し入れ書にて、「すべての配管の徹底検査」の要請があったにも拘らず、政府側がこれを無視し何ら再発防止策を講じなかったがために一昨年の事故が起きたことは自明であろう。
想像するに、25年以上稼動している原発の配管を一度たりとも点検・メンテナンスをしていないことから、今や敦賀原発2号機の配管類はその”実年齢”以上にボロボロであろう。
そのことは原発でなくとも、プラント関係の仕事に従事する方や、その他の機械を扱う技術者の方などは特に容易に想像できるのではなかろうかと思う次第である。
そんなどの道、余命幾許(いくばく)もない敦賀原発2号機、そして既に”老朽化”の著しい国内最古級の同1号機をも”捨て石”として、それ以外の原発が再稼動できるのであれば、”全体最適”の観点にて考えれば、十分にメリットのある話であり、むしろお釣りが返ってくるぐらいのレベルの話であろう。
例えるならば、ピラニアの大群のいる川を渡る際、一匹の弱った家畜を”生贄”として捧げ、その間に他の家畜を無事に川を渡らせるという類の話である。
今回、原子力規制委が敦賀原発2号機直下の「活断層」を断定する報告書を取りまとめるに至った背景には、「原発再稼動」という”皮算用”が働いていると思案する次第である。
~後略~
「敦賀原発2号機直下「活断層」断定の皮算用 ~”ポンコツ”敦賀を生贄に今後原発再稼動が加速~」 [1]
暗黒夜考~崩壊しつつある日本を考える~ より引用

 
この「安全を確保してから原発を再開している」という「実績」を示した上で、他の原発の再稼働に取り組むというゴマカシが行われる危険性については、昨年から指摘されていました。
 

原発再開に向けてマスコミは盛んに「活断層」の調査について報道をしています.この段階でマスコミが作る「空気」の本質を見破っておかなければなりません.政府側はそれほど能なしでもうっかり屋さんでもなく、私たちの税金で優秀な人を多く雇って、いかにしたら世論形成(国民を騙す)ことができるかを検討しています.
政府の狙いとマスコミ報道の本質
1)原発を再開したい、
2)そのための「安全」のハードルをどうしたら下げられるか?
3)「活断層」で原子力規制委員会がOKする原発はすでに確定済み(そのぐらいは立地の時に調査してある。判定をほとんどしていないだけ.)
4)その結果、各電力会社で半分は稼働できる(特に関西、九州はOK)
5)そのためにマスコミ、知識人の根回しを十分にしておく。
原発を再開して欲しくないと思っている人は、「反対側」に立っていますから、政府や指導層がどの程度の準備をしているかをウッカリすることがあります。でも、政府と東大、それにNHKを上げて準備をしているのですから、それなりの力はありますし、「原発が必要だ」という確信も持っています。
再開に反対の人でもウッカリ、活断層の論争に巻き込まれている人がいます。現在、敦賀、東通の原発が報道されていますが、これも作戦の順序に従っています.まずは「活断層がある原発は再開しない」ということで「安全を確保してから原発を再開している」という「実績」をつける予定です。
もともと日本の原発の内、敦賀はもう古いし、東通は建設中ですから、止まっても大したことはない、とりあえず敦賀は止まることになるから、その時には日本原電が「公開質問状」を出して「真面目にやっている」という形を作るという作戦です.
~後略~
平成24年12月23日「新原発・被曝問題(1) 活断層と安全性」 [2]
武田邦彦 (中部大学) より引用

 
まさに上記の流れが展開されていますが、「活断層認定→再稼働見送り」という判断が下されたことを“安全性に関するまっとうな判断がなされている”と錯覚することは、安全性の判断軸を矮小化してしまうことに他なりません。
 
そもそも「立地が活断層でなければ安全性が保証される」というわけではありません。
原発は通常稼働であっても、人類では処理できない放射性廃棄物を生み出し続けており、自然の摂理から逸脱した存在であるということが問題の本質です。
 
改めて自然界の循環やその中における生命の有り様を学び、真っ当な判断軸を形成していくことが必要なことなのだと思います。
 
 
最後まで読んでくれてありがとうございます。

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