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東北地方太平洋沖地震~原発は必要か否か27~(最終回) 原発は不要!⇒今後に向けた『提言』

政府・官僚、学者、電力業界は、福島第一原発で起きた事故は「想定外」「1000年に一度」などといった言葉による責任逃れ・保身の発言を繰り返し、国民から批判をあびている。
これまで、「原発は大丈夫」と説明してきた電力業界と、それを後押ししてきた経産省を中心とする政府の信用も失墜した。
さらに、最近の放射線による健康被害についての政府やマスコミの報道も、ゴマカシであるとの指摘がネット界を中心に湧き上がり、報道番組に出演し安全で健康に問題ないと発言を繰り返してきた専門家や大学教授の信頼度も暴落している。

一方で、ネット上での議論や発信は、速さという点でも、正確さという意味でも、マスコミ報道を大きく上回った。
「事実」や「問題の構造」を求める人々の意識がネット収束を加速させ、媒体として、あるいは場としてのネットの信頼度が大きく上がった。

もはや社会統合のプロ(政府・官僚、マスコミ、専門家)には任せられない。私たち自身で答えを紡いでいくしかない社会の大転換を迎えている。

◇ ◇ ◇
自然の摂理に反する原発は災い(人災)の元でしかなく、かつこの国土を一瞬にして驚異にさらし、私たちの子孫に多大なる負担を掛けるだけの癌でしかない。
誰の目にも明らかなこの事実を元に、「原発をどうする?」という積年の社会問題に対して「必要か否か」の決着を付ける時です。

シリーズ最終回の今回は、ここまで追求してきた内容を受け、原発と今後に向けた『提言』をさせて頂きます。

   



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【1】福島原発に対する、緊急対応

1)30km範囲内は放射線管理区域に指定。

文部科学省の放射能モニタリング数値を見る限り、30km範囲内は健康に重大な被害を与える恐れが高い。20km範囲までの管理区域設定は不十分すぎます。

2)80km圏外に住民(特に、乳幼児、妊婦を中心にして)を疎開させる。

60km圏内までは、法律で設定されている基準値(1mSV/年)に対し10倍以上の数値を示している。少なくとも80km範囲内の住民には80km圏外に疎開させ、80km範囲内は特に重要監視区域として詳細にモニタリングを行う。その状況により疎開の継続期間を判断する。(※少なくとも1年ほどのモニタリング監視のうえ判断が必要ではないか。また、現在、60kmを超えたところを政府はモニタリングしていないのは不十分すぎる。)
また、疎開させるのに、見ず知らずの土地にバラバラに移住させるのは精神的に苦痛です。共認基盤が崩れないように、村や町ごと移住させ、全面支援を行う。

※ 但し、爆発を考慮すれば、300km圏外への避難も考えなければならない

3)「爆発」だけは、国家の全精力をかけて絶対に防ぐ

これが、現在、最も重要で最優先の課題であるが、対策が不十分かつ遅すぎる。
福島原発は、放射能の閉鎖回路が壊れ開放回路になったため、爆発を防ぐための核分裂の崩壊熱を除去する冷却水は、放射能と接触して高濃度汚染排水になって原子炉内に溜まった状態になり、水蒸気爆発の危険が高い状態になっている。
そのため、原子炉内などに溜まった排水を除去する必要があるが、汚染排水を海に流せば国内の問題にとどまらず国際問題が噴出し、「唯一の核被爆国」日本が「核汚染を海洋にばらまく国」になり、世界に多大な迷惑をかけるとともに、世界から自己中国と見做され見放される。
かといって冷却を止めて、水蒸気爆発などでプルトニウムなどα線を放出する放射性物質を舞い上がらせ死の灰を降らせば、国内は尋常ではない内部被爆の被害が生じるとともに、日本だけの問題ではなくなるくらいの大惨事になる可能性がある。

そこで、現時点を考えうる案の概略を示します。
心ある専門家はすぐに検証して、可能性があるなら政府は実行に移して頂きたい。これは、専門家、素人の枠など超えて、国家そして国民すべてで当たらなければならない緊急課題です。

⇒『閉鎖回路(循環回路)の冷却システム』と『封印システム』の構築(案)
[1] 
(※図は、当ブログで作成したものです。)

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(※図は、当ブログで作成したものです。)

4)モニタリング設備の木目細かい整備と公開

現在のような統制された情報公開の体制は一切止め、「発生する可能性のある重要な放射性物質」は何なのかの調査対象を先に公表し、それが「調査した結果発生しているのか」、それとも「調査に時間がかかり検証中なのか」、または「調査した結果、発生していないのか」といった全ての状況を、日本各地の測定センターや大学等の研究室などで測定された情報をもとに即時に政府や国民に「同時に」公表する。
また、300km圏内まで、少なくとも10km毎にモニタリングを実施する。
そして、爆発により300km圏外への避難が必要か否かを判断する情報は最重要です。ここは恐れ萎縮して隠蔽することなく、国民の生命を第一に考え、情報を公開してほしい。

5)放射能汚染から身を守る為の知恵~塩、味噌が身を守る!

