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【気候シリーズ・コラム】6月の早すぎる台風・・・この夏はどうなる?

4月の爆弾低気圧、5月の竜巻に続き6月は台風が早くも日本上陸。その後も西日本は雨続きでしたが、対して新潟をはじめ東日本ではカラ梅雨となりました。早すぎる台風には気象操作をいぶかしがる記事もネット上には見受けられますが、観測史上は時々見られる現象です。そこで今回は台風の進路はどのようにして決まるのか、そしてこの夏はどうなるのか を少し考えてみたいと思います。
今年のこの早すぎる台風を考える上で参考になるのが同じく早すぎる台風が上陸した2004年の天気です。この年はなんと台風の当たり年になりました。http://ja.wikipedia.org/wiki/2004%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E9%9B%86%E4%B8%AD%E4%B8%8A%E9%99%B8 [1] によると2004年20個以上発生し、そのうち10個が上陸、6月・10月にも上陸しました。台風の上陸数の平年値約3個ということを考えると非常に台風の当たり年だったのです。
ではまず一般的な台風の月別のルートをみてみましょうhttp://contest.thinkquest.jp/tqj1999/20235/thinkquest2.html [2] から文章・図とも引用
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台風は上空の風に流されて動き、また地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。そのため,通常東風が吹いている低緯度では、台風は西へ流されながら次第に北上し、上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度に来ると台風は速い速度で北東へ進みます。太平洋高気圧のまわりを廻って日本に向かって北上する台風が多くなります。8月は発生数では年間で一番多い月ですが,台風を流す上空の風がまだ弱いために台風は不安定な経路をとり易く、9月以降になると南海上から放物線を描くように日本付近を通るようになります。
大きくみると太平洋高気圧の発達している7,8月は台風は日本海側を進み、太平洋高気圧が未発達な6,9月は日本列島に沿って太平洋側を進むという傾向をみせることがわかります。
もう少し詳しく台風のルートがどのようにして決まるのかをみてみましょう。以下図は http://www.bioweather.net/column/weather/contents/mame044.htm より引用
基本的に台風は低緯度地帯では編東風に乗って西へ、中緯度では偏西風に乗って東へ進むことは前に述べた通りです。 従って太平洋高気圧が大きく張り出していると下図のように東シナ海から日本海側へというルートになるわけです。 (図1)
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他方、太平洋高気圧が背の高い状態になっていて、偏西風の位置が下がっている場合、台風はよろよろと西へ進み、そして偏西風に乗ると一気に東へ進むことになります (図2)
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 次に迷走台風と呼ばれる事例を見てみましょう。日本の夏の主役は背が高い太平洋高気圧ですが、もう一方の主役は中国大陸から東に張り出してくる背の高いチベット高気圧で、両高気圧ががっちりと肩を組んで日本付近や日本の南に背の高い気圧の峰を作ることがあります。この気圧の峰を突っ切って台風が北上できない場合、動きが遅くなり、(図3)のように、迷走あるいは停滞することになります。 (図3)
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さてここで あらためて台風のあたり年であった2004年の天気事情を振り返ってみましょう。http://www.weathermap.co.jp/kishojin/topics/200409summer.php によると2004年の夏は猛暑でもあったようです。ウィキペディアによると、2004年に日本への台風上陸・接近数が多くなった直接の原因は、太平洋高気圧の配置が平年より北に位置し、西端は日本の東にあり、台風が日本付近を経路としやすい気圧配置になっていたことにあるようだ。ただしこの年、エルニーニョ・ラニーニャ現象が顕著だったということでもなく何故、そのようなことになったのかは記されていません。
この「気候シリーズ」では気候変動を左右しているのは宇宙気候であり、それと関連した「北極振動」に注目していますが2004年の台風の異常発生も、この北極振動で説明がつくように思われます。
http://air.geo.tsukuba.ac.jp/~tanaka/papers/paper220.pdf [7] によると北極振動指数がプラスになったのは1989, 1990, 1993, 1995, 2000, 2002, 2003, 2007, 2008年の冬季。対して、1998, 2001, 2004, 2006年は北極振動はマイナスに振れ寒冬であった。また北極振動がプラスの年は日本は冷夏になることもしられているが、逆にマイナスに振れたこの年の夏は猛暑でした。
そして今年は1月下旬から北極振動がマイナスに転じました。つまり北極圏に蓄積された冷たい寒気団が中緯度へ向けて放出されたということです。その結果、今年は偏西風がなかなか高緯度に移動せず、大陸に沿って大きく蛇行したルートを保持し続けています。その結果が、爆弾低気圧であり、竜巻であり、そして6月の早すぎる台風というわけです
ではこの先、7,8、9月はどのような推移をみせるでしょうか。気象庁の長期予想によると控えめながら、北日本を除き気温は高くなる、降水量は日本海側は少な目、太平洋側は多めと予測しています。
http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf3/001.pdf [8]http://tenki.jp/long/detail-1.html?forecast_span=three_month [9] 
これは冬のシベリア気団の発達の結果、チベット高気圧及びオホーツク高気圧がそれほど発達しなかったため、一般的な日本海上を上昇するような台風ルートにならず、この梅雨にみられたように太平洋側に偏って前線や台風が移動することが予測されるためだろうと [10]思われます。
※チベット高気圧及びオホーツク高気圧は亜熱帯ジェット気流がチベット高原にぶつかって分流することによってつくられる高気圧ですが、シベリア気団が強いとこの分流が起こらず結果的に発達しにくいことになります。なお、爆弾低気圧を作り出したのは同じ偏西風ジェット気流の中でも寒帯前線ジェット気流のほうだとされています。
つまり昨年同様、高気圧が大きく張り出しているため、太平洋に沿って台風や前線が停滞気味に雨を降らせる、ということが今年も予想されるということです。そして高気圧が衰弱する9月後半にはまた5月の竜巻と同じように太平洋岸を北上する台風も登場し、これまた昨年と同じような福島直撃型の台風が通ることになるかもしれません。昨年同様に集中豪雨対策が必要ですね。

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