長崎に原爆が投下され、その爆心地から1.8kmしか離れていない場所で被爆したにも関わらず、塩、味噌の食生活により原爆症が出なかった人たちがいる事実があります。
(※参照:るいネット「放射能汚染から身を守る為の知恵~塩、味噌が身を守る!」 [2])

この事実は大事です。即刻、被爆の可能性のある住民に配給すべきです。
専門家の反論として、根拠が不明とか、メカニズムが不明とかを理由にしますが、それ自体が権威主義もしくは権威信仰であって科学ではないと断定できます。
なぜならば、メカニズムは解っていないが、事実として効果があるということを認めることではじめて、科学的認識は進化してくのですから。

【2】米国債を売却して、震災復興と原発廃炉の資金を捻出

原発導入の背後にアメリカの圧力があったのだから、米国債を売却して資金を捻出するのが道理です。
現在、外為特別会計の保有外貨(外貨預金、外貨貸付、米国債)は87兆円(1兆ドル超)あります。政府として確保しておく外貨は数千億ドルの規模で十分であるため、外為特会の5千億ドル(約40兆円)を売却し、外貨購入時の政府短期証券を償還して、改めて「震災復興国債」を発行して資金に当てる。
当然、そのためには「外為法」の改正とともに、各省庁の官僚が勝手に差配している「特別会計」の情報公開は不可欠です。

(※参照:るいネット「復興資金を米国債の売却で賄おう、決断すれば可能である」 [3])

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(※図は、当ブログで作成したものです。)

【3】原発廃絶へ

1)原子力発電の順次操業停止

平常時でさえ、大量の被爆者を出すことで成立している原発。さらに、今回のように事故が起これば、対処法は尋常ではない。こんな被害を負ってまで、これまで通りの電力を消費したいとは、もはや誰も思っていないでしょう。
日本の電力は元々、火力・水力のみでも十分に賄えていた。過去、最大電力需要量が火力・水力での発電能力を超えた実績も無い。そして、今回の各企業、家庭が一体となって実施している節電も、通常生活を維持できる範囲が保たれている事から見ても、原発が無くても日本の生活と経済は何も困りません。
よって、即刻、以下の順位で、原発を廃炉していく。
①耐震基準を満たしていない、1978年9月以前に着工された原子炉25基
②高速増殖炉(もんじゅ)、プルサーマル
③残りの在来型原発(濃縮ウラン軽水炉型など)すべて

2)廃炉の手法と廃炉の管理システムの構築

廃炉しても、現在の原子炉にある燃料棒の核分裂は2年ほどは止められない。さらに放射能で汚染された建物などもある。また、放射性廃棄物も長い期間放射線を放出する。
そのため、廃炉しても新たなエネルギーを投入して何十年も管理し続けるしかない。
⇒「原発廃炉の手法の構築」
⇒「廃炉の徹底した維持管理体制の構築」

【4】地震予知の開発と地震対応

地震大国日本は、地震を受け入れて適応していかなければならない。しかし、現段階では地震予知が未だ確立されていません。
原発を廃絶しても、廃炉から放出する放射能を防ぐために、長い期間管理し続けなければならない。その間に、予知できない地震で破壊されると、放射能被爆被害が生じる。
地震の予知、そして地震に対して(廃炉にしたものも含めた)原発の耐震の技術開発を急ぐ必要がある。

【5】次代の電気・エネルギーの構築に向けて

1)自然の摂理に則り、自給自足できるエネルギーの創

『自然の摂理に則り』『自給自足できる』次代の新資源・新エネルギーは、例えば、小水力、地熱、リグニンや藻などバイオによる小火力、太陽光、風力などなど、すでに様々な開発が行われており、可能性はたくさんあります。そこにエネルギー政策を転換させる。

2)地域分散型エネルギーシステムの構築

今回の事故により、東電は、巨額の損害賠償、廃炉費用、火力発電所の復活投資により、国有化(国の支援)にならざるをえないだろう。
しかしながら、電力会社の国有化を行えば、官僚体制の弊害が残る。
そのため、国有化を経由するにしても、それは廃炉に向けた期間に限定した時限立法化(3年ぐらい)して行い、並行して『供給者=使用者』の視点で、市民が出資・参画する『地域分散型エネルギーシステム』の供給事業を立ち上げる。そのために国の税金を利用する。

【6】共同体の再生

地域エネルギーシステムを構築するうえでも、震災復興を基盤に共同体の再生を推進する。

るいネット:「本当の復興政策は共同体の再生を支援すること」 [4]
まず真っ先に必要なことは、お互いに支えあうことを実現する基盤である共同体の再生です。具体的には、自らの町をどのように復興していくのかを考えを実践していく組織を作ることです。そして、それを実現するための資金を彼らに提供することです。

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福島原発の大惨事は、原発の安全性は神話だということを厭が応にも見せつけた『人災』です。私益を追求するあまり、自然の摂理に反してきたつけです。
しかし、人災であれば、そのことに気付き、深く反省し、次への総括をすれば、今後は確実に防ぐことができます。

人と自然との共認充足を活力源とする本源性をもつ日本人ならば、誰もが社会の当事者として事実の認識収束しさえすれば、今回の震災を乗り越えられます。

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これで、このシリーズは終えます。
長いシリーズを読んで頂きありがとうございました。

しかしながら、まだ、福島原発は終息どころか状況は悪化しています。
それもあり、これからも、(タイトルは変わりますが)継続して定期的に原発に関する発信は行っていきます。
また、自然の摂理に則り、自給自足できる「次代を担う、エネルギー・資源」のシリーズも再開しますので、応援のほどよろしくお願いします。

最後に、東北地方太平洋沖地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
被災地のみなさまのご健康と、一日も早い復興をお祈り申し上げるとともに、今後、このようなことが起こらぬよう、みなさまと一緒に当ブログも事実と可能性の発信に尽力します。

<了>

